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春風の妖精の活躍 ~春の訪れを告げに~
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【ささやかで貴重な発見】
その日、
八神 修
は急に訪ねてきた
椿 美咲紀
とともに、星ヶ丘の自宅にあるサンルームでくつろいでいた。
サンルームから外を眺めれば、陽光に照らされた庭がよく見える。一角を埋め尽くすシロツメグサの絨毯は時折風に揺れる程度で、穏やかな雰囲気がガラス越しにも伝わってきた。
「ちょうどいい天候だし、らぴを庭に出してやろう」
「いいですね! らぴちゃん、お外で遊びましょう」
椿が白いネザーランドドワーフラビットを抱き上げる。
庭への扉を開けると、爽やかな風が入ってきた。
ああ、春の風だ、と八神は深く息を吸い込む。
椿は庭用のサンダルを履き、らぴと共に飛び出していった。
どっちがウサギなんだかと密かに笑って、八神は生物学の参考書を片手にその後を追いかける。
その時だった。急に陽の光が遮られたのは。
一瞬、トビやタカがらぴを狙ってきたのか、と身構える。
だが、その予想は斜め上どころか、まったく違う方向に裏切られた。
白い翼を羽ばたかせた少女が、空から舞い降りてきたのだ。
薄いブラウンの髪は長く、瞳の色はヘーゼル。
清楚な白いワンピースを着た少女は、どこからどう見ても天使のようだった。
「はじめまして。わたしはゼピュロス様のお使いで、皆様に春をお届けに参りました。あなたはどのような春をお望みですか?」
地上に降り立ち、エンジェルスマイルを浮かべて問いかける女の子。
毎度のことだが、神魂の影響に違いない。
とりあえず敵意や害意はなさそうだと判断した八神は、客として迎えることにした。
自分から名のり、友人として椿を紹介する。
「これはご丁寧にありがとうございます。わたしはアネモネと申します。お邪魔いたしますね」
「アネモネ。なるほど、春風の精にふさわしい名だな」
「お褒めあずかって光栄です」
ギリシア神話において春から初夏に吹く西風の神であるゼピュロスの使い。
そしてギリシア語で風を意味するアネモスを語源とする花、アネモネが名前だという。
確かに春風の妖精として考えれば、ぴったりな名前だろう。
「では、八神さん、椿さん。どのような春をお望みですか?」
「俺は特には……」
「ちっちゃくなってみたいのです!」
穏やかな春の午後を満喫できればいいと考えていた八神の言葉を遮ったのは椿だった。
「おやゆび姫みたいにちっちゃなサイズになって、大きなお花と戯れたり蜜を吸ったりしてみたいのです!」
「いくらなんでも無理じゃないか?」
「……できないこともないですよ?」
「できるのか!?」
驚く八神に、アネモネはニッコリと笑って頷いた。
「少しばかり反則なんですけれど。では、小さくしますね」
神に祈るように手を組んで、何かを口ずさむ。
白い翼が大きく広がって、八神と椿を包み込んだ。
「さぁ、どうぞ」
その翼を解かれた時、3人の背丈は確かに10センチほどになっていた。
「うわぁ、すごいです! ほら、シュー君、らぴちゃんがこんなにおっきくなりましたよ!」
「……確かに」
自分の背丈に届きそうな大きさになった庭の雑草にさわってみる。すると確かな感触があった。
椿はウサギのお腹に突撃する。らぴは警戒することもなく、鼻をピクピクさせた。
「もふもふです。ふわふわです!」
「小さくなるとこんなに違うんだな。らぴ、俺が分かるかい?」
もっとも小さな品種のネザーランドドワーフラビットだが、今は八神と視線がほぼ一致する。
黒く濡れた瞳は感情を写しはしなかったれど、なぜかその感情は伝わってきた。
オトーサン。ドウシテコンナニチイサクナッチャッタノ?
思わぬ呼びかけに、八神は苦笑いを浮かべた。
「俺ってお父さんだと思われていたのか」
「ふふ、いいじゃないですかシュー君。らぴちゃんの大好きって気持ちが伝わってきますよ」
「そんなこと言いながら、何してるんだ?」
「らぴちゃんの背中に乗ってみたいんです! 今しかできませんからね」
ふわふわの毛を掴み、ウサギの後ろ足を土台にしてよじ登る姿はとても楽しそうだ。
ナニヲシテイルノ?
鳴き声とともに心に響くメッセージに振り向くと、長毛種の猫が落ち着いた瞳で八神を見つめている。
「ああ、ロングか。今日は庭の日だったな」
八神の飼い猫は日替わりで庭にでている。ロングはかすかに頷くと、らぴと椿を見て小首をかしげた。
アルジ、ノリタイ?
「気持ちは嬉しいけど、ロングはちょっと大きすぎるかな」
魅力的な提案ではあるものの、ウサギの中でも最小品種のらぴに比べると猫のロングは大きく、よじ登るのはロッククライミングのようなもので少々辛い。
「あら、わたしが背中までお連れしましょうか?」
助け舟を出してくれたのはアネモネだった。大きな翼を広げて、手を差し伸べてくる。
少々迷ったが、猫好きであるがゆえにロングの背中に乗るという誘惑には抗えなかった。
頷いて手をつかむと、アネモネが翼をはためかせる。
「ああ、シュー君ずるいです!」
八神がアネモネとともに空を舞ってロングの背中に降りるのと、椿がらぴの首元によじ登るのはほぼ同時だった。
「ロング、らぴ、あのクローバーのところまで行ってくれるか?」
八神が目的地を指差すと、2匹とも同意が返ってくる。
身長10センチでは庭の横断には時間がかかる。ロングたちの助力はありがたかった。
なにより話ができたことが嬉しいな。
八神はロングの長い毛を堪能しながら微笑みを浮かべる。なんて柔らかくて良い手触りなんだろう。
アルジ、シッカリツカマッテテ。
飼い主を気遣ってゆっくり歩き出すロングの横を、小さく跳ねていくらぴ。
「きゃああああ、らぴちゃん、もちょっとゆっくりー!」
「あらあら、大丈夫ですか? 椿さん」
どこか楽しそうな椿の悲鳴を、空を飛ぶアネモネが追いかけていく。
八神は瞬きしてその後姿を見送ると、感謝を込めてロングの背を撫でた。
小さくなったからだろうか。空がさらに高く青く、陽射しはより暖かい。
ロングの身体から、猫特有の匂いとともに草花や土の香りが強くただよってくる。
八神とロングがクローバーの草原に着いたときには、椿とアネモネが白い花に口吻していた。
「シュー君、とっても甘くて美味しいですよ!」
「ふふ、この大きさだとお腹がいっぱいになりますね」
「……蜜を吸っていたのか。二人とも花粉まみれだぞ。花より団子とはこのことだな」
「じゃあ、シュー君は飲まないんですか?」
「もちろん飲むさ」
「八神さん、こっちの花は密がいっぱいですよ」
その場に寝そべったロングの背から降りると、鬱蒼としたクローバーのなかから大きめの白い花を手繰り寄せる。
思ったよりも力がいらないことに驚きながら花に顔を寄せると、甘いいい香りがした。
椿が深く息を吸いながら、首をかしげる。
「いい香りですね。でも、私が知っているクローバーの花とは違います」
「ああ、小さくなったせいかな。感じ方がぜんぜん違う気がする」
「蝶々さんとか、ミツバチさんとか、クローバーの密を吸いにくる虫さんは、こんな香りを嗅いでいるのかもしれませんね」
花が大好きな椿だからこそ、香りの違いに気がついたのだろう。
顔につく花粉すら美味しそうな匂いがして、本当にミツバチにでもなった気分だった。
はたき落とそうとしても、くっついて離れない花粉に2人そろって困っていると、アネモネが笑って指先を振るう。
芳しい風が吹き、魔法のようにサラサラと花粉を落としてくれた。
らぴはクローバーを食べるのに夢中だ。
3人はロングを従えて、クローバーの草原を探検し始めた。
「シュー君、四葉を見つけましたー!」
「さっそくか。いいことあるかもな」
椿は自分の背丈ほどの四葉のクローバーを、軽々と詰んで持ってくる。
なんとも不思議な光景だが、そもそもこんな大きさになった事自体が夢のようだ。あまり悩んでも意味は無いだろう。
八神はあらためて辺りを見渡した。
いつもなら気が付かなかった、クローバーの香り。虫たちの羽ばたき。
土の温かさと質感が足裏に伝わってくる。
椿は大きく深呼吸してから、突然大地を抱きしめるようにうつ伏せに身体を投げ出した。
八神は微笑みながらその横に腰を下ろす。ロングもまた2人を守るように身を横たえた。
アネモネが翼を広げ、爽やかな風を呼ぶ。
「私、いつも花壇やお庭の手入れをしていて、土いじりしていたんですけど」
独り言のような椿の声が、風にのって周りに散っていった。
「こんなに草花や土をしっかり感じたのは初めてかもしれないです」
椿の言葉に八神も頷いた。
彼も、こんなにも春という季節を、自然の変化を体感したのは初めてだと思ったから。
そんな2人の姿を見つめていたアネモネが、柔らかな声で話しかけた。
「春を満喫していただけたみたいで、嬉しいです」
「はい! とってもステキでした!」
「ああ。貴重な体験をさせてもらったよ」
その返事にホッとしたような笑みを漏らして、アネモネは翼を広げた。
「これでお役目は果たせました。そろそろお別れですね」
「え、もう?」
「……無理をさせた。ありがとう」
八神の労いに首を振ると、アネモネは翼を大きく広げて2人を包み込む。
急に眠気に襲われて、椿は慌てて声を張り上げた。
「とっても、とっても嬉しかったです。ありがとう、アネモネさん」
2人が最後に見たのは、天使のように可憐なアネモネの微笑みだった。
* * * * *
目を覚ましてみると、庭の木陰で2人並んで横になっていた。
ロングとらぴも一緒に昼寝をしている。
もしかしたらすべて夢だったのだろうかと呟いた八神に、椿は首を振って手を差し出した。
そこには四葉のクローバーが、爽やかなそよ風に吹かれて揺れていた。
【終わり】
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あとがき
担当マスター:
阿都
ファンレターはマスターページから!
シナリオガイドを担当しました、阿都(あと)と申します。
ご参加および最後までリアクションをご覧下さり、ありがとうございました。
いつもお待たせしており、申し訳ございません。
少しでも楽しんでいただけるリアクションになっていれば幸いです。
それでは、改めてありがとうございました。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿都
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
動物・自然
神話・伝説
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月24日
参加申し込みの期限
2017年05月31日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月31日 11時00分
参加キャラクター一覧
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