桜花寮フルーツバスケット！｜リアクション

桜花寮フルーツバスケット！

○ののことあおいのルームメイト

「新しい学年！　ぼっちを卒業！　ですわ」
　上下左右はドキドキしながら食堂へ向かった。
（猫好きの人がいいですわね）
　そう思いながら部屋割りの紙に見つけた人は……元気いっぱいに左右の元へかけてきた。
「さゆちゃん！　同じ部屋だね♪」
「ののの先輩！　よろしくおねがいしますわ♪　いっぱい猫ちゃんの話をしましょうね」
　野々ののこの天真爛漫な笑顔に負けないくらいの笑みで、左右は答えた。
「うん！　こちらこそよろしくね～♪　よし、さっそくお引越しだー」
　言うが早いか駆け出すののこの姿を見送りながら左右は思う。
（こっそりろっこんで荷運びしちゃいましょう）
　ののこの手前あまり派手にはできないが、夏朝の引っ越しを手伝ってコツは掴んだと思う。
　自分の部屋に戻った左右は、さっそく引っ越しを始めた。
「新しく変化したろっこんで、壁と荷物の間隔を変えれば……」
　手に持つ杖をトン、と廊下に打ち付けると、荷物は、廊下をスイ～ッっと移動していく。
「楽ちんですわ♪」
「うんしょ、よいしょ……あれ、さゆちゃん、もう荷物運び終わったの？」
　汗をかきながら荷物を運んできたののこが目を丸くする。
「ふふ、内緒のマジックを使いました。じゃーん」
　寮母さんから借りておいた台車を取り出して見せる左右。
「えーすごい！　よーし、これがあれば楽ちんだね♪」
　ののこは左右の能力に疑問を持つことなく、台車に乗って遊びはじめた。

「今年は部屋替えがあるんですね」　
　セミロングの髪の篁文緒は、大きな胸をドキドキさせながら食堂へ向かった。
（また１人部屋かな？　それとも２人部屋？）
　１年間１人部屋だったから、２人部屋はちょっと緊張してしまう。
　前向きでのんびりしている文緒は細かいことは気にしないけれど、なぜか嘘を見抜いてしまうことがある。
（優しい人だといいな。あと同学年だといいけど）　
　部屋割りの紙を見るが、緊張のせいか目が滑ってなかなか自分の名前が見つかられない。
「あの、もしかして……篁文緒さん？」
　そう声をかけられて振り向くと、ツインテールの少女が立っていた。
「は、はい、篁ですっ」
「良かった。ルームメイトになった七夜あおいです、よろしくね」
　優しそうな笑顔に、肩の力が抜けた。
「こちらこそよろしくお願いします」
（仲良くなれたら良いな）
　植物苦手な人だったらどうしよう、とちょっと心配になる。
　文緒はろっこんで植物と念話できる。
　ろっこんを使ってなくても、「おはよう」とか「ただいま」と、毎日観葉植物に話しかけているのだ。
だが、その心配は杞憂だったようだ。
「植木好きなんだね～。あ、調理器具もあるんだね！」
　荷物の整理を始めると、あおいは気さくに話しかけてくれた。
「１人部屋を使ってたので荷物は多かったんですけど、実家に送って少し減らしました」
　文緒はシンプルなデザインの食器や小物を使っている。
　料理は得意なので、使い慣れた調理器具も持ってきている。
「あれ、目覚まし時計三個？」
　驚くあおいに、文緒は告白する。
「寝起きが悪くて……二度寝することが多いです。二度寝してる時は起こしてもらえると嬉しいです」
　恥ずかしそうな文緒の表情に、ふふ、と笑ったあおいはなんだか嬉しそうだった。
「任せといて！」
　