- 0
- 0
- 種族
-
- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
妄想＜ウソ＞が現実＜ホント＞になるところ。それが、らっかみ！
【いつまでも、大切な。】
ウソは混ざり合います。望むもの同士が、時として絡み合うのです。
早坂 恩と弥逢 遊琳を結び付けたのもまた、おたがいがそうとは知らないままに願った、想いのほとばしりでした。
「遊琳ちゃん、起きてちょうだい。朝ごはんよ♪」
「ふわ……おはよう、お兄様。今行くよ」
仲の良い兄弟は、今日も朝からいっしょです。
漂う良い香りに誘われて食卓へつき、向かい合って朝食を食べながら、遊琳は思います。
どうして忘れていたんだろう？ 大好きなお兄様のこと。
可愛らしい彼の顔を幸福な気分で眺めながら、恩は思います。
どうして忘れていたんだろう？ 私の可愛い弟のこと。
違和感や疑問など微塵も感じられないほどに、おたがいがおたがいと過ごすひと時は自然で、幸福で、あたたかいのです。
「ごちそうさま、今日も美味しかったよ」
「ふふ、いっぱい食べてくれて嬉しいわ♪ それじゃ、いっしょに学校行きましょ？」
ふたりは身支度を整えると、手をつなぎながら登校します。
兄の恩は一年留年しているため、ふたりは同学年です。クラスこそ違うものの、兄が同じ階で授業を受けているのだと思うと、遊琳はちょっぴり不思議な気分です。
（でも……僕、ちょっと怒ってるんだからね？）
遊琳は授業を受けながら、内心ぷりぷりとしていたりします。
学校に着いてから、遊琳が作ったお弁当を、恩が家に忘れてきてしまったことに気づいたのです。
（せっかく作ったのに……）
恩は申し訳なさそうに謝ったものの、お弁当には彼を想ってたっぷりの愛情を込めたもので、遊琳の心は晴れません。
（今の僕の顔は、さぞ不細工だろうね）
確かに彼の頬はぷくりとふくらんで、すねているのが丸わかりです。
けれどそのうち、遊琳の顔には笑みがにじんでしまいます。
（もう。しょうがないんだから、お兄様は……）
おたがいが完璧でないからこそ、助け合うことができます。補い合うことができるのです。そう考えると、悪くはない気もしてきます。
午前中の授業が終わった頃、恩もまた遊琳のぷうっと頬を膨らませた顔を思い出して、くすりと笑顔を浮かべておりました。
（遊琳ちゃんには申し訳ないことしちゃったわ。でも、怒った顔も可愛らしいのよね♪）
口に出して言うと怒られてしまうので、もちろん言いませんけれど。
さて、お昼の代わりと、弟のご機嫌をどうやって回復しようか……なんて考えていたところで。
「……お兄様」
「あら？ 遊琳ちゃん！」
やってきたのは他ならぬ、弟の遊琳。
彼が手に提げている包みを見るなり、恩はぱあっと破顔しました。
「まぁ！ お弁当、取って来てくれたの？」
「そうだよ、わざわざ家に帰ってね」
遊琳は午前の授業が終わるなり飛ぶようにふたりの家へと戻り、恩のお弁当を持つと、再び学校へ取って返してきたのでした。
恩は思わず、むぎゅっ！ 遊琳を抱きすくめます。
「ありがとう遊琳ちゃん、なんていい子なのー！」
「もう……ちゃんと反省してよね、お兄様」
「ああん、そんなにすねちゃったら、可愛い顔が台無しだわ！ 本当にごめんなさい、だから許してー！」
でも、すねた顔もやっぱりかわいい♪ 恩は思います。
大丈夫。本当は、お弁当に込めた気持ちまで、置いてきぼりになってしまった気がしただけだから……遊琳は思います。
すぐにもとどおり。兄弟にはやっぱり、笑顔がとても似合いました。
授業が終わり、家に帰っても、ふたりはいっしょです。いっしょにテレビを見たり、ゲームをして楽しんだり。
寝る時だって、
「お兄様……」
「あら、どうしたの遊琳ちゃん？ また悪い夢でも見ちゃった？」
しばしば悪夢に苛まれる遊琳へ、恩は添い寝をしてくれました。
鼻をくすぐる心地よい香りに、遊琳の心には瞬く間に安堵が満ちていきます。
恩は今日の始まりに、願いました。もし自分に弟がいたなら、と。すぐにも目の前に現れた遊琳を、恩は今日一日、思い切りかわいがろうと心に決めました。
女だらけの姉妹たちの中で育った遊琳は、かつて失くしてしまった兄弟子のような存在を、再び求めました。恩はその代わりではないけれど、少なくとも心の隙間を埋めてくれるような気がしました。
もともと、知人同士ではありました。けれどふたり、たがいに名前は知らない程度の間柄です。
ただ……遊琳は優しげなその声や、やわらかな香りを覚えていました。遊琳のどこか儚げなはにかみを、恩は覚えていました。
同じ布団にくるまったまま、ふたりはやがて静かに眠りの中へと落ちていきました。願いを抱きながら。
「……大好きだよ。お兄様……」
「ふふ……私もよ、遊琳ちゃん……」
どうか、今日が終わっても……その呼び名を、唇が覚えていますように。
ウソは混ざり合います。望むもの同士が、時として絡み合うのです。
早坂 恩と弥逢 遊琳を結び付けたのもまた、おたがいがそうとは知らないままに願った、想いのほとばしりでした。
「遊琳ちゃん、起きてちょうだい。朝ごはんよ♪」
「ふわ……おはよう、お兄様。今行くよ」
仲の良い兄弟は、今日も朝からいっしょです。
漂う良い香りに誘われて食卓へつき、向かい合って朝食を食べながら、遊琳は思います。
どうして忘れていたんだろう？ 大好きなお兄様のこと。
可愛らしい彼の顔を幸福な気分で眺めながら、恩は思います。
どうして忘れていたんだろう？ 私の可愛い弟のこと。
違和感や疑問など微塵も感じられないほどに、おたがいがおたがいと過ごすひと時は自然で、幸福で、あたたかいのです。
「ごちそうさま、今日も美味しかったよ」
「ふふ、いっぱい食べてくれて嬉しいわ♪ それじゃ、いっしょに学校行きましょ？」
ふたりは身支度を整えると、手をつなぎながら登校します。
兄の恩は一年留年しているため、ふたりは同学年です。クラスこそ違うものの、兄が同じ階で授業を受けているのだと思うと、遊琳はちょっぴり不思議な気分です。
（でも……僕、ちょっと怒ってるんだからね？）
遊琳は授業を受けながら、内心ぷりぷりとしていたりします。
学校に着いてから、遊琳が作ったお弁当を、恩が家に忘れてきてしまったことに気づいたのです。
（せっかく作ったのに……）
恩は申し訳なさそうに謝ったものの、お弁当には彼を想ってたっぷりの愛情を込めたもので、遊琳の心は晴れません。
（今の僕の顔は、さぞ不細工だろうね）
確かに彼の頬はぷくりとふくらんで、すねているのが丸わかりです。
けれどそのうち、遊琳の顔には笑みがにじんでしまいます。
（もう。しょうがないんだから、お兄様は……）
おたがいが完璧でないからこそ、助け合うことができます。補い合うことができるのです。そう考えると、悪くはない気もしてきます。
午前中の授業が終わった頃、恩もまた遊琳のぷうっと頬を膨らませた顔を思い出して、くすりと笑顔を浮かべておりました。
（遊琳ちゃんには申し訳ないことしちゃったわ。でも、怒った顔も可愛らしいのよね♪）
口に出して言うと怒られてしまうので、もちろん言いませんけれど。
さて、お昼の代わりと、弟のご機嫌をどうやって回復しようか……なんて考えていたところで。
「……お兄様」
「あら？ 遊琳ちゃん！」
やってきたのは他ならぬ、弟の遊琳。
彼が手に提げている包みを見るなり、恩はぱあっと破顔しました。
「まぁ！ お弁当、取って来てくれたの？」
「そうだよ、わざわざ家に帰ってね」
遊琳は午前の授業が終わるなり飛ぶようにふたりの家へと戻り、恩のお弁当を持つと、再び学校へ取って返してきたのでした。
恩は思わず、むぎゅっ！ 遊琳を抱きすくめます。
「ありがとう遊琳ちゃん、なんていい子なのー！」
「もう……ちゃんと反省してよね、お兄様」
「ああん、そんなにすねちゃったら、可愛い顔が台無しだわ！ 本当にごめんなさい、だから許してー！」
でも、すねた顔もやっぱりかわいい♪ 恩は思います。
大丈夫。本当は、お弁当に込めた気持ちまで、置いてきぼりになってしまった気がしただけだから……遊琳は思います。
すぐにもとどおり。兄弟にはやっぱり、笑顔がとても似合いました。
授業が終わり、家に帰っても、ふたりはいっしょです。いっしょにテレビを見たり、ゲームをして楽しんだり。
寝る時だって、
「お兄様……」
「あら、どうしたの遊琳ちゃん？ また悪い夢でも見ちゃった？」
しばしば悪夢に苛まれる遊琳へ、恩は添い寝をしてくれました。
鼻をくすぐる心地よい香りに、遊琳の心には瞬く間に安堵が満ちていきます。
恩は今日の始まりに、願いました。もし自分に弟がいたなら、と。すぐにも目の前に現れた遊琳を、恩は今日一日、思い切りかわいがろうと心に決めました。
女だらけの姉妹たちの中で育った遊琳は、かつて失くしてしまった兄弟子のような存在を、再び求めました。恩はその代わりではないけれど、少なくとも心の隙間を埋めてくれるような気がしました。
もともと、知人同士ではありました。けれどふたり、たがいに名前は知らない程度の間柄です。
ただ……遊琳は優しげなその声や、やわらかな香りを覚えていました。遊琳のどこか儚げなはにかみを、恩は覚えていました。
同じ布団にくるまったまま、ふたりはやがて静かに眠りの中へと落ちていきました。願いを抱きながら。
「……大好きだよ。お兄様……」
「ふふ……私もよ、遊琳ちゃん……」
どうか、今日が終わっても……その呼び名を、唇が覚えていますように。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2017年06月09日
- 参加申し込みの期限
-
- 2017年06月16日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2017年06月16日 11時00分
