いっしょにスイーツ・タイム♪｜リアクション

いっしょにスイーツ・タイム♪

急：あなたと一緒に……。

「わぁ……♪　どれもかわいい！　おいしそう！」
「確かにこれは……」
　ショーケースの前。鬼河内萌と野菜原ユウは並んだケーキの姿に思わず笑みを零していた。元々カレーが大好きな萌ではあるが、年頃の女の子らしくケーキも大好きである。今日は仲の良いユウと共にスイーツショップのモニターにやってきていた。
「どれにしようか迷っちゃうな～」
　萌はポニーテールを揺らしながら悩んでいると、同じクラスの恵御納夏朝とすれ違った。
「あ、鬼河内さんと野菜原君も来ていたんだね」
「やっほー♪　キミも来てたんだ～♪　ねぇ、おすすめってある？」
　萌が夏朝に問いかけると、彼女は顔を綻ばせ子猫のような笑みを浮かべた。
「僕は寝子島をかたどった『ビバ・ネコジマ』としらすをつかったキッシュの『スプリングネコジマ』を食べたよ。どっちも美味しいからお勧めするよ」
　それを聞いたユウは「じゃあ、俺はシンプルなのと、その『スプリングネコジマ』にしようかな」と楽しげに呟く。
（それだったら、あとで分けてもらえるように別のケーキを選ぼうかな）
　萌は少し考えると、夏朝に「ありがとう」と笑顔でお礼を言った。その一方で、カレー好きな彼女はカレー風味のキッシュを作ってもらえないかリクエストしてみよう、と考えた。

　席に案内された２人は、早速運ばれたスイーツを食べる事に。萌はレアチーズケーキの『アワユキ』の他、タルトの『ベリーワルツ』、夏朝もおすすめの『ビバ・ネコジマ』を選んでいた。
（んっ♪　ふわふわしてるね。雲みたい……）
　解けるような食感のレアチーズケーキは酸味が程よくて、一口目から口元が綻ぶ。それでいて、何個でも食べられそうなすっきりとした後味が心地よい。
　２つ目の『ベリーワルツ』は見た目が華やか。宝石のように艶々輝く４種類のベリーにユウも目を奪われる。
「そっちのは本当に綺麗だな。食べるの勿体無くね？」
「確かにそうだけど……やっぱり食べちゃう♪」
　思わず出たユウの呟きに、萌は愛らしい笑顔でタルトにフォークを入れる。タルトのさくさく感に交じり合うベリー系の酸味と程よい甘みが、萌の笑みを蕩けさせる。
　「ユウくんも食べる？」とおすそ分けすれば、ユウもお礼に、と食べていたガトーフレーズを差し出してくれた。素朴な味わいだからこそ、時々食べたくなる美味しさに２人そろってご機嫌になる。
　バタークリームが濃厚で、お腹にたまる『ビバ・ネコジマ』も高評価だ。しっかりした味わいの中に寝子島という形の遊び心。こっそり仕込まれた洋酒の軽い風味が少し大人の気分にさせる。
（どれも美味しいな。でも、甘い物ばかり食べているとやっぱり塩味が欲しくなるわけで……）
　萌はお腹と相談しつつリクエスト。それにアリス・リオンは「丁度作れる具がありますネ」と２つ返事でOKした。

　途中、檜扇舞華からの取材を受け、紅茶で一段落。２人は他愛も無い会話に花を咲かせていた。
「ん？　なんかスパイシーな香りが微かにする……」
　ユウが首をかしげた時、運び込まれたのは萌のリクエストで作られたカレー風味のキッシュ。その名も『カリー・プリンセス』というらしい。
「カレー風味キッシュはあまり作らないから自信がないけれド、喜んでもらえたなら嬉しいワ。寝子島近隣で採れた魚介類と野菜のキッシュなノ」
　アリスがはにかみながらそういい、萌の前に皿を置いた。萌は目を輝かせ、早速口にする。
　エビとイカ、アサリの風味に、丁度良い大きさに切られた野菜の甘み。そこに加わるチーズとカレーのアクセント。シーフードカレーを食べている気分になるキッシュに萌は思わず何度も頷いてしまう。
「なぁ、俺にもくれる？　なんか美味しそうに食べてる姿を見たら興味がわいちゃってさ」
「勿論いいよ！　どうぞ！」
　ユウの申し出に萌は切り分けて答える。彼もまた鼻腔を抜けるシーフードとカレーの風味に顔を綻ばせ、「美味いじゃん♪」と呟いた。
「こんなに美味しいのに期間限定だなんて寂しいなぁ……。ユウくんはどう思う？」
　キッシュを飲み込み、萌が少し寂しげに問いかける。が、ユウは落ち着いた表情で、易しく言った。
「だからこそ、この一瞬を楽しもうよ。確かにここのは美味いしいつでも寄れたらいいけどさ？」
　最後のほうはおどけた笑みを浮かべたユウ。だが、萌は彼の言葉に「うん！」と明るい笑顔で頷いたのだった。

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いっしょにスイーツ・タイム♪

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