「むー……ちょっとピンチだな?」
来島 アカリは困っていた。お財布を眺めては、溜息を吐く。
少々羽目を外しすぎたようだ。いつもより減りの早いそれに不安が募る。
「お嬢様、お迎えに上がりました!」
そんなアカリの前に突如現れたのは、黒服の男だった。
いつのまにか立っていた、この男。その明るく響く声の後に、リムジンの止まる音が追いついた。
「お、俺、お嬢様じゃねーし……!」
小さな抵抗も虚しく、アカリはリムジンへ押し込まれてしまう。
「むむむ……」
リムジンの中は、黒服の男で溢れ返っていた。とてもむさい。
誘拐? アカリが警察を呼ぶべく携帯を取り出すと、
「貴女のものですよ」
黒服の男が、通帳を手渡してくる。
「ご確認ください」
困惑しながら受け取ったそれを開き、アカリは言葉を失った。それもそのはずである。
残高の項目に記された数字は、いち高校生の自分にはあまりにも過ぎた大金だったからである。
その額なんと――
5000兆円。
黒服の男から5000兆円を受け取ったのは、アカリだけではない。
どうやら寝子島の住民を無差別に訪れているようだ。
ロザリー・マルリアーヴもまた、5000兆円を受け取った者の一人である。
「でもこんな大金、どう使えばいいかわからないわ」
「ご心配ありません、あなたの思うまま使えばよろしい!」
黒服の男は爽やかな笑顔で答えた。
「南国でのバカンスも!」
「豪奢なドレスも! ……思いのままになる、それが5000兆円です!」
「すごいわ!」
「――チッ」
にゃごー。猫のパンチが、世界を切り裂いた。
はじめまして、六原紀伊と申します。
どうぞよろしくお願いいたします。
ガイドに登場頂きました来島 アカリ様、ロザリー・マルリアーヴ様、本当にありがとうございます。
参加頂ける場合はガイドに縛られず、自由にアクションをかけて下さい。
身の丈に合わない大金を手に入れたとき、その人の本性が見えると思っています。
概要
突如現れた黒服の男。
そして与えられる、5000兆円。
切り分けられ、異変が終われば何も残さず消滅する世界。
大金を手に入れた皆さまが1日をどう過ごすか、自由にアクションをかけてください。
※注意
1日が終わると5000兆円(残額)と、5000兆円を使って手に入れたものはすべて消滅します
このシナリオで世界に大きな影響を与える行動をしても、他のシナリオでその行動・設定を持ち越しすることはできません
リアクションは基本、個別描写になります。他の参加者様との交流をご希望の方はGAをご利用ください。
それでは、ご参加お待ちしております。