妄想＜ウソ＞が現実＜ホント＞になるところ。それが、らっかみ！｜リアクション

妄想＜ウソ＞が現実＜ホント＞になるところ。それが、らっかみ！

【八百屋さんの若奥さま】

　宮祀智瑜は新婚ラブラブ生活を満喫中の、新米主婦！　今日もまた、宮祀青果店の裏に建てたぴかぴかの新築一戸建てから出勤していく旦那さまこと桐島義弘先生を、愛情たっぷりな笑顔でお見送りします。
「では、行ってくる……」
「あ、忘れ物ですよ。義弘さん」
「む……」
　新婚ラブラブ夫婦ですもので、いってきますとおかえりなさいのキスはもちろん欠かしません。
「……ン……ッ、ちゅ」
「んむ……ぷはっ。よし、では行ってくる」
「はい、いってらっしゃい♪」
　そんなふうにして、ふたりの朝は始まるのです。

　旦那さまは、寝子島高校の数学教師。きりりと凛々しいお顔で教鞭を振るっている間、奥さまは実家の青果店をお手伝い。誰もがうらやむおしどり夫婦の仲睦まじい姿は、旧市街でもすっかり評判です。
「あら？　義弘さんったら」
　若奥さま目当てで引っ切りなしに訪れるお客をさばく午前中、智瑜は愛しの旦那さまがお弁当を忘れていったことに気づきます。
　こんな時、それを届けてあげるのはもちろん、奥さまの役割です。さっそくいそいそと、母校・寝子島高校へ出かけていく智瑜。
　勝手知ったる校舎をすいすいと歩き、午前の授業を終えて教室から出てきた旦那さまの後ろからこっそりと近づいて、
「あ・な・た♪」
「うわっ？　智瑜か、驚いた……」
「ふふっ。はい、お弁当」
　愛妻弁当のデリバリーには、それを見ていた周りの生徒たちから、ひゅーひゅー！　なんて声が上がります。
「こ、こら、お前たち！　大人をからかうもんじゃない！」
「ふふ……義弘さん、かわいい♪」
　真っ赤になった旦那さまが愛おしくて、智瑜はひと目はばからず頬っぺたへチュウ。廊下へやんやと歓声が響きました。

　そうして仕事を終えて帰宅した旦那さまを、智瑜はしゃなりとしなを作りつつ、定番のセリフでお出迎え。
「おかえりなさい、よしくん♪　お風呂にする？　食事にする？　それとも……わ・た・し？」
　若くて可愛らしい奥さまがそんなふうに出迎えてくれたなら、お仕事の疲れなんて吹き飛んでしまうことでしょう。
「よしくん？　わたし、って言ってくれないと、ちょっとすねちゃいますよ……」
「……もちろん。智瑜だ！」
「あッ……♪」
　玄関でひとしきりイチャイチャしたら、愛情満タンの晩ごはんを一緒に食べて、お風呂で汗を流します。
　新婚ラブラブ夫婦のこと、お風呂ももちろん一緒です。
「身体、洗いっこ……します？」
「いいとも」
　おたがいをすみずみまで丹念に洗いっこしてから湯船でたっぷりあたたまったら、揃って早めに布団の中へともぐりこみます。
　もっとも、すぐに寝てしまうわけもありません。ラブラブ夫婦の夜は、ここからが本番なのです。
「……智瑜。綺麗だ」
「よしくん……あ。あっ、あッ。はぅん……！」
　旦那さまは毎夜、智瑜の魅惑の豊満ボディへ顔を埋めて、心行くまで堪能します。夜気の中へとさらされた滑らかな素肌を手のひらでなぞり、舌でねぶりながら、やがて火照った智瑜の中心へと到達します。
「ああ……よしくん。大好き……愛してます……！」
「私もだよ……智瑜」
　めくるめく幸福は、今夜も智瑜の身と心を、時に優しく、時に激しく。風に吹かれるひとひらの葉のように、くるくると翻弄し続けるのでした。