ラッカミ村の人狼｜リアクション

ラッカミ村の人狼

【ワルモノの会話】
　豊かな自然に恵まれた美しい村・ラッカミ村。
　確実に「田舎」に分類されるこの村の住人たちはお互いに助け合って生きていくことを信条としており、村全体が家族のような仲の良さであった。

　村の東西を分けるように流れる川を眺めながら、チナミ（天宮城因）がキイチゴジャムのサンドイッチを頬張っている。陽の光を閉じ込めたような美しい長い髪は毛先がくるくると巻かれており、瞳の中に不思議な魅力を閉じ込めた＜美少女＞だ。チナミは花の行商をしている。昼と夜で売る花を変え、馴染みの客ができる前には姿を消している……そんな生活を続けていた。
（この村、とーっても気にいっちゃいましたっ♪）
　サンドイッチを食べるために大きく開けた口から、少女の身には不釣り合いなほどの大きな八重歯が見えた。キイチゴのジャムの赤が付いた口の端が耳に届きそうなほど吊り上がる。
　チナミの牙を隠すように男の影がチナミを覆った。
「よう、チナミ。お前もこの村に来ていたんだな」
　埃っぽいマントを羽織った旅人・ナガレ（水守流）である。寝癖だらけの黒髪と目の下のクマ、猫背が特徴の頼りなさそうな青年だ。
「……ナガレさんじゃないですかぁ」
「瞳孔、開いてるぞ」
　呟いて、ナガレはチナミの隣にどっかりと腰を下ろす。
「きゃは♪　恥ずかしいですぅ♡」

　チナミが両手を顔に当てて口元だけでにっこりとほほ笑む。両手を外すと元の愛らしい少女の顔に戻っていた。
「ねぇ、ナガレさん」
「んだよ」
　チナミが売り物の花が入ったバスケットからヒナギクを一輪取り出し日にかざす。
「この村、平和ボケしててとーっても生ぬるいんですぅ。だからぁ、チナミ決めましたっ♪　この村、滅ぼしちゃいますっ♡
　ナガレさんも協力、してくれますよねぇ？」
　チナミの細い親指と人差し指がヒナギクの茎を絞め、くるりくるりと白い花弁が回る。
　はあ、と青年が息を吐いた。
　チナミの気まぐれに立ち会うのは今回が初めてではない。ナガレとチナミは腐れ縁。放っておけば無茶ばかりするチナミをナガレは何度も補佐してきた。
（甘えられてるんだか。なめられてるんだか）
　とはいえ、チナミのお願いを不快に思ったことは１度もないのであった。
「いいぜ。まあ、暇だしな」
「わーい♪　とーってもワクワクしてきましたっ♡」
　おもむろにチナミは花弁を一枚むしる。
「初日の犠牲者。だーれーにーしーよーおーかーなーぁ♡」

　人狼と呼ばれる一族がいた。
　昼は人、夜は狼の姿を借りる忌むべき一族。
　彼らの好物は人肉である。
　同胞が狩られていくのを目にしながらも彼らは死を恐れない。

「騙し、惑わし、混乱させて。村人全員食っちまおうぜ」
「誰にも信じてもらえない村人の顔、チナミたくさん見てみたーぃ♪」

　ナガレとチナミは人狼の末裔。
　ふたりにとって自身の生存など二の次。
　全ての絶望を見るために生きている。

＜人狼チーム＞
・天宮城因：人狼
・水守流：人狼

＜村人チーム＞
・ペルラ・サナーレ：村人
・志波武道：村人
・卯木衛：村人
・トワ・E・ライトフェロゥ：占い師
・サキリ・デイジーカッター：狩人

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