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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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パラダイスキーパー ～翼ある護り手達と絶望凍る湖～
辿り着いた場所は、とび込んだはずの湖の傍だった。
しかし、湖を満たす水は闇を凝り固めたようにどろどろと濁っている。
辺りへと鋭い眼差しを遣って、華城 尊はすっと眉根を寄せた。
「これは……惨いな……」
地上で砂の世界に彩りを与えていた草木は、全て枯れて、炭を思わせる色に変色している。
そこに、《生》の気配は微塵もなかった。
足元の砂の感触さえも、柔らかさを失い、ざらざらと居心地の悪い感じがする。
既に些か辛そうな様子の翼獣ミケの背を労わるように撫でてやりながら、
「荒れきった世界、だねぇ。ミケたちの住処をこんな風にするわけにはいかないよぉ」
と壬生 由貴奈が零すのに、頷きが幾らも返った。
ここに集った者達は皆、同じ気持ちを胸に、この地の砂を踏んでいる。
「それに……こんなところで、これ以上カイくん達の仲間を苦しめさせねえ！」
卯木 衛は、爪の当たる部分から血が滲みそうなほどに、ぎゅっと拳を握った。
しかし、力強いその声に悲壮な色はなく、むしろ眩い光が散るような響きを帯びている。
衛は、傍らの翼獣カイへとにっと笑い掛けた。
「きっついよな、カイくん。でも、絶対大丈夫だから！」
口先だけの約束ではない。
光を絶やさぬ黄色の双眸が、それを雄弁に語る。
くくる、と、カイも努めて明るい鳴き声を上げた。
信じていると、自分も衛と同じことを思い決めていると、そう告げるように。
眩しく微笑ましいその様子に、八神 修はふっと口元に笑みを乗せた。
「頼もしいな。そう、俺達の力を……『群れとしての人の強さ』を見せてやろう」
「ああ。先ずは、取り残された翼獣達を見つけないとな」
新田 亮の言葉に、修は静かに首を縦に振る。
翼獣ヨクと亮が伴っている翼獣が、勇壮そのもの、オオウと鳴き声を揃えた。
「そうと決まったら、じっとしてはいられないのです！ ね、ルーク！」
翼獣ルークへと真剣な眼差しをして語り掛けるは、椿 美咲紀。
その片方の手には、既に癒しのろっこんを発動させるトリガーとなる一輪の花が握られている。
美咲紀の胸には、一刻も早く翼獣達を助けたいという想いが溢れていた。
その胸の内を汲み取って、呉井 陽太がこくりと頷く。
「うん、美咲紀ちゃんの気持ち、よくわかるよぅ。ムク達の消耗も激しいし……急ごう、皆」
「だな、呉井。ケド、取り残されたヤツらはドコにいんだろうな……？」
「それはわからないけど……でも、手を尽くすしかない、よねぃ」
翼獣ムクの頭に柔らかく手を置いたまま言ったあとで、陽太は猫のニャッタ君をポケットから取り出した。
指でつつけば、キジトラ猫の粘土細工が、ぴょん！ と動き出す。
「呉井先輩、その猫は？」
「オレと視覚を共有しての、偵察係って感じかな？ 戦いに有利な地形とか見つけられたら、って」
尊の問いに、陽太はにっこりとしてそう応じた。
辺りを見渡す限りでは平坦な地形が続いているが、できることは何でもやっておきたい。
修が、ヨクを撫でながら、その場にいる全員の顔を真摯な面持ちで見回した。
「よし！ 皆、行こう！」
「おう！ ……あ、リブは本調子じゃねぇんだから、無理すんじゃねぇぞ……？」
今はその背に跨るのは止めておいて、楢木 春彦は翼獣リブへと労わるように声を掛ける。
けれど、まだまだいけるとばかりにリブが鼻を鳴らしたものだから、春彦は思わず笑ってしまった。
「っはは、悪ぃ。オマエはそういう性格だったよな」
「ふふ、頼もしいねぃ」
「全くだ」
陽太が目元を和らげ、亮がその言葉に同意する。
修と美咲紀は顔を見合わせて微笑み、尊も幾らか表情を柔らかくする。
「本当にその翼獣――リブの言う通りだな。元よりそのつもりだが、俺達も全力を尽くそう」
「おうっ！ 張り切っていこうぜ！」
尊の言葉に応じて衛が元気いっぱい拳を天に突き上げれば、カイが嬉しそうに喉を鳴らした。
他の翼獣達も、上手く力の入らないらしい身体に、それでも精一杯の気力を漲らせる。
「ふふ、やっぱりミケは、そういう顔をしてるのがいいねぇ」
由貴奈が、ミケの首にぎゅうと抱きついた。
目的は勿論、もふもふである。
「湖にとび込んだのに濡れてないだけでも重畳だし、頑張っちゃおうか」
由貴奈の言葉に不敵な笑みを返して、春彦はぐっと両の拳を握った。
「うっし！ そんじゃあ改めて……」
「きっちり解決してやろうぜ、皆！」
オリーブグリーンの双眸の奥に燃える炎は、先ほどまでよりも勢いを増している。
不屈の希望を纏ったその炎は、今、全員の瞳の中に、胸の奥に宿っていた。
しかし、湖を満たす水は闇を凝り固めたようにどろどろと濁っている。
辺りへと鋭い眼差しを遣って、華城 尊はすっと眉根を寄せた。
「これは……惨いな……」
地上で砂の世界に彩りを与えていた草木は、全て枯れて、炭を思わせる色に変色している。
そこに、《生》の気配は微塵もなかった。
足元の砂の感触さえも、柔らかさを失い、ざらざらと居心地の悪い感じがする。
既に些か辛そうな様子の翼獣ミケの背を労わるように撫でてやりながら、
「荒れきった世界、だねぇ。ミケたちの住処をこんな風にするわけにはいかないよぉ」
と壬生 由貴奈が零すのに、頷きが幾らも返った。
ここに集った者達は皆、同じ気持ちを胸に、この地の砂を踏んでいる。
「それに……こんなところで、これ以上カイくん達の仲間を苦しめさせねえ！」
卯木 衛は、爪の当たる部分から血が滲みそうなほどに、ぎゅっと拳を握った。
しかし、力強いその声に悲壮な色はなく、むしろ眩い光が散るような響きを帯びている。
衛は、傍らの翼獣カイへとにっと笑い掛けた。
「きっついよな、カイくん。でも、絶対大丈夫だから！」
口先だけの約束ではない。
光を絶やさぬ黄色の双眸が、それを雄弁に語る。
くくる、と、カイも努めて明るい鳴き声を上げた。
信じていると、自分も衛と同じことを思い決めていると、そう告げるように。
眩しく微笑ましいその様子に、八神 修はふっと口元に笑みを乗せた。
「頼もしいな。そう、俺達の力を……『群れとしての人の強さ』を見せてやろう」
「ああ。先ずは、取り残された翼獣達を見つけないとな」
新田 亮の言葉に、修は静かに首を縦に振る。
翼獣ヨクと亮が伴っている翼獣が、勇壮そのもの、オオウと鳴き声を揃えた。
「そうと決まったら、じっとしてはいられないのです！ ね、ルーク！」
翼獣ルークへと真剣な眼差しをして語り掛けるは、椿 美咲紀。
その片方の手には、既に癒しのろっこんを発動させるトリガーとなる一輪の花が握られている。
美咲紀の胸には、一刻も早く翼獣達を助けたいという想いが溢れていた。
その胸の内を汲み取って、呉井 陽太がこくりと頷く。
「うん、美咲紀ちゃんの気持ち、よくわかるよぅ。ムク達の消耗も激しいし……急ごう、皆」
「だな、呉井。ケド、取り残されたヤツらはドコにいんだろうな……？」
「それはわからないけど……でも、手を尽くすしかない、よねぃ」
翼獣ムクの頭に柔らかく手を置いたまま言ったあとで、陽太は猫のニャッタ君をポケットから取り出した。
指でつつけば、キジトラ猫の粘土細工が、ぴょん！ と動き出す。
「呉井先輩、その猫は？」
「オレと視覚を共有しての、偵察係って感じかな？ 戦いに有利な地形とか見つけられたら、って」
尊の問いに、陽太はにっこりとしてそう応じた。
辺りを見渡す限りでは平坦な地形が続いているが、できることは何でもやっておきたい。
修が、ヨクを撫でながら、その場にいる全員の顔を真摯な面持ちで見回した。
「よし！ 皆、行こう！」
「おう！ ……あ、リブは本調子じゃねぇんだから、無理すんじゃねぇぞ……？」
今はその背に跨るのは止めておいて、楢木 春彦は翼獣リブへと労わるように声を掛ける。
けれど、まだまだいけるとばかりにリブが鼻を鳴らしたものだから、春彦は思わず笑ってしまった。
「っはは、悪ぃ。オマエはそういう性格だったよな」
「ふふ、頼もしいねぃ」
「全くだ」
陽太が目元を和らげ、亮がその言葉に同意する。
修と美咲紀は顔を見合わせて微笑み、尊も幾らか表情を柔らかくする。
「本当にその翼獣――リブの言う通りだな。元よりそのつもりだが、俺達も全力を尽くそう」
「おうっ！ 張り切っていこうぜ！」
尊の言葉に応じて衛が元気いっぱい拳を天に突き上げれば、カイが嬉しそうに喉を鳴らした。
他の翼獣達も、上手く力の入らないらしい身体に、それでも精一杯の気力を漲らせる。
「ふふ、やっぱりミケは、そういう顔をしてるのがいいねぇ」
由貴奈が、ミケの首にぎゅうと抱きついた。
目的は勿論、もふもふである。
「湖にとび込んだのに濡れてないだけでも重畳だし、頑張っちゃおうか」
由貴奈の言葉に不敵な笑みを返して、春彦はぐっと両の拳を握った。
「うっし！ そんじゃあ改めて……」
オリーブグリーンの双眸の奥に燃える炎は、先ほどまでよりも勢いを増している。
不屈の希望を纏ったその炎は、今、全員の瞳の中に、胸の奥に宿っていた。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2017年09月17日
- 参加申し込みの期限
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- 2017年09月24日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2017年09月24日 11時00分
