let's go ハワイニャンランド！｜リアクション

let's go ハワイニャンランド！

■たまにはこんなハワイニャン
　福引きで当てた無料招待チケット。
　白真白はその一枚を握りしめ、ハワイニャンランドへやってきた。
「準備も万端。これならプールも楽しめるはず……！」
　早速水着でプールに飛び込むシーンから入ってもいいのだが、ここはひとつ更衣室でのワンシーンから。
　真白は事故の後遺症から身体の一部が正常に機能せずテープタイプの吸水ケア用品を常用しているのだが、まさかプールにまで持ち込むわけにはいかない。
「と、いうことで……」
　技術の進歩というべきかモラルの向上と言うべきか、生理用品の中にはそういった悩みを一時的に解決してくれるアイテムがいくつか存在している。真白は常用しているケア用品とそれらを取り替えて、その上から水着を着込んでみた。
　特に目立つ感じも無い。念を押すならスパッツタイプのそれ専用水着を着込んでもよかったが、そこまでの事態では無かろう。
「よしっ、準備オッケー。これで一日楽しめるぞ、っと！」
　さて改めて。
　真白は自慢の白ビキニでハワイニャンランドへ繰り出したのだった。

「去年の水着だからかな。胸がちょっときついかも……」
　ブラのあたりをくいくいやりながら、まずは何から楽しもうかと歩いていると。
「あっ、飛び込み台がある」
　焔が宙返りしながら飛び込む最中だったようで、周りが歓声をあげている。
　こうなりゃ負けてられないぞと真白も一番高い飛び込み台の列に並んでみたが……。
「お嬢ちゃん。この台はもっと大きくなってからにしようね」
「はうっ！」
　高校生にしてはかなりの低身長。１３０センチ制限を超えられない真白である。軽く小中学生に間違われつつ、とぼとぼ断念するのであった。
　身長の悩みというのはどうにもならんもので、この先もウォータースライダーに入れなかったり大きな滑り台に拒否られたりと、なかなかうまくいかないものである。ついさっき１８０センチくらいある高身長の同級生（碧南）がなんだかお上品な笑みをうかべながらスライダーに入っていったのを見て、なぜ神は身長を平等にしなかったのかと考えた。
　今だけ身長伸びないかな。五センチ、いや十……このさい五十センチくらい伸びて頂いてもいいんだけど！
　１８０センチ近い高身長の自分を想像してみる。
　全ての頭が低いなかを、まるで海を割る奇跡のごとくかきわけて進んでいく自分。
　おだやかかつ上品に手を振りながら飛び込み台の身長測定パネルを通り過ぎ、イルカのごとく美しくプールへ飛び込む自分。
「いいなあ……」
　浮き輪にお尻をはめてぷかぷか流れながら、真白は理想の自分を空想していた。
　目を瞑って流れに身を任せてみる。
　まあ、こういうのもいいよね。

このページにイラストを設定する