眠猫島夢対戦　絶島バトルロワイヤル｜リアクション

眠猫島夢対戦　絶島バトルロワイヤル

■生き残るのは、私！
　雲ほどの高さをゆく飛行機のハッチを、白真白は走る。
　薄暗い機内から一転、光の白む空へと跳ねた。
　暴風。
　太陽の熱。
　音が消え、転がっていた身体が自由落下に慣れていく。
　慣れたところで見回せば、同じように降下する人々が見えた。数にして１０～２０前後と言ったところか。近いところに降下するつもりの参加者も居るようだ。
　狙うは座標Ｉ６。動物園エリア。
　それなりに広く、遮蔽物や建物も多く、いざとなれば走りやすい。『真白の性質』を考えれば序盤の位置取りとして完璧な拠点である。
「夢なら、好き勝手やらせて貰っちゃおう。目標は、序盤で５人は仕留めたいところ、かな！」
　これはバトルロワイヤル。
　最後の一人になるまで戦う、夢中のデスゲームだ。

　パラシュートを開いて着地。いきなり柵の内側に下りてもよろしくないので正面ゲートの開けたエリアを狙ってみたが、なかなかうまく着地できたようだ。
　早速そばの食堂へ駆け込む。
「ぱっと見、廃墟っぽかったけど……本当に廃墟なんだ……」
　扉を開いて見ると、中はひどくがらんとしていた。
　手つかずになって一ヶ月といったところか。軽く荒らされたような、何かが入って暴れたような、廃墟というには逆に小綺麗なような。
　まあ、ロケーションはこの際なんでもいい。
「まずは探索探索……おっ、これはアタリだね」
　真白が見つけたのは手榴弾とアサルトライフル。服で防御を固めて突っ込む真白のスタイルにばっちりハマった装備だ。
「まずは、これで入ってきた参加者を狩りますか」
　がしょんとマガジンを装填。真白はニヤリと笑った。

　爆発。ゲート付近で手榴弾の爆破に巻き込まれた参加者は足を引きずって逃げ出した。
「助けてくれ相棒、トラップが！」
「今行く！」
　救急スプレーを持って駆けつける別の参加者――にアサルトライフルによるバースト射撃が浴びせられた。
　反撃に銃撃をしかけてくる参加者。
　しかし食堂の窓から身を乗り出していた真白にはまるで通用しなかった。硬化した服の表面を跳ねて行くのみである。
　ヒュウと口笛を吹く真白。
「案外ちょろいね。おっと、そろそろ範囲が狭まる時間だ」
　警告のアナウンスを聞いて、真白はシーサイドタウンへと走り出した。
　駐車場で自動車を見つけたはいいが、キーがささっていなかったりなんだりでうまくパクることができなかった。よく漫画で見るガッてやってバチってやるやつもやり方を知らない。最近の車はそのくらいじゃ動かなくなっているそうだが。
「せめて自転車くらい手に入れば楽だったのに。ま、攻防整った今の私を、誰も止められないけどね！　はっはっは、今夜はドンか――びゃん！？」
　瞬間。
　強烈なヘッドショットが真白を襲った。
　いっそ全身布で覆っておけばよかった、などと思った真白であった。

「ふう……うまくいったか」
　鷹虎龍獅は物陰から立ち上がり、額の汗をぬぐった。
　手にはスナイパーライフル。範囲の縮小に伴って２９９号線を移動しようとする参加者を地道に狙っていた次第である。
　しかし今の発砲音で後続には気づかれた筈。この場所もじきに範囲外になってしまうだろうし……。
「そろそろ行くか」
　真白の持っていたアサルトライフルだけを回収すると、龍獅はマウンテンバイクに飛び乗った。

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