猫鳴館を知ってるかい？｜リアクション

猫鳴館を知ってるかい？

※新たな入寮者？

「マジ？　ここに人住んでるの？」
　せっかちで仕切り屋の三宅ゆりは、らしくないことに猫鳴館の玄関で立ちすくんでいました。
「気になるならいってみりゃいいじゃん！　しょーがないなあ。あたしがついてってあげるよ！」
　と友達と冷やかしで見に来たものの。
「きゃー、熊！」
　ゆりが向うを見ているうちに、友達は逃げ帰ってしまいました。
　熊の毛皮を抱えた寮生が通り掛かっただけだったのですが。
「熊？　あ、ちょっと！　もう、帰ろうかな……」
「やあ、君、新入生だね？」
「ひゃっ！？」
　にゅっ、とワカメ頭の男が現れました。
「さあさあ、遠慮しないで。寮内を案内するよ」　
「気安く触んな、自分で行くよ」
　逃げるに逃げられず、ゆりは鷹取洋二に引っ張っていかれました。

　その頃、田中の部屋。
　りょうは　たなかに　四の字固めをきめた！
「ま、まて……仏の顔も」
「何、仏の顔は三度まで？　残念だが俺は普通の人間だ」
　格闘技を通じて己を鍛えている亮と、他人に頼ってばかりの田中では、戦う前から結果は見えていました。
「そんなに仏さんが良いなら会わせてやるよ」
　りょうの　かんぺきな　チョークスリーパーが　きまった！
　あえなく落ちる田中。
　窒息するような締め方ではないので後遺症はないはずです。
「ふう、片付いたな」
　この場合、部屋の片付けだけの意味ではないような気がしますが。

　そこへ、洋二が部屋に入ってきました。
　後ろには三宅ゆりの姿があります。
「騒がしいな。あんまり暴れていると床が……」
　メキメキ……
　最後まで言い終えることなく、一瞬のうちに鷹取洋二の足元の床が割れ。
「うわああああ？！」「キャーッ！？」
　ゆりを巻きこんで、洋二は床下へと落ちていったのでした。
「……予想以上にボロだったな。おーい？　無事か？」
　覗きこんでも二人の姿は見えず、亮は青くなりました。
「おい、鷹取？　どこだ？」
　歓迎会の準備を手伝おうとしてやってきた雅樹に、亮は声をかけました。
「すみません、今女の子と一緒に床下に落ちたのがその人だと思います」　　

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