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【お花見】しづ心なく花の散るらむ
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まだ外もぎりぎり、明るいくらいの時間帯だ。
歩き疲れてふらりと入ったのは星ヶ丘のバーだった。まだ開店したばかりなのだろう、それなりに広い店内に客は自分一人だった。
ここはミステリアスに隅のテーブル席か、渋くカウンターか、それとも一番目立つ中央のテーブルか……ふ、ふふ……そんなことを考えるだけで楽しくなってしまった。やはり寝子島はワンダーランドだ。口角がつんと上がってしまう。
「あの……席はどちらに?」
2分ほどその場にいたせいか、遠慮しいしい初老のマスターが問いかけてきた。
「……ふふ」
アケーチ・タッマーキ
は髪をさらさらとなびかせながら彼に目をやった。
50代後半くらいのバーテンダーだ。すらりとした細身で、アイロンのきいたシャツと蝶ネクタイ、綺麗に撫でつけられたロマンスグレーの髪がよく似合う。整った頬髭も銀色で上品だ。眼鏡の奥からは優しそうな瞳がのぞく。
「……ダンディですね」
軽く頬を染めながらアケーチは微笑した。
素敵なおじ様――。
失恋した状態で深酒して、酔った振りをしてしなだれかかりたい、介抱されて、服のボタンを上から順番に外してもらいたい……アケーチの脳内に、黒い薔薇のような妄想が咲いた。
はっきり言って、好みだ。
まあ、アケーチの場合、老若男女問わずストライクゾーンが非常に広いため大抵の相手が好みになり得るのだが。
「はい?」
「……ふ、ふふ、席はどこでも結構です。でもよろしければ、あなたと少し、話がしたいです」
「ではこちらに」
マスターはいまいち事態が飲み込めていない様子ながら、カウンター席にアケーチを導く。
アケーチは氷を浮かべたバーボンに唇をつけた。芳醇な香り、力強い命の味がする。
「桜」
ぽつりと告げた。
「ああ、桜ですか。外はどうでした? 私は今日ずっと店の準備で見れなくて」
「……ふふ、華やかで美しいです。満開時の豪華絢爛さと散り際の儚さはギャップ萌えには堪らないですよね……!」
「ギャップ? モエ?」
マスターは、あまりそういった表現には慣れていない様子だ。そんなあたりも可愛いとアケーチは思う。
このとき立て続けにドアに付けられたカウベルが鳴った。二人連れの客が三組、つづけて入ってきたのである。四人のグループもほどなくして来店した。たちまちのうちに店内はほぼ満席になってしまった。
「……ふ、ふふ、人気のお店なんですね」
「いえこんなに来客があるのは珍しくて……やはり桜のおかげでしょうか」
マスターは「失礼」と一礼して注文を取りに駆けていった。これだけ忙しいのに、アケーチをぞんざいにあつかわないところも好感度が高い。ただ、やはりきつそうだ。額に汗が浮いている。
よし、決めた。
アケーチは、戻ってきたマスターに告げた。
「お願いします、ここで働かせてください……!」
「お客さん、どうされました?」
「せめて一日お手伝いさせてください……! どうにも看過できなくて……!」
「とおっしゃられても……」
いきなり、と困惑気味のダンディ氏に、アケーチはすっと一枚の紙を手渡したのである。
「ご安心ください、履歴書もお持ちしました。バーテンダー歴だってほぉら、こんなに……!」
マスターは目を見張った。アケーチの履歴書には、有名店の名前がずらりと書かれていたのだ。日本のみならず、ロンドンやニューヨークの名店の名もあった。
「なにを隠そう私は流れのバーテンダー、人手不足のバーに疾風のようにあらわれ、疾風のように去って行く……名前は、どうぞ『明智』とお呼び下さい。お給金? さきほどいただいた、マスターの心がこもったバーボンだけで十分ですよ……ふふ」
「あ、そ、そんな凄い人だった……とは……!」
お願いします、と頭を下げるマスターに、アケーチは余裕の笑みを返したのである。
「今から私は従業員、どうぞ楽に」
暗い店内、しかも急場のことゆえ、マスターは履歴書をじっくり読むゆとりがなかった。落ち着いてよく見れば、履歴書に書かれた店名は全部微妙に一文字違いで、在職時期も被っていたり前後逆があったりと、かなりいい加減なものであることがわかったことだろう……。
すぐさま白シャツとネクタイ、吊りズボンに着替え、腕まくりしてアケーチはカウンターの後ろに立った。
「……ふ、ふふ、接客業もなかなか楽しいものですね……!」
注文を受けてシェイカーを準備する。
「え? 明智君、接客業『も』って?」
たちまちマスターの表情が曇るが、アケーチはまったくもって落ち着いて、
「いいえ言葉のあやですよ。ふふ……ところで私のことは『にゃん』付けでお呼び下さい」
「にゃん?」
「そうです。その呼称がニューヨーク流の最新スタイルです……」
「そ、そうなのかい? でもなんだか恥ずかしいような……」
「ふふ、では『薄汚い豚野郎』を頭に付けて下さっても結構。そっちのほうがゾクゾクしますね……ふふ」
「『明智にゃん』でいくことにしたよ」
照れ照れでマスターは言うのである。
「……あ、明智にゃん、カクテルを頼めるかな。ホワイトレディーを」
「イエッサー、明智にゃん、頑張っちゃいますよ……ふふ!」
オリャオリャオリャー! 髪が逆立つほどの気合いを込め、もの凄い勢いでアケーチはシェイカーを振った。
「いかがですか? これがロンドンスタイルです……ふふ」
マスターが何か言う前に、アケーチはさっとこれをグラスに注いで提供する。ところがこれが、「キメ細かく泡立っていて素敵」と女性客に受けてしまったのだから世の中判らない。
「さすがは……敬服したよ、明智にゃん」
「……ふ、ふふ、もっと褒めて下さい」
といった感じで、以後もときどき、「えっ?」という瞬間もあったものの、そつなくアケーチは仕事をこなした。自身『私は流れのバーテンダー』とかたく信じているからか、だんだん仕草もそれに見合うものになり、風格までただよってくるのだから不思議だ。
一人で来店し、隅のカウンターで浮かぬ顔をしている女性には、
「……よかったら、桜リキュールベースのお酒などいかがですか? 今宵にピッタリだと思いますよ、ふふ……!」
音もなくカクテルグラスを差し出す。
「いただきます。これは……?」
彼女の言葉使いには銀行の受付風、あるいは、水商売風の作った雰囲気が合った。
「ローズヒップティーで割ったカクテル、紅桜などオススメです……!」
ふふ、と微笑んでアケーチはさらに告げた。
「あぁ、貴方のような素敵な方に口づけられたグラスは幸せ者ですね……! 私もグラスになりたい……!」
そうしてくねりくねりと身を捩らせるのである。驚くかと思いきや女性は、
「ふふ……お世辞でも嬉しいですね。少し元気が出ました」
と余裕の笑みを返した。できる――!
去り際女性が残していった名刺には『プロムナード』というキャバクラの店名と、『泰葉』という名前が記されていた。
店が看板となり、洗い物をしながらマスターが言った。
「今夜は助かったよ。明智にゃん……バーボン一杯でいいと言ったけれど、給料くらい払わせてよ」
返事がない。
マスターがふと顔を上げたとき、すでにアケーチの姿は消えており、ただカウンターには、一枚の置き手紙が残されていたのである。
『楽しい一夜でした。また店が困ったとき、私はまた現れるかもしれません。
ではごきげんよう……ふふ。
流しのバーテンダー
アケ
明智
』
「あ、明智にゃん……」
マスターは書き置きを手にしたまま、明智の戻らぬドアをじっと眺めていた。
今夜何度も呼んだせいか、『にゃん』付けはもう恥ずかしくなくなっていた。
三分後、「……ふふ、服着替えるの忘れてました」とアケーチが戻ってくることになるとは夢にも思わない。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
117人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月20日
参加申し込みの期限
2017年05月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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