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前程万里の姿也
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◆塗れる体に浴びるは光、踏むは影
「うわっ、ナンだよコレ……」
「ちょっと……どうして帰って来た途端びしょ濡れなのよ……」
「いや俺に言うなよ俺睨むなよ」
ぱしゃりと音を立てて着地した
楢木 春彦
は、重っ! と叫んではとっととパーカーを脱いで絞り出す。
一条 紗矢香
も自身のグッショリっぷりにすぐ気付くも、彼のように脱いで絞るというわけにもいかなかった。
ほんの少しの買い物のつもりだったとはいえ、出掛ける意識でいつもよりちょっぴり甘めな、春物のワンピースを纏っていたのだ。
春風にふんわりと揺れていたスカート部分も、今や見る影もない。溜息混じりに、焼け石に水程度と思いつつも足に纏わりつかないよう生地を絞ってみる。
春彦のパーカーから、紗矢香のスカートから、ボタボタと勢いよく水が行き場を失って地面に落ちた。
―― コレなら脱いだほうがマシか? ケド上半身裸もマズイか? こーいうのってナンだっけか……
「あ! よくある流行りの濡れ透けってヤツか?」
「なにが流行りの濡れ透けってヤツ、よ……」
張り付いたシャツの気持ち悪さを半ば誤魔化すように、明るく発せられた言葉に脱力した声がすぐに被さる。
まだ互いに背中を向けて服を絞った状態のまま、心の声が漏れていた事に気付けばこの際とばかりに春彦は前向きに言葉を繋ぐ。どこか落ち込んだ声色に聞こえた彼女を励ますように。
「ホラ、よく言うじゃん。水もしたたるナンとかって……」
「……自分で言ってたら台無しね」
ふふ、と息が混ざって浮上した様子を背後から感じ取って、春彦はパンッとパーカーを張った。
そこではたと。
―― !? サヤも透けてんじゃ……。
ここは水たまりが普通にある往来である。自身の、白のシャツから薄っすら透ける肌色を見やれば、彼女の珍しくも淡い色のワンピース姿がすぐに思い出されて(普段あまりしない恰好していたから印象に残っていた、とのこと)。
春彦、ばっと慌てて振り返る。
「? どうしたの?」
「あ。サヤはまだマシ、だな」
「ああ、多少透けてはいるけれど裏道使って帰れば大丈夫よ」
彼のホッとした表情を見やれば、どのような心配の念を抱いてくれたのかすぐに伝わった。
肩をすくめて、何でもない様に返事をする紗矢香。
―― あったかくなってきたとはいっても……このままじゃ風邪引くよな。
男である自分は最悪脱げばいい。が、流石に彼女はそうもいかない。
ピッタリと身体のラインに沿った背中を見つめると、こんな細かったっけか……と彼女の合気道の腕前は身に沁みて知っていてもどこか心配になって。
春彦の片手に握られていたパーカーが、そのしっとり濡れた後頭部へと投げつけられた。
「!? 急になに?」
「ソレ貸してやっからサヤはソレ着とけよ」
「……いつも唐突ね、春彦」
つい返してしまうものの、ぶっきらぼうな言葉にも行動にも、彼らしい温かい気持ちが混じっているのを紗矢香は知っている。
だから、そっと付け足す。『でも、せっかくだから借りるわね』と。
袖を通せば、当然のことながらサイズは大きく、袖口から手が出ない。
ちょっと待って……と折り折りする姿を、春彦は黙って見守る。
―― ……あれがシャツだったら、噂の彼シャツってやつになんのか……。
家族枠の幼馴染の姿を、エアー彼女に変換して何やら思っているようだが。青春謳歌する男子高校生、純粋な想像力を真っ当に発揮するくらいは許してあげてほしい。
―― 春彦……いつの間にかこんなに大きくなっていたのね。
そしてこちらはコチラで、しみじみと姉のような母親のような気分になっている紗矢香嬢がいたり。
口にしたらば、『俺の方が誕生日早いっつーの』とでも返ってくる気しかしなかった為、思うに留めておかれたようだ。
これでよし、とパーカーの前を閉めて振り返った紗矢香と、春彦の視線が再び合った。
お互いの姿を改めて捉えると、いっそどこか可笑しくなって二人の口元が緩む。
「バーカ。裏道なんか使わずにまっすぐ帰れよ」
「はいはい、真っ直ぐ帰るわよ」
分かれ道に差し掛かれば、惜しむことなくそう紡ぎ合い。
いつの間にかずっと大きく筋肉のついた背中を最後に振り返ると、『ありがとうね』と澄んだ声が届けられた。
振り返らずに足早に、ただ一度だけ片手をひらひらさせた後ろ姿に、一瞬だけあの水面でみたような大人びたものが見えた気がした。
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あっちの私、羨ましいな……。
私もいつか「いってらっしゃいのちゅー」と「おかえりなさいのちゅー」はしたいと思ってます。
それは勿論、あの人と。
つい先程まで目にしていた光景がまだ鮮明に思い出されて、
宮祀 智瑜
は水溜まりの上で夢心地な表情を浮かべていた。
不意打ちとはいえ、『あーん』を成功させたことを思えば、意外と遠く無い未来な気もして。
―― 頑張ります!
違う学年の担任となった先生(※恋の力で調べ済)に理由を付けて会いに行くのは、隣りのクラスだった時より遥かに難しくなったなとどこか思っていたけれど。
一つに未来を、可能性の姿を見せられれば一途な想いは再び希望と共に燃え上がる。
びしょ濡れだけれどしっかりリンゴの入った箱は死守していた手をぎゅっと箱ごと握りしめて、顔を上げた智瑜の表情はとても晴れ晴れとしているのであった。
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「ぬー……びしょびしょです。これはマズイですね」
自身の身体を見下ろせば先程は春風にのって優雅になびいていたワンピースが、今や風に負けることなくピッタリと身体のラインを強調させ貼り付いている。
本条 小萩
ちゃん、顎に指を二本ほどやって思考のポーズ。
このままでは、この間の美術館の二の舞。
美し過ぎる且つセクシーすぎるが故に、男の人たちの目の毒だと判断されて追い出されるどころか、今度は監禁されてしまいかねない。
ふと、自分の境地程ではないが美しさに耐性というか美しさそのものというか、このセクシー小萩を見ても褒め称えこそすれ追い出したりしなそうな人物が一人だけ、小萩の脳裏によぎった。
ふむん……ここから近いですよね。
上着くらい借りられないだろうかと思案した後、目の毒的輝く水滴をまき散らさないようなるべく物陰に沿って、しかし足早に、ご縁があるどこかの文具店を目指す小萩の姿があるのだった。
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「水浸しなのは冷静になれって事です?」
羞恥プレイから抜け出て安堵したのも束の間、全身ぐっしょりな姿を見下ろすと
椿 美咲紀
の先程までの動揺はいっそ落ち着きを見せていった。
―― 確かに一度はあのような華麗なる売れっ子姿を妄想したことはあります、が……。
色々予想外でした。
しかしノープロブレムです。このまま黒歴史を完全に封印してしまいましょう。
思い出させられたことは大層なダメージとなったが、あれは世に出しちゃならぬ! と確信出来たことはきっと収穫なのだ。
美咲紀、奥深くに未だ仕舞われているであろうブツに思いを馳せた後、新たなる封印を施す算段をつけた。
同時に奮起する。
―― あれに比べたらばっ、今書いているものは結構読めるものになってきたんじゃないでしょうか!
比較対象がアレだということはすっぽんと抜け落ちて、書き続けていれば上達するもんです、とどこかホクホクしている美咲紀がいるのであった。
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塗れた前髪を片手で梳いて後ろに流す。
柔らかな日差し色のオールバックに、風が抜ければ心地よさを感じて
八神 修
は顔を上げた。
その表情は緩やかに微笑んで満足感を浮かべている。
―― 「他人」を題材にした映画を見た感触、かな。
悪くは無かった。むしろ面白い物を観せてもらったと思う。
ただ自分の道は、今の自分が切り開いていくだけだと、改めて実感したくらいで。
びしょ濡れの状態で往来を歩くのもな、と思い至れば、こういう状況下の時は当たり前となった連絡先をスマホ画面に打ち出して。
まぁ……無性に今顔を見たくなった、という気持ちがあるのも否定はしない。
肩をすくめながら、いつもの声のトーンで修は先程まで見ていた兄もとい運転手へと、迎えの車を頼むのだった。
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瞬きも忘れて、ずぶ濡れの身体に気付くことなく悄然と立ち尽くす。
葉利沢 倫理子
は衰弱し切っていた。体力ではなく、精神が。
カウンセリングの帰り道だったはずなのに、その心は回復どころかすっかり削り取られているのを自覚する。
何故……どうして、今になってあんなものを見せられるのか……。
フラッシュバックの回数が減ってきたことで、どこか安堵していた自分への戒めだというのだろうか。
汚れきった身体、人を拒絶する心、そんな自分が幸せになる権利などもう無いのだとでもいうように。
倫理子の膝から力が抜けて、水溜りに頽れる。
空の青さを映していた水面に、瞳から溢れた雫が一滴、また一滴と落ちては何度も波紋を立たせ。
水面の波紋で倫理子の姿が、顔が、歪む。
刹那、波紋に揺れたその口元が恍惚と微笑んだ気がした ―― 。
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「……最悪だ」
「なんだよこれ~~~~」
同時に声を発する。
いや、約1名は心の中で発しているようだ。
―― は、はうぅあ……美少年の! いや悠月……とアカリの! 濡れ透け!! 最高じゃないか!
首周りに張り付く長い髪を背中へと払う
獅子目 悠月
、一生懸命シャツを引っ張っては絞れる部分だけでも絞っている
来島 アカリ
。
そんな二人に熱い視線を一身に向けている
ロベルト・エメリヤノフ
もまたびしょ濡れなわけだが、目の前で美少年が濡れていたらば自身のことなど二の次である。
―― はっ……いけない! このままでは二人が風邪をひいてしまう! 急いで着替えさせてあげないと!
「服剥がしてあげよう!」
「ちょっと、先輩! バカなことしてないでください、風邪引いたらどーすんですか」
「だからこうして剥がす手伝いをしているんじゃないか」
「俺じゃなく先輩がです。あと言葉間違ってませんかっ? 脱がす、ですよね!?」
「勝手に剝こうとするな。って、おいロベルト。お前もびしょ濡れだろう、こっちに構ってないでまず自分を何とかしろ」
煩悩に正直なあまり口をついた言葉など一向に気にすることなく、これ幸いと口実に悠月とアカリの服に手をかけつつ体のラインをぺたぺた、さわさわし出すロベルト。
調子が戻っていることにそっと安堵しつつ、さすがにズボンに手がかけられればカッと頬を赤らめたアカリが、ロベルトをグイーッと押し返す。
残念無念そうな表情を浮かべたのも束の間、パッと輝いた瞳が二人に向けられた。
「そうなったら看病してくれるかい? というか看病されたい……!! 看病してくれ、二人とも!」
「風邪をひいたらと言う仮定をするより、そうなる前に帰れ。俺はしないぞ」
「そ、そうだけど……!」
「それより元気で出かける方がいいだろう」
「この男心、わかってくれないのかい!?」
ちぎっては投げちぎっては投げ、と悠月に応酬されて次第にぷくぷく膨らむロベルトの表情に、やれやれと息をついてから。
「獅子目の言うとーりですよ、まったくもー……」
「僕が一人で居て風邪悪化させてもいいのかい!?」
「そんなん自業自得、でしょ。風邪引いたらしてあげないこともない、ですけど……」
「来島……!」
鞭の後に飴をもらったが如く、涙目で大袈裟に喜んでは勢いで抱き付いてこようとする先輩の胸板を、恥ずかしさに負けてもう一度ぐいーっと押し返しながら。
「とにかく! さっさと帰って着替えます、よ!」
「じゃあ、俺はこっちだから」
「きみたちつれないよ」
『知りません』『知らん』と、いつもは喧々囂々な二人の言葉が仲良く重なるのを聞けば、ロベルトはその遠ざかる背中2つへそっと囁く。
―― ……ありがとう、二人とも。
今日一緒だったのが、暗闇の中導いてくれたのが二人で良かった……。
どうすればいいかはまだ見えないけれど。
ロベルトの口の端が微かに上がる。
それは誰かの為でもなく、卑屈めいたものでもなく、ほんの少しだけ自分を誇ったような、そんな笑みを遠ざかる背中たちへ送り。
それから急いで同じ帰り先の背中を追いかけるのだった ――
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あとがき
担当マスター:
蒼色クレヨン
ファンレターはマスターページから!
ご参加誠にありがとうございました! 執筆させて頂き感無量な、蒼色クレヨンです☆
ガイドにおいて、水たまりから出たらびしょ濡れ、は物凄い付け足しカン満載だったのですが……
目から鱗! そうか濡れ透け!!(笑)
予想外なアクションの数々に、執筆者冥利に尽きる予測できないワクワクどきどき感を
改めて実感させて頂きました! 本当にありがとうございました!!
ちょっと間があくかもですが(涙ちょちょ切れ)、また是非是非次の物語で
沢山のキャラ様にお目にかかれますように…… 蒼色クレヨンでした♪
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担当ゲームマスター
蒼色クレヨン
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年06月24日
参加申し込みの期限
2017年07月01日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年07月01日 11時00分
参加キャラクター一覧
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