せんせいといっしょ：川添先生編｜リアクション

せんせいといっしょ：川添先生編

「こんにちは川添先生！　改めてよろしくお願いするよ！」
　そんなやりとりをしている一団の後ろから光を放つかのような風情で――実際放っているわけだが――声をかけてきたのは、花椿涼太郎だった。
「花椿さん、相変わらずキラッキラですねー」
　美咲紀が笑いながら言うと、「堪能してくれたかい？」と笑みを浮かべる涼太郎。
　言葉とともに背後に散らばっていたキラキラが収束していく。

「うわぁ、なんだかわからないけどきらめいてるねぇ。涼太郎君、参加してくれてありがとう、こちらこそ、改めてよろしくねぇ」
　そういってジャージを脱いだまま振り返った川添先生の胸元が、涼太郎の視界に飛び込んでくる。

　隣のクラスの担任であるので、顔くらいは既に知っている仲ではあるのだけれど。
「――って、え、先生は女性だったのかい！？」
　だがしかし、そこはそれ。やはり知らないことはあるらしい。
　この場合、知らなかったのかよ！　と涼太郎君へ突っ込むべきか、悟られない川添先生の日常に突っ込むべきかは意見の分かれるところなのかもしれないが。

「あはは、よく言われるよぉ。こう見えても一応そうだねぇ」
　思わず出てしまった驚きの声も全く気にしない先生。
　あ、よさそうな石だね、と足元の石を拾い上げつつ、涼太郎へと言葉を返していた。
　
「はっはっは、凛々しいから驚いてしまったよ！　失敬したね！　申し訳ない」
　未だ遠い目をしている解理の横で、速やかに立ち直ると、高笑いを浮かべた涼太郎君。

　内心としては、（むしろ女性らしくて色っぽい先生が担任だとドキドキしそうだから、接しやすそうでありがたいなぁ）などと思っているわけだが……なんとかその感想は心の中に留めたらしかった。
　たぶん、漏らしていたら周囲の女性から何かしら、ツッコミを入れられまくることになったであろうから。