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前程万里の姿也
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◆
今まさに数珠なりに水たまりへと水没していく三人分の影。
『うわっ……!? 水溜り?』と避けようとしたものの、バランスを崩した
ロベルト・エメリヤノフ
の手が隣りを歩いていた人物、
来島 アカリ
の細い二の腕へ咄嗟に伸びた。
しかして踏ん張ろうとしたロベルトの足はそのまま水たまりへ吸い込まれ、その全体重がアカリの小柄な体にかかったわけで。
今度はアカリの腕が咄嗟に伸びる。片方は沈みかける愛しい人を必死に支えようとその手を掴み返し。もう片方はアカリの更に隣りに居た人物、
獅子目 悠月
の服の裾へとほぼ無意識に ――。
―― 遡る事、数十分前。
一途な想いと奮い立たせた勇気が大勝利し、アカリの提案兼願望が実る形で半同棲を始めた二人。主にロベルトの、まだまだ足りない日用品を買い足しに外へ出た帰り道。
そこでたまたま出会った悠月の姿。歓喜したロベルトの、不本意そうなアカリの、特にどうとも思わない悠月の、何となく一致した帰路同行となる。
そんな最中の出来事であった。
「水たまりに落ちたのはこれが2度目か」
水の中を漂う感覚、だが呼吸は出来る。このような感覚に悠月は覚えがあった。
あの時も同じ面子だったな。
今回は自分は完全に巻き込まれた気がしないでも無かったが、あちらが手を伸ばさなかったらきっと自分は何だかんだその手を掴んでいたかもしれない。
そう思い至れば、溜息と共に周囲を確認する。碧い水中に白い街が浮かぶ、というような光景はどこにも見当たらなかった。
「今度はどこに……」
思案しようとした矢先、暗闇の中視界に入った唯一の水面と思われる揺蕩いの中に人影を捉える。
よく目を凝らせば、海の色をした髪、目にかかりそうになったサイドヘアーをそっと払うその横顔は、先程まで横に居た『あいつ』。
泳げないゆえ以前のように慌てているかと思ったが、その様子は至っていつも通り。いや、『いつも通り過ぎて』。
さすがに慣れたのか? ……まあいい、アイツ程度でもロベルトを探す役には立つだろう。
おい、と声をかけようと宙をかき水面に寄ったところで、悠月はハッキリとした違和感に気付いた。
アカリと思われた水面に映された人物の、その向こう側にそこに居るはずのない人物、『自分』が居ることに。
「あ! 良かった悠月!」
水面とは反対方向、自身の背後から響いた声に振り返ると泳ぐように、歩くようにしてロベルトとアカリが向かってくる姿があった。
……こっちが本物だな。ということは、あれは映像か……?
首を傾げつつも、とりあえず無事そうな2人と合流すれば悠月の肩から微かに力が抜ける。
「どこも怪我していないかい? 来島も心配してたんだよ?」
「ちがっ! お、俺別にこいつのことなんか心配して、ねえし……」
「問題ない。そういうお前は溺れてパニックになったりしていたんじゃないのか」
「す! すぐに息出来るって気付いたっての!」
「うんうん。二人とも大丈夫そうだね」
ほんの先程まで、『自分が手を離したからアイツだけはぐれた、のかも……』とぽつぽつ呟いていたアカリを知っていたロベルト、そっと心にしまっては微笑ましそうにいつもの2人のやり取りを一時見守ってから。
「さて。そこに映ってる来島と悠月は……なんだろうね。僕としては二人がもう一組いたとて大歓迎だけれど」
「偽物、というよりは、本人たちを別の視点から覗いてる感じではある」
「あ、ロベルト先輩も出てきましたよ」
考察を進める中も水面は淀むことなく、鏡に取ったように別の3人の姿をただ追い続ける。
水面の中では、ロベルトの両脇にアカリと悠月が歩き、今日の出来事を雑談混じりに報告しているふうであった。ただそこに徐々に浮かぶ違和感……普段のロベルトが纏う、誰でも受け入れそうな警戒心を抱かせない笑顔と空気を、目の前に映し出される彼からは感じられなかった。
代わりに纏うは、妖艶さと威厳に満ちた強い光を宿す瞳。
それに射られるようにして話しかけられているアカリは、同意を求められているのを否定しているふうだが、決してその瞳から逃げることなく真っ直ぐ見つめ返している。
首を振られても残念がるどころか高らかに自信に溢れた笑い声を漏らしてから、水面のロベルトはもう一方の悠月へとその視線を射る。そちらは現実の悠月とあまり変わらない反応で一言二言、否定でもなく同意でもない自身の意見を述べて、……否、表情は普段ロベルトへ向けるものより笑顔が多いだろうか。
「会話を聞いていると、あっちのロベルト先輩、画家として成功しているんでしょうか」
「……性格も、こっちのから情けなさを取ったふうだな」
「…………」
「おい?」
「先輩?」
すぐにいつものようにハキハキとしたツッコミが来るものと思っていたのが、一向に言葉が紡がれる様子が無いことに、悠月とアカリは現実の暗闇でぼんやり立っているロベルトを覗き込んだ。
―― あの姿は……僕の理想、僕の憧れ……。
もう一人の自分の口からは、自嘲めいた言葉も希望的観測のようなあやふやな言葉も決して発せられることがない。持っている物を、得た力を、自分自身を、ひたすら信じ切っているそんな風貌。
―― 向こうの僕、いいなぁ……僕も、あんな風になれたらいいのに……。
「先輩ってば。大丈夫ですか?」
「あ……ああごめん。聞こえてるよ。それよりねぇ、見て……アレが僕の夢、僕の理想だよ……
どう? 今より素敵だろう?」
「え?」
「アレがお前の理想?」
その言葉を受け、アカリと悠月は再び水面へと視線を注ぐ。
成程、どこか本人では無いような違和感を感じていたのはそれだったのかもしれない、と合点がいきながら。
―― あの『俺』は俺が認める『俺』だとはどう見ても思えない……ということは、これはロベルトの理想とする世界を映しているのか……。
それとも、と視線がチラリ、アカリの横顔へ向けられた。
窺うヘーゼルの瞳には気付かず、アカリは改めてそこに映るロベルトを、自分を、しげしげと見つめる。
先輩の理想の姿。ということは、その隣に並ぶ自分は?
あれは『先輩が理想とする自分』? それとも、『俺自身が理想としている自分』?
時折肩にじゃれつくように絡めとられても、毅然と一度腕からすり抜けて……その後自ら繊細そうな画家の指へと手を伸ばしている。
羨ましい、とは確かに思う。思う、けれど……――
アカリはきゅっと心臓の上を、心を握りしめた。
あれは確かに、俺の理想かもしれない。先輩に愛されて、先輩の傍にいられて。
……でも、あれは俺の好きな先輩じゃない。あの先輩に愛されても意味なんてないし。
紫紺の中のナデシコ色が、思慕の意味通り強く輝いたように見て取れれば、悠月はその横顔から視線を外しロベルトへ向き直り声を発した。
「着飾って上っ面をなぞっただけの姿より、今の方が俺はよっぽどいいと思うが」
「そうかなぁ……?」
「……先輩は、ああいう方がいいんですか」
「うん、僕ああなりたい」
アカリの言葉は、もう一人の自身の性格について問うものだったが、言葉足らずと悠月の後とも相まってロベルトには違う意味で捉えられ、そして即答される。
リサーチというか先輩の理想像の確認をしようとしたものの、さすがにもう一度訪ね直すのは気が引けて、今は悠月の言葉に続くことにするアカリ。
「……俺は、俺も、今の先輩の方が、その………いい、と思います」
告白時とは違い第三者がいるのもあってか、『好き』とストレートに告げるのは躊躇われて、アカリの言葉はどんどん小声になっていた。
それでも、心からの本心なのだと、せめて視線を合わせる為上を向く。
二人からの言葉と視線。いつもの調子であれば、美少年からの熱視線! と浮かれて幸せな気分にもなったのかもしれないが、目の前に突きつけられた理想像と現実との境界線を強く意識してしまったロベルトの耳には、二人の言う事がすんなり響いてこなかった。
―― そのままの僕でいいって言うけど、二人だって、いやフツウなら、ダメな人間よりもああいう魅力的な人間についていきたいって思うよね……。
二人は優しいから、そんな二人を僕はいつも笑顔にしてあげたいと思うから。
言葉を探るように悠月とアカリを交互に見つめてから、無意識に何かを恐れるように、ぽつりとロベルトは静かな口調で告げる。
「……ダメな僕のままでいいのかい? あっちの方が二人とも幸せそう、だよ?」
その言葉を受けて、先に切り込んだのは悠月だった。
「以前にも言ったはずだ。枠の中に収められているようで気に食わない、と。お前は俺のなにを見て『幸せ』だと判断している?」
声のトーンだけでなく、真っ直ぐ見つめ返してくるヘーゼル色の中に怒気がはらんでいるのに気付いて、ロベルトは無意識に一歩後ずさる。
逃げるのを許さないというふうに、悠月はそれを一歩追う。
悠月の中の怒り、それは実家時代にすり寄って来ていた人間と、水面のロベルトの周囲にいる自身の形の人間の姿が重なったことでより増長された。
「あっちの奴は上っ面だけで価値を測っている屑だろう。アレと一緒にするな」
そう。金持ちだから、才能があるから、将来有望だから。相手の表面にくっついている『それ』に向ける創られた笑顔をしている自分と似て非なる姿。
―― 俺だと思いたくもない。
爆発させるような物ではない、静かなそれでも凛とした感情を乗せた悠月の言葉と空気は、躊躇い飲み込みがちなアカリの口を動かした。
それはアカリの胸にも湧いていた、くすぶる怒りの炎が一番大切にしている想いに燃え広がるように。
「……確かに先輩はダメなとこもあるけど、それよりたくさんいいとこだってある」
ロベルトと悠月が、同時にアカリへと視線を送る。
「素直になれない俺に、優しくしてくれて、出来ないこともあるけど、それでもたくさん頑張ってて
そんな先輩だから、俺は………」
みなまで言わずとも、アカリの想いは闇の中迷うことなくロベルトの心へ届けられる。
「あんなになっちゃダメ、です。あんな風になんて、ならせてあげません」
「俺はちゃんと、今のロベルトを見ている。ダメすぎる所も含めて、存在をダメだと思わない。
非常に癪だが……そこは来島に同意だ」
「……でも……」
なお言い淀むロベルトへ、まだ言うか、と悠月はもはや黙しては意思籠る瞳でただ射る。ロベルトが憧れと称するような、そんな強い瞳で。
畳みかけるようにしてアカリが続けた。
「幸せでもなんでも、嫌なもんは嫌、です。それに、先輩はダメなんかじゃ……」
「来島……」
「……あんなんになったらうちから追い出します、からね」
最後は照れ隠しに、染まった頬を誤魔化すようにキリッと睨んでみせる。
美少年という己が組んだ枠に囚われることを決して許さない2人からの、自分が否定しようとした『自分』を想ってくれる、認めてくれる言の葉たち。
「……そう……なんだ……」
やっと一言、ロベルトの口から漏れる。
その瞬間、水面が揺らぐ。映し出されていた姿たちが瞬く間に消えた後、見えたのは向こうの青空。
そうなのか……
……そう、か……
ロベルトの胸の中に注がれたものが、波紋のように広がって満ちていく。
水面の変化と独り言のように紡がれた言葉を聞き取れば、悠月もアカリもそれ以上口を開くことはしなかった。
3人の身体が、空を映した水面へと吸い込まれていく。
どうやら戻れるらしいと悟れば、誰も抵抗することなく身を任せ。
ただ一人、アカリだけが今映る青空の向こうに、先程のもう一人の自分を一瞬垣間見ていた。
―― ……先輩の理想の俺ってああ、なのか……
自分の理想とする姿だったのなら、きっともっと素直で可愛げのある姿だったに違いない。そう思い至っていたアカリは、自身に問いかける。
頑張ってたけど……
素直じゃない俺でもいい、のかな……
ナデシコ色の瞳に、青空が混じった ――
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オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年06月24日
参加申し込みの期限
2017年07月01日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年07月01日 11時00分
参加キャラクター一覧
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