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まかい探訪記
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別れ際、セルバノは言った。
「まだこの森を行くなら、気をつけるんよ」
黄昏の緋色に染まる世界樹の森の何処かへと、音楽好きな気のいいまものが去って行く。彼を見送ってから、彼の角を布に包んで背嚢にしまい込む。
リュートを担ぎ、立ち上がってみる。彼のくれた薬草が効いたのか、体はもうどこも痛まなかった。
世界樹の根に足を取られぬように歩く。湿った枯葉と土のにおい、世界樹からやがてまかい中に広がって行く魔力の気配、梢の遥か高くに憩う言葉持たぬ獣のごときまものの気配。
黄昏に沈む森を彷徨い歩いたその果てに、
天使
を見た。
はじめは、夢を見ているのだと信じた。世界樹の森を歩くうち、何かしらのまものの魔の法則の影響を受け見るべからざるものを見ているのだと。
その証拠に、黄昏だったはずの空がいつのまにかどこまでも青い。
青く澄んだ空の下、純白のローブに華奢な身を包んだ少女が座している。緩く波打つ黒髪に彩られた背から生えた二対四枚の白翼に自身の身を包み込ませ、
「あなたは、だれ?」
いっそあどけないような声音で天使は囁いた。彼女が座り込んだ足元をぐるりと囲むように咲いた、漆黒にさえ見えるほど群青色した花が揺れる。
眩暈がした。
此処が何処なのか分からなくなる風景に。
私を真直ぐに見つめてくる天使の、まるで夢の中を漂う虚ろのような琥珀金の瞳に。
誘い込まれるように近づいた途端、天使を護るように閉じ込めるように天使の周りを囲って咲く黒い花に目を射られた。弾かれるように黒い花の結界の外に尻餅をつく。
セルバノの言葉の意味を理解した気がするも、
「ね、だあれ?」
それも頭上を覆う青空のように屈託のない声で天使が笑うまで。
天使の誘いを拒めるわけもなく、掠れた声で己が素性を告げる。
「素敵」
天使が笑うだけで、胸が躍った。
「でも、詩人さんのお話をたくさん聞いて、たくさんお話をしたいのに、私何も覚えていないの」
夢幻に彷徨うような曖昧な瞳で、けれどそれ以外は完全な笑顔を見るだけで、彼女のためならばこの身を投げ出すことすら厭わない気持ちになれた。
「時間の流れも忘れてしまった。綺麗な空を飛ぶためにありそうな羽根もずっと使わずに、ずっと地面に座ったまま」
微笑むまものの傍に這ってでも近づこうとして、再び黒い花の結界に阻まれた。頼りなげな風情のその花が風もなく揺れる度、頭の芯を掴まれ揺さぶられるような感覚さえ覚える。この白いまものの声を聞いてはいけない、と耳元で喚かれているように思う。
「これが」
けれどその感覚も、天使が長い睫毛を伏せた途端に消え失せた。天使の視線に従えば、そこには儚げな細く白い足首には恐ろしく不似合いな、錆びた鉄球の枷が取り付けられていた。
何時からついていたのかも分からない、と天使は花よりも艶やかな唇に完璧な弧を描く。
「ただ、私から空を奪ったのに、何故だかどうしようもなく愛しい」
懐かしくて愛おしくて憎らしい。絹のような天使の声を耳にした途端、視界いっぱいに白い光が爆ぜ飛んだ。悲鳴をあげる間もなく眼を覆って、――
視た。
純白の二対の翼を広げ、空から舞い降りた白い天使が森に遊ぶまものの子を優しく抱きしめ縊り殺し、その首筋に唇を押し付けるなり柔らかな喉を食い千切るその瞬間を。
純白のローブを血に塗れさせ愉悦の表情を浮かべまものを食らい続ける白いまものの傍、ふらりと『黒いまもの』が現れるその場面を。
『黒いまもの』は白いまものよりも強かった。白いまものがどれほどに攻撃を仕掛けようとも誘惑をしようとも、白いまものの手には落ちず、――そうするうち、白いまものはまものを喰らうことをやめた。
最初は、黒いまものを喰らいたいがためなだけだと思っていた。
けれど違った。己よりも強いはずの黒いまものは、ある日突然、死んだ。
血に塗れて地面に転がる黒いまものを抱き起し、白いまものは悲しく狂乱する。もうまものは喰わないからと。だから生きてと。
「この枷は」
白いまものの声に弾かれたように顔を上げて、その瞬間に悟った。
黒いまものが死んでしまった痛みで、白いまものは全てを忘れてしまったのだと。黒いまものとの約束は、黒いまものが使った最期の魔法により銀の枷のかたちとなっているのだと。黒いまものの体は黒い花となり、白いまものをここに閉じ込めながらも慰め続けているのだと。
「自分では外せないのだけれども、詩人さんなら触れるだけであっと言う間に壊せそう」
いかにも、と思う。ふたりきりの約束がかたちとなったものであるのならば、そこに他者が介在した途端にその約束は消滅するだろう。
「私、」
白いまものが、天使が美しい笑顔を見せる。
逃げ出そうとする足が絡む。腕が引き寄せられるように天使の足元へと伸びる。
「そろそろ自由になりたいわ」
黒い花が揺れる。錆びついた銀の枷が耳障りな音を立てる。このままでは、と思う。
このままでは、彼女は自由になれない。
黒い花を蹴散らし、彼女の爪先に接吻するが如く身を投げ出す。黒いまものが命と引き換えにはめた銀の枷は、触れた途端に脆く崩れ去った。
「ありがとう、詩人さん」
天使が笑っている。
「お礼に、今は食べないであげる」
愚かな詩人を嗤い、白いまものが空へと舞い上がる――
機械の町の子らが恐ろし気に目を瞠っている。
夢だったの、と問われ、私は頷きたくなる。夢だったと信じたかった。悪夢のような『まもの喰い』をまかいに放ってしまったことも、己がそれに手を貸してしまったことも、何もかも嘘だと言ってしまいたかった。
「……否、夢ではない」
子らに告げる声が震えた。
「決して決して、森の奥に行ってはいけない――」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
神話・伝説
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年09月10日
参加申し込みの期限
2017年09月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年09月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
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