【新入生歓迎会】ピュアも猛者もまとめてエンジョイ新歓祭！｜リアクション

【新入生歓迎会】ピュアも猛者もまとめてエンジョイ新歓祭！

　校舎から講堂までの動線内や受付の周囲では、まだ不慣れな新入生を案内するスタッフの姿もある。
　ちょっとでも歩みを止めたり、迷うように周囲を見渡している生徒を見つければ、花椿涼太郎は迅速優雅に舞いながらそんな生徒の傍に参上していた。

「新入生歓迎大祭、略して……新・歓・祭！　のメイン会場はこちらだよ！
　良ければこの美しき案内人についてきたまえ、はーはっはっは！」
「いいねー、張り切ってるねぃ」
「はっ。生徒会書記であらせられる呉井先輩っ、も、スタッフですか！」
「勿論だよぅ。生徒会長の武道君も頑張ってるし、会計の恩君も司会するみたいだし、オレもスムーズにお祭りを開催できるようにがんばらないとねん」

　とはいえー……と、呉井陽太はしばし涼太郎の舞い様を見つめてふと思う。

「ここはお任せして、大丈夫そうかなー」
「どーん☆　と華麗にお任せあれ！　僕は去年の秋に転校してきた為に今回参加が初なので。
　目一杯美しく関わらせて頂けるのが、嬉しくてしょうがないのです！」
「あー、なるほどねぃ」

　そういうことならこの場は遠慮なく任せた方が彼も楽しそうかなん、なんて考えて。
　『じゃあよろしくねぃ♪』とひらひら手を振り、陽太は講堂の方へと歩いて行った。
　パァァッと輝く笑顔で一礼した後、一際高らかな声で張り切る涼太郎。

「はーっはっはっは！　やぁそこで迷える子羊が如く立っている新入生くんっ。
　お祭りは参加してこそ！　僕のように美しく、そして気高いパフォーマンスがたくさんだよ！　きっと思い出深い１日になるはずさ☆」

　救いの手ならぬ背中一押し的に赤い薔薇を差し出しながら、案内役としての仕事は至って真面目に。
　新入生たちの歩調に合わせ、講堂までの短い道のりを先頭で照らしていく涼太郎。
　そんなキラキラオーラに吸い寄せられるようにして近づいてきた人物一人。

「『気高いパフォーマンス』とは何とも的を射た表現だね。僕以外にそんなビューティフルな言葉遣いが出来る生徒がいたなんて」

　しゃらりら～～ん☆　と（本人の脳内のみでの）効果音と共に、鷹取洋二が美しく見える角度で『やぁ、お疲れ様』と口にしながらやってきた。

「３年生、の方ですね！　そちらこそ受験生なのにお疲れ様で……、んん？」
「や？　君はもしかして……駄菓子屋の少年かい？」
「あ！　よく来店してくれる常連さん！」

　祖父母の経営する駄菓子と文具の店『つばき』は、近隣の小中高生にそれなりに知られている。
　そこで看板息子としてよく店番にも出ている涼太郎は、『美と駄菓子を愛する素敵なお客さん☆』という印象の下その顔を覚えていたわけだが。
　学校の登下校中の買い食いは美しくないからね☆、な美意識たる洋二はいつも私服だったからか。
　お互いに同じ高校の先輩後輩だと、たった今判明したというそんな流れ。

「改めて。寝子高屈指の美貌を持つ男とはこの僕、鷹取洋二のことさ」
「初めまして！　現代が生んだ芸術ヒューマンこと、花椿涼太郎です！」

　キラキラ☆　チカチカ☆☆
　筆者も書いていてどちらがどちらか時折分からなくなる程、美の観点が似ている２人。
　それはお互いもそう感じたのか、しばしじっと見つめ合った後、学年の垣根を超えて魂からがしっと握手が交わされた。
　『君のところの駄菓子は、この辺りでも素晴らしい品揃えだね♪』
　『鷹取先輩、ブロマイドにおけるパーフェクトなポーズとはどうお考えで』
　会話しつつも案内役はしっかり務めて、常に行ったり来たり歩きながら。
　美しき案内係りが求められるならば僕がいなくてはね、と暫くちゃっかりと涼太郎と共に道案内のお手伝いをしている洋二であった。