５０００兆円貰った！｜リアクション

５０００兆円貰った！

◆美少年ランド、開園！　（３）
　星の瞬く夜空を、三人は甲板の上から眺めていた。ロベルトが二人を連れた先は、船の上。優雅に水面を滑るクルーザーから見える夜景は、どこか特別な物に思える。ゆったりとした時間を過ごす中、ロベルトが徐にこう言いだした。

「５０００兆円を手に入れた今の僕ならどこでも連れて行ってあげるし、なんでも買ってあげるよ！　……何か欲しいもの、あるかい？」
「特にないな」

　今まで出来なかったこと、例えばもっと大人の付き合いも出来ると、そう考えて放った言葉は悠月によってバッサリと斬られる。アカリもアカリで、自分も５０００兆円を持っていることを告白し、

「なんで、特にない」

　とバッサリ。ロベルトは露骨に肩を落としてしょんぼりと、捨てられた子犬のような目を向けた。

「そっかぁ……二人ともお金持ちだもんね、今更欲しいものもないか……」
「けどあえて言うなら……」

　その後に続いたアカリの言葉に、ロベルトはぴんと、しっぽがあれば立てていた程に反応する。

「今日、先輩と……一応獅子目も入れてやるか……一緒に出掛けて」
「一応とはなんだ」
「ま、まだ途中だから！　お前は黙ってろよ！」

　こほん。アカリは咳払いして、場を仕切りなおす。桜色の瞳がロベルトを捉えた。

「……楽しかった、ので。またどっか連れてってくれてもいい……んですよ？」

　悠月もまた、アカリの言葉を受けて言を紡ぐ――物なんかより、今日みたいに遊ぶ方が断然嬉しいのだと、その気持ちを込めて――

「ああ。今日は楽しかったぞ。……友人とこういうところに来たのははじめてだからな」
「そ、そう！？」

　先程までしょんぼりしていたのが嘘のように、二人の言葉を受けて機嫌を直したロベルト。そのまま手元のドリンクを飲み干して、ふわりと笑った。

「今度は貸し切りじゃない遊園地にも行ってみようね！」

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