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春風の妖精の活躍 ~春の訪れを告げに~
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【つかの間の兄妹】
「うーん。いい天気」
立花 深紺灯
は猫鳴館の傍らで、古ぼけた物干し竿にかかっている洗濯物を取り込んでいた。
彼女にとって家族も同然の寮生みんなの洗濯物を。
柔軟剤を使っていないせいか、まっさらで干からびたようなシャツやジーンズを、はたいて柔らかくたたんでいく。
最後の一枚であるカーディガンを手にとって、立花はふと気がついた。
「これ、伸幸くんのだ」
友人である
真辺 伸幸
のへにゃりとした笑顔を思い出す。
きっといつものように、どこかでお昼寝しているに違いない。何もかけずに無造作に。
「……お日様の匂いがするカーディガン、届けちゃおうかな?」
こんなに暖かな掛け布団なら、彼もぐっすり眠れるだろう。
立花は、たたんだ洗濯物を皆が分かるようにいつもの場所に置いて、近くのお昼寝場所を探しに行くことにした。
九夜山の森のなかにある猫鳴館の近くで、昼寝できるような日当たりがいいところは限られてくる。
「あ、いたいた」
木漏れ日が浮かび上がらせる日溜まりのなかで、真辺はゆったりとうたた寝していた。
「ふふ、気持ちよさそうだけど、お腹冷やしちゃうよ」
そうつぶやきつつ、立花がお日様の匂いがするカーディガンを広げたその時だった。
「あやや、危ないですー! 逃げて下さーい」
「え、あの、えええ?」
枝をかすめ葉を撒き散らし、小さな女の子が空から降ってきた。
あわや立花に衝突コースかと思われた矢先、少女は大きな白い翼を広げて急停止する。
若草色の葉と、純白の羽毛が舞い散るなか、尻餅をついてしまう立花。
「あやや。驚かせてごめんなさい」
少女は翼をたたむと、あたふたと頭を下げた。つややかなダークブラウンの髪をなびかせて。
実際、驚いたかと問われれば、もちろんですと即答するだろう。
大きな真っ白い翼を広げた少女が、突然空から降ってきただけでなく、涙目で謝り倒しているのだから。
止めなければ土下座までしそうな勢いだ。
いろいろな意味で頭が混乱し、立花は目を白黒させる。
そんな彼女を救ったのは、小さなあくびとのんびりした声だった。
「ことちゃんおはようだねぇ。あと、んー、そちらの子は……はじめまして、かなぁ?」
目を覚ました真辺はいつもの調子でへにゃりと笑う。
翼を持つ少女は、一瞬キョトンとしたあと、再び頭を下げた。
「あ、はい、はじめましてです。驚かせてしまってごめんなさい」
「ぜんぜん大丈夫だよー。あ、ことちゃん、上着ありがとなのよー」
「え、あ、うん……」
立花は真辺の態度に素直に感心していた。
自分にはこうも平然と対応できない。
「俺は
真辺 伸幸
っていうんだ。よろしくねー」
「えっと、あたしは
立花 深紺灯
」
「わたし、春風の精です。自分の名前をもってる仲間もいるんですけど、わたしは発生したばかりなんで名前ないんです。ごめんなさい」
名前がないという少女にさらに驚き、立花は思わず問いかけた。
「お父さんとか、お母さんは名前をつけてくれなかったの?」
「うーん。人と違って、わたしたちには父母はいませんから。強いて言うならゼピュロス様がお父様ということになるのでしょうか」
少女は鳶色の瞳で、無邪気に立花を見ている。
お父さんもお母さんもいない。
名前もない。
それでは、この子は天涯孤独と同じではないだろうか。
たとえ仲間はいても、彼女に家族は存在しないのだ。
そう気がついてしまった立花は、胸の奥が締めつけられ、唇を噛みしめた。
家族を大切に思う立花は、孤独の恐怖には人一倍敏感だったから。
そんな空気を知ってか知らずか、真辺は間延びした調子で少女に問いかける。
「んー、じゃぁ、名前を持っている仲間ってどうやって名をもらったのかなぁ」
「えっとですね。わたし達の名前は人からもらうんです。出会った人につけてもらうんですよ」
「じゃぁ、俺たちがつけてもいいってことかなぁ」
「はい! くださるんなら大歓迎ですー。でも変なのは却下ですから!」
立花はまたまた驚いて真辺を見た。
彼はへにょりと笑って、ゆったり頷く。
春風の少女は、謝り倒していた先程までの様子が嘘のように、期待に目を輝かせていた。
立花は少女を見つめて考える。
春風の精である女の子。白く柔らかな翼。出会ったときに見た、風にのって舞い散る羽。
この短い間に少女から受けたイメージを言葉に変えていく。
「ふうちゃんってどうかな」
「んー。風だから?」
「うん。でもそれだけじゃなくて、白い翼がとっても綺麗だから、風の羽と書いて『ふう』」
「おー、いいねぇ。どうかなぁ、ふーちゃん」
少女は二人を交互に見て、小さな唇からもらった名前を何度も口ずさみ、輝くような笑みを浮かべた。
「ゼピュロス様ー、わたし名前をいただきました! 風羽ですー!」
天に向かって翼を広げて宣言する。
その瞬間、辺りに芳しい西風が柔らかく吹き抜けた。まるで少女を祝福するように。
さすがに立花と真辺が唖然としていると、風羽ははしゃいで言った。
「ではでは、さっそくお役目をしなくては」
「お役目?」
「はい。わたしは皆さんに春を届けに来たんです。お二人にとって春はなんですか?」
立花と真辺は再び顔を見合わせた。
いきなり「あなたにとっての春って何?」と漠然と聞かれたら、困る人のほうが多いだろう。
「春ねぇ」
「うーん」
「……え、えっとなにかありませんか? なんでもできるわけじゃないんですけど、頑張りますからー」
悩む二人を前にして、風羽は笑顔一転、困り顔で懇願する。
そんな少女を見た真辺は、へにょりと笑って周りを見渡した。
「そうだねぇ。春って言ってもよく分からないかなぁ」
「あやや。そ、そうですか」
「だから、3人で探しに行くっていうのはどうかなぁ。ねぇ、ことちゃん」
「そうだね。せっかくだから一緒がいいな。お散歩しながら春を探そう?」
一瞬がっかりした風羽は、続く2人の言葉に目を瞬かせた。
「あ、ありがとうございます! わたし、頑張ります!」
両手を握りしめて決意を宣言した風羽に、立花が手を差し伸べる。
そんなに力まないで、と。
「いこっか!」
「はいです!」
風羽を真ん中にして、3人手を繋いで歩きだす。
九夜山のところどころに生えている開花が早い山桜はすでに咲き終わり、みずみずしい若葉に覆われていた。
林の中はやや薄暗く、涼しさが漂う。
しかし。
風羽が歩くと、柔らかな風が自然と吹き抜けた。
爽やかであたたかな春の風。
ひっそりと咲く野の花が、軽く会釈するように揺れる。
誘われるように小鳥が追いかけてくる。
木々の影から猫が顔を出す。
一歩ごとに。笑顔が溢れる度に、森の空気が変わっていく。
「トカゲさんには、日向ぼっこをプレゼントー!」
風羽が小さく何かを唱えると、木の枝が本の少しだけ動いて、陽の光を呼び込んだ。
小さなトカゲが木の根元に這い出して、蒼く光る尻尾を垂らして陽光を楽しんでいる。
「小鳥さん、一緒に散歩しますか?」
風羽が呼びかけると、応えるように小鳥が5羽ほど寄り添って飛び始めた。
普通なら警戒心が強くて寄ってこないような野生の小鳥たちが、まるで動物園のふれあい広場にいる飼育鳥のように立花の肩に止まってさえずる。
「うわぁ。なんだかこの子が歌っている気持ちが伝わってくる」
小鳥のさえずりに込められた感情が分かる。それは春の暖かさへの喜びだった。
いつの間にか、猫の親子が真辺の後ろでカルガモのように行進していて、小鳥の歌に合いの手を入れるように鳴き声を上げる。
傍から見れば、完全にファンタジーだ。
「……なんかビックリ。すごいね」
「本当だねぇ。ねぇ、猫さん。ふーちゃんは春をお届けしているんだって。すごいよねぇ」
真辺が足元の子猫を抱えてそう話しかけると、やはりなんとなく意思が通じるようで、同意を含んだ鳴き声が返ってきた。
「そ、そそんな。褒めても何もでませんよぅ」
「十分もらってるよ。たくさんの春!」
「うん、ふーちゃんと一緒に歩いただけで、春を感じたねぇ。ありがとう」
おそらくそんな何気ない2人の微笑みこそが、春風の精にとって無上の報酬なのだろう。
風羽は息を呑んで一瞬固まると、顔を隠すようにうつむいて再び2人の手を取った。
まるで仲の良い3人兄妹のように。
「ステキな名前をいただいて、こんなに褒められちゃって。……わたし、春風の精に生まれて幸せです」
「風羽ちゃん?」
「わたし、初めてのお使いでお二人に会えて幸せです!」
風羽は潤んだ瞳でニコニコと笑いながら、ある場所を指差した。
「このあたりで一番春を感じる場所はあそこですよ」
「うわぁ。こんなところあったんだ」
それは小さな広場だった。森の木々がそこだけ途切れていて、適度な木漏れ日に包まれている。
まだ春先のせいか、生えてきた草花は小さく芝生のように敷き詰まっていて、触ってみるととても柔らかい。
夏になれば青々と背高く茂り、歩くのも大変になるだろう。
自然にできた絨毯は、寝っ転がってみたい誘惑に溢れている。
真辺はためらいなく、その場に腰を下ろして四肢を広げた。
その姿に立花と風羽は顔を見合わせて笑うと、並んで寝そべる。
川の字になって、木々の枝越しに空を見上げる。
優しい陽射しは、ちょうどいい暖かさで辺りを満たし、みる間にまぶたが落ちてきた。
立花は風羽の頭をなでながら、うつらうつらと頭を揺らす。
「……春眠暁を覚えず、だねぇ」
真辺のつぶやきを最後に、小さな空き地を健やかな寝息が覆っていった。
* * * * *
『お二人とも、ありがとうございました。また来年会いましょうね!』
夢のなかでそんな声を聞いた気がする。
少し肌寒く感じた立花が目を覚ましたときには、すでに風羽の姿はなかった。
陽が傾き薄暗くなってきた空き地で、隣で寝ていた真辺を起こす。
彼もまた辺りを見渡して風羽の不在を確認すると、安堵からか、それとも寂しさからか、小さなため息をついた。
立花は手を握ると呟く。掌に残るほのかな温かさを感じつつ。
「風羽ちゃんの手、小さいけど柔らかくて温かかった。一番優しくて素敵な春をありがとう」
「たくさんの春をありがとうなのよー」
立花の感謝に続き、真辺も西の空に向かってお礼を言った。
きっと伝わると信じて。
それを証明するかのように、爽やかな春の風が2人の頬をなでていった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿都
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
動物・自然
神話・伝説
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月24日
参加申し込みの期限
2017年05月31日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月31日 11時00分
参加キャラクター一覧
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