妄想＜ウソ＞が現実＜ホント＞になるところ。それが、らっかみ！｜リアクション

妄想＜ウソ＞が現実＜ホント＞になるところ。それが、らっかみ！

【ニャンドへＧＯ！】

　『NIKUKYU　NYAND（にくきゅー・にゃんど）』。それは誰もが憧れる、夢の国。陽気に踊る猫たちが導く、ひと時の夢物語。
　もうちょっと具体的に表現してみますと、寝子島を離れた本土の某県某所にある、言わずとしれた巨大テーマパークのことです。世界的に有名なキャラクターである、あの黒猫の男の子と白猫の女の子を筆頭に、ピンク、ブルー、グリーン、パープルなどなど、カラフルな猫たちがお出迎え。アトラクションも実に多岐に渡り、ゆったり楽しめるものからスリル満点の絶叫マシーンまで、なんでもござれ！　とにかく楽しい、遊園地の中の遊園地なのです。
　だから、回田はつなは願いました。
「NIKUKYU　NYAND行きたい～！　あ～も～、むしろ『ニャンドが寝子島に来て～』！」

　そんな願いを口にした、エイプリルフールの朝。
　はつながいつものように学校へ行こうと自宅のドアを開いたところで、
「……！？　うわ～～～！？　ホントにニャンドが目の前に来ちゃった～！？」
　おなじみのテーマ曲とともに、黒猫の男の子と白猫の女の子が手を差し伸べてはつなを誘うもので、彼女はビックリ仰天！
「うひ～♪　良く分かんないけど、とりあえず遊ぶぞ～っ！」
　たちまちぶわわと落花を舞い散らせながら、黒猫くんと白猫ちゃん、カラフルな猫たちを引き連れまして、アトラクションめぐりへＧＯ！
　まずはニャンドの定番、猫耳カチューシャを買ってかぽんとかぶると、しゅぽしゅぽ煙を吐き出すレトロな鉄道に乗り込み、中心部へと向かいます。
「わ～、あれあれ！　久しぶりに乗りたかったんだ～、みんないこ～！」
　スリル満点、大きな山の上から駆け降りるウォーターコースター！　猫たちもいっしょに乗り込んで、どぎゅーん！　どっぱーん！
　ほとんどはつなの貸し切り状態なアトラクションたちは、待ち時間ナシで乗り放題です。
　それにニャンドでの楽しみのひとつは、マスコットの猫たちの多彩なコスチュームです。彼らはウェスタンニャンドへ行けば西部劇な衣装に、ファンタジーニャンドへ入れば魔法使いっぽく変身して、スペースニャンドではＳＦ風に早着替え。次々に新しい姿を見せてくれるもので、眺めているだけでも飽きません。
「うひ～、やっぱりニャンドは楽しいな～♪」
　

　猫たちといっしょにずんちゃかずんちゃ、にゃんにゃんふにゃんとアトラクションをひととおり回り、すこうし暗くなってきたところで、パレードが始まりました。頭の上には色とりどりの花火がどんどん、ぱぱん！　打ち上げられて、夜空を彩ります。
「……あ」
　ふと、思い出しました。昔、お父さんが小さなはつなを、こうしてニャンドへ連れてきてくれた時のことを。
「お父さん、元気かな～……」
　しばらく話していないお父さんの顔を思い浮かべて、はつなはちょっぴりセンチメンタル。
　ぽむっ、と両肩に乗せられたやわらかい感触に振り向くと、黒猫くんと白猫ちゃんがこくりとうなずいてくれました。まだまだ楽しんで、悲しいことなんて吹き飛ばしちゃおう！　めいっぱい、遊ぼうよ！　そんなふうに言ってくれているかのようです。
「……うひ～♪」
　はつなの笑顔に、ぽわん！　ぽわぽわん！　綺麗な花がいくつも生まれます。
　花たちは夜空を照らす花火の明かりで、色とりどりにぴかぴか、淡く綺麗にきらめきました。