猫鳴館を知ってるかい？｜リアクション

猫鳴館を知ってるかい？

※歓迎会準備

　掃除が一段落して。
「お掃除一生懸命やるとお腹がすいてくるのよね。ご飯的なものは作れるのか……な？」
　桃笑は台所に入り、設備をチェックします。
（……台所……小さい……ちょっとここで作れる程度のものになるけど、材料を買ってきて簡単な料理を作って差し入れしましょう）
「木材、前のと材質揃えたいけど価格が高いなら比較的安いのに変えるかも、もちろん床材に適しているのが前提だけど。柱は……傷補修用のキットや柱と似た材質の木材を使って修繕しようか」
　夏朝は、修理の必要な個所を皆に報告していました。
「助かるなの。任せたなの～」
「歓迎会もやるなら手伝うよ。お昼も買い出ししてくるね」
「菜園で収穫した野菜は使いたいですね。鳶色彦さん用にチーズもお願いできますか」
「わかった、行ってくるね」
「あ、私も」
　桃笑と同時に、
「あ、俺も一緒に飲み物買ってくる」
　博美も声を上げました。
　途端に桃笑は赤面し、態度がぎこちなくなります。
「？　どうしたんだ？　緊張しなくていいんだぜ」
（あれ、僕とは普通に話せてるのに？）
　博美も夏朝も違和感を感じつつ、一緒に出かけていきました。

「歓迎会の場所は大広間が良さそうです」
　綾花は、折り紙で輪っかを作ったり、歓迎と書いた布を壁にピンでとめて歓迎会の準備をしています。
「歓迎会のネタ出しなの？　じゃあ、これどうかな？」
　明里は熊皮のレプリカをとりあげます。
「なんかあかりは、この寮と熊皮は切り離しちゃいけないんじゃないかって思っていますなので！」　
「そうかもしれませんね。しばらくしまっておいたから、空気を通しましょうか」

　買い出しからの帰り道。
「……ごめんなさい」
「ははは、気にするなよ。男に間違われるのは慣れてるぜ。飲み物、オレのおごりだから好きなのを飲んでくれよ」
　博美が女性だとわかり、桃笑の挙動不審はおさまって普通に話せるようになったのでした。
「おかえりなさい」
　猫鳴館に戻り、桃笑が台所に入ると綾花が料理中でした。
「この野菜、ここの家庭菜園で採れたんですよ」
「そうなんですか、美味しそう。ええと、それじゃおにぎりでも作ろうかな」
「はい、お願いします」　
（小さい台所でも、工夫して料理ができるのね）
　無駄のない綾花の手際に感心する桃笑でした。　

　日曜大工が得意な鈴野加代と共に、夏朝は柱や床の修理を始めました。
「柱の中心部分は大丈夫みたいだね」
「古いとはいえそれなりに手入れはされていますから」
　美術が得意な夏朝ですが、本格的な日曜大工となるとなかなか大変です。加代の技術はとても頼りになるものでした。