【新入生歓迎会】ピュアも猛者もまとめてエンジョイ新歓祭！｜リアクション

【新入生歓迎会】ピュアも猛者もまとめてエンジョイ新歓祭！

■「新入生歓迎大祭、略して……新歓祭！」

　司会者二人の声が息ぴったりに、講堂内に冴えわたった。
　観客、スタッフ、出演者たち、一様に拍手で応える。

「Ladies and gentlemen, shall we begin？♪　司会は私、２年の桃川圭花と、」
「３年の早坂恩でお送りするわよー！　応援だって頑張っちゃうわよー！」
「なお、問題というかラスボスと言うか、倒すべき我らが生徒会長さんはあちらに座ってるからね。
　パフォーマーの皆さんは、舞台からビッシバッシとパワーをぶつけてね！」
「待って待って！　趣旨ちがわないっ！？　俺倒すんだっけコレ！？」
「そぉよー、知らなかった？☆」
「うをぉぉぉ知らなかったデス！！」

　アドリブで早速振ってくる司会からの言葉を、すかさず会長席脇に念のため備え付けられていたマイク片手に、全力でノル志波武道。
　ありがとう楽しい！　そんな気持ち溢れるリアクションを司会者二人は『ぐっじょぶ』と受け止めたとか。
　　
　舞台袖まで響く声々に、待機している全員の顔が緊張で強張ったのを見て恵御納夏朝はぐっと握りこぶしをつくった。

「大丈夫っ。みんなで頑張って作った衣装、素敵だよ。練習通りやろう！」
「そうだよ♪　楽しんだもん勝ちだよー！」

　夏朝に続くようにして野々ののこがニパッと笑みを向ければ、新入生たちの表情が少しだけ綻んだ。
　――　まさかトップバッターだとは思わなかった……去年経験してるとはいえ、僕もさすがにちょっと緊張する、けど。

「新入生の子や、あとに続く人たちにもなごんでもらえたら嬉しいなぁ」

　夏朝の想いを受け止めたようにし、遠野まほろがこっくりと頷き紡いでは微笑む。
　勇気が湧いてくる。
　去年は勢いのまま単身でパフォーマンスをしたけれど。それも楽しくはあったけれど。
　仲間のいる頼もしさを、そっと噛み締めながら夏朝は大きく深呼吸をし。

「いよいよ本番……皆でにゃんにゃん頑張ろう！」

　控えめながらもオーーッ！　と全員で気合を入れた瞬間、舞台上がパァッと照らされた。

　◇　◇　◇

　この時、新歓祭とは関係ないはずの屋上に、一人の生徒の影があった。
　――　なんということデショー……。
　ひゅるりら～、と温かくも爽やかな春風が頬を撫でるも、今の風見鶏スグリには哀愁増す初秋のように感じられた。

「ぶふぅ……っ。よくこんな状態で寝てられたねオレ……！　器用！！」

　がばっと上げた顔の正面には屋上の金網。
　昨夜もいつも通りゲームに夢中になり遅くなって、あまりの眠気ＭＡＸ具合に頭をスッキリさせようと屋上にやって来た、はずだったのだが。
　大変器用に、金網に捕まって立ったまま居眠りをしていたようだ。それはもうグッスリ。

「ハッ！！　もしや、すでに新歓祭始まってるんじゃねーの！？」

　決してサボるつもりなど無かったスグリ、『ヤダァ、遅刻遅刻～っ』と慌てて講堂へと駆け出して行った。