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まかい探訪記
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亡霊聖騎士の物語を終え、黒弦を爪弾く。囁くような音色は、剽悍でありながらほんの少しだけもの悲しさを帯びている。
「土産を貰った」
脇に置いた背嚢を漁り、掌ほどの尖った牙を取り出す。
――これをやるから、そろそろ帰ってくれないか……
屠ったまものの一部を押し付け、うんざりと言う亡霊聖騎士の顔を思い出しつつ、掌に牙をもてあそぶ。牙の先を口に押し当て、息を吹き込む。途端、死者の楽園を荒らす大猪の咆哮じみた音が牙の根元から流れ出した。
驚いた顔をする観客の子らに笑みを向け、手元の『まものずかん』を捲る。次なる物語は、世界樹の森に出会ったまものたちの物語。
声を上げる間もなく、体が宙に舞っていた。
視界が反転する。世界樹の梢に覆われたまかいの空と腐葉土とカラフルな茸に覆われたまかいの地がぐるぐるぐる、何度も入れ替わる。
声を上げる間もなく転がり転がって、地を這う世界樹の根に背中や腰を強かに打ち付けようやく体が止まった。呻きつつ顔を上げれば、木漏れ日を背負って彼が立っていた。
神々しいほどに枝分かれした角や剥き出しの痩せた肩に青い鳥を乗せ、艶やかな栗毛に覆われたしなやかな獣の肢を軽やかに踏みかえ、彼は幼子じみた仕草で首を傾げた。年老いた樹木と同じ思慮深げな色した瞳を幾度か瞬かせて後、
「……悪かったんよ」
彼は心底申し訳なさそうに頭を下げた。傾く角の上、青い鳥たちが素知らぬ顔で毛づくろいをする。
あちこち痛む体を撫でながら、やっと思い至る。神秘的な世界樹の森に見つけた彼を必死に追いかけていて、反対に彼に気配を読まれてしまったのだと。気取られるなりその強靭な脚から放たれる痛烈な蹴りを受けてしまったのだと。
「これ打ち身に効く薬草だからつけとくといいし」
こちらこそ済まない、と詫びるよりも先、彼は地面から生えていた草を数枚摘んで渡してくれた。教えられるまま、手で揉んで痛む腰や背に貼り付けておく。
何故態度を軟化させたのかと問えば、彼はきょとんと瞬いた。小鳥たちを角や肩に遊ばせながら、すらりとした細い指をこちらに伸ばす。
指し示したのは、転がった拍子に掛けていた肩から落ちた世界樹の枝と嘆きの妖精の黒髪でできたリュート。
「楽器持ってる奴に悪い奴はいないさね」
さも当然のように、邪気なく微笑む。伸ばした指に止まる蒼い鳥に笑いかけ、指を引き寄せ小鳥と頬を寄せ合う。
「こいつらも落ち着いてるし、だからアンタは信用してもいいかなって」
セルバノ
と名乗った彼の言葉は、願ってもなかった。初対面のまものにこうまで言ってもらえることは珍しい。正直とてもありがたかった。ありがたいついでに、臆面もなくセルバノの物語を乞う。
「俺の話? 物好きな奴もいたもんさね」
物好き、と言われることには慣れていた。
森の王のようにも見えるセルバノに対し、後をつけただけでは足らず物語を強請るとは欲張りすぎかと一瞬思うも、欲を抑えることはできなかった。知りたかった。彼が彼となった、その物語を。できうるならば、彼の口から。
彼が興味を示したリュートを膝に引き寄せ、黒弦を撫でる。
しなやかな獣の脚を折り、彼は縦横に地を這う世界樹の根に腰を下ろす。ちゃんと覚えてないけど、と前置いて、彼は彼の物語を始めてくれた。
「確か昔はこんな脚じゃなかった気がするんよ、崖なんか登れなかったし」
口にしてから、思い出したように頷く。
「そういや取り替えっ子なんて呼ばれてたな」
――取り替えっ子。
セルバノは自分が何故そう呼ばれたのか知らないらしかった。
まかいには、時折そういう子らが現れる。悪戯好きなまものが、自らの子と異界の幼子とを取り替えて来てしまうのだ。連れてこられた異界の子は、まかいに暮らすうち己の素性を忘れ、いつしか己のかたちさえ変えて正真正銘のまものとなる。
『取り替えっ子』であるセルバノは、けれど己の過去にも正体にも然程興味はないように見えた。今の彼にとって何より大切なのは、この世界樹の森に暮らす仲間たちなのだろう。
「人間は嫌いさね」
ぽつりと零した、その瞬間だけ、セルバノの瞳に爛々とした怒りが灯った。彼の感情を読み取ってか、小鳥たちが一斉に羽ばたいて彼の傍を離れる。逃げる小鳥たちを悲しい眼で追い、セルバノは続ける。
「俺のツノやあいつらの羽根が売れるからって狙ってくるんさ。ツノだけ取られて命を奪われた仲間を見たことがある」
だから嫌いなんよ、とセルバノは人間と同じかたちした掌で顔を覆って呻いた。飛び立った小鳥たちが戻り、慰めるように小さく鳴く。
「しめっぽい話になっちゃったし、なにか一曲弾いてくれよ。みんなも踊りたいって言ってるし」
小鳥たちの頭を指先で順繰りに撫でるセルバノから今度はそっちの番さね、と水を向けられ、リュートを抱く。知る限りに軽やかで賑やかで明るい曲を奏でれば、セルバノと小鳥たちは踊り始めた。
緑溢れる森に軽やかな蹄のステップが、小鳥たちの歌声が響いてゆく。音楽好きのまものたちと一緒に夢中になってリュートを奏でているうち、森にはいつしか黄昏が落ちていた。
「今日は楽しかったんよ」
お礼にと渡されたのは、樹齢重ねた古木のようなセルバノ自身の角の一部。目を瞠る私に、彼は楽し気に笑んだ。如何な加工にも耐えられそうな粘りのある材質の角は、成長するうちに自然と落ちたものらしい。
「装飾品にされるよりは楽しいメロディをいつでも奏でてたいんよ」
あんたならきっと良い笛にでもしてくれる、と目を覗き込まれる。何もかもを見通すような静かな瞳に、この目を逸らしてはならないと思う。逸らせば、きっとまた蹴られる。
「また来てくれよな、今度は蹴らないから」
あっさりとその考えを読んで、世界樹の森の奥に生きるまものは踊るようにケラケラと明るく笑った。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
神話・伝説
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年09月10日
参加申し込みの期限
2017年09月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年09月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
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