ザ・ホラーハウスショー！｜リアクション

ザ・ホラーハウスショー！

■ホラーハウスＡルート・アフター
　魚塚源三は特殊メイクの『縫い合わせた口風マスク』をひっぺがした。
「ぶはあ！　苦しいってんだ畜生！　あとなんだあいつら、見せつけやがってよお！」
「フッ、これがホラー永遠に愛される理由ってやつだ」
　花菱真紀がメイクをほどほどに解いて眼鏡をかけた。
「恐怖や驚きってのは、その分興奮が高まるとされてる。特に倦怠期のカップルや夫婦が入れば、初恋みてーなドキドキを思い出すってわけだ」
「つまりは愛……！　ああっ、私、愛のキューピットになったのですね……！」
　くねくねする黒タイツ。もといアケーチ・タッマーキ。
　およそキューピットの容姿ではない。
　一方でヨハン・プレストンはホッケーマスクのままこくんと頷いた。
「恐怖にも意味があったか」
「ひいっ、なんですのあなた！　恐！」
　驚いてるのか喜んでるのかわかんないテンションでやってくる上下左右。
「皆さん、お疲れ様ですわ。叫んで走って、大変でしたわね」
「問題ない。しかし……あのギミックには驚いたな」
　振り返ると、アケーチや真紀が瞬間移動した（かのように見せかける）ギミックがぱったんぱったんしていた。
　鏡や写真パネル、そしてフラッシュを使って実像と虚像を錯覚させ、こっそり後ろに回り込んだ相手を瞬間移動したかのように見せかけるギミックだ。ヨハンが珍しく感心していた。
「いつの間にか後ろに、はホラー映画の定番ですもの！」
　ふふーんと言って胸を張る左右。
　というか、『定番ですもの！』でギミックをさくっと完成させてしまう辺りが左右だった。
「さてと、あとはＢルートの皆さんにお任せしましょう。私たちは休憩ですわ！」

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