さくら、ふたたび｜リアクション

さくら、ふたたび

『ごくろうだったな』
　さくらねこ星人たちが宇宙に帰ったことを説明した後、テオは最後にそう言った。時間が経って、塗られた絵の具が全て消えたら空間の切り取りを解除するという。
　御剣刀の手から巨大な筆が消えていく。
「終わったか。……そうだ。俺たちが散々塗った街はいまどんな感じなのかな？」
　刀は、ふと気になってろっこんで空気を足場にして高い場所に駆け上がった。眼下の街を眺めると、彼は思わず「うへっ」と口に出していた。超巨大なバケツに入った２色の絵の具を上からぶちまけたような状態だ。
「これは派手に塗ったな～……うん、テオに世界を区切られているから思うけど、これはこれで悪くない」
　さくらねこ星人が何者かはわからなかったけれども、また似たような存在が現れるかもしれない。
　そう思いながら、刀は絵の具まみれになった街並みをゆっくりと観賞した。

　夜になり、風見鶏スグリは星空を眺めていた。なんとなく、目が行ってしまったのだ。ついつい、さくらねこ星を探してしまう。
｢また遊べたらいいネ｣
　宇宙のどこかに向けて話しかけるように、スグリは言った。

☆☆☆☆☆☆☆

　街に塗られた絵の具は全て消え、テオは空間の切り取りを解除した。
　旅鴉月詠は、自分のアトリエに戻ると絵を描き始めた。使う絵の具は２色だけ。
　数日後――

「あっ、森宮さん、見てください～」
　小鳥カフェ＆ホテル『TABE＝TYA＝DAME』で、風羽は届いた荷物を開けて嬉しそうな笑顔で檎郎を呼んだ。ちなみに彼は、あの日に名残惜しさを感じているのか、さくらねこ星人の着ぐるみを着て仕事をしていた。
　着ぐるみの頭を脱いだ檎郎も、風羽の脇から覗きこんで「あっ！」と声をあげた。
「あの時の……」
　送られてきたのは、あの日に皆で校庭で描いた、桜の絵の再現だった。
「早速お店に飾りましょう～」
「はい！」
　風羽は、そうして檎郎と一緒に準備を始めた。

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あとがき

担当マスター：沢樹一海
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お久しぶりです。リアクションのお届けが大変遅くなってしまい、申し訳ございません。
ブロンズなら早く書けるかと考えてガイドを出させていただきましたが、全くそんなことはありませんでした。様々な面で読みが甘かったです。重ね重ね、申し訳ございませんでした。

本業と私生活、及び体調の問題で１ヶ月程、全くと言っていいくらい執筆ができませんでした。本業の問題が解決してから本格的に執筆を始めましたが、毎日少しずつしか進まず、このようなことになってしまいました。

２ヶ月以上お待たせする形になってしまいましたが、僅かでも楽しんでいただけると幸いです。

それでは、ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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