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【お花見】しづ心なく花の散るらむ
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空が茜色に染まる。
家と家の間に挟まって吸い込まれるように消えて行く太陽を、
ジェレミア・ベルトーニ
は黙って見つめていた。
手にしたライトを持ちあげて、電池が残っているか確認する。
……十分ありそうだ。
猫は夜行性の動物だ。野良猫・地域猫の生態調査をするならやはり、暗くなってからのほうがいい。
今宵は桜を愛でつつ、散歩感覚で猫たちを探そう。
出発してすぐにライトが必要になった。カチリとスイッチを入れると、膜のようにほのかな熱が感じられる。
直接光を当てないよう注意して、ジェレミアは顔なじみの猫を探した。
「やあ、そこにいたね。元気かい?」
さっそく垣の上に、いつも挨拶してくれる黒猫を見つけた。礼儀正しい猫なので、今日もちゃんと「にゃあ」と鳴いた。幸先がいい。
やがて今度は、目つきの鋭い茶トラを見つけた。オスだ。あちこちに傷があり、とりわけ額には、斜めに走る大きな傷がある。歴戦の勇士と言いたくなるような姿だった。
視線は向けない。大抵の野良猫は、見られるのが嫌いだ。
――あのコは警戒心が強いんだよな。
猫にも当然性格があり、人間に対する態度もそれぞれだ。あの茶トラは、どうしても人間に対する警戒を解かない。人間から一定の距離を保とうとしているようだった。近づけば、たちまち姿を消すだろう。
ただし好奇心はあるらしく、チラチラとこちらを見ていることがジェレミアにも判った。
ジェレミアとしては、自分が敵でないことを判ってもらいたいと思う。その上で、できれば仲良くなりたいとも願っている。
だからあえて素通りせず、今日は、桜の樹を見上げている振りをして足を止めた。
「綺麗に咲いたなあ」
などと白々しい独り言を言ってみたりして、茶トラにはまったく感心がない風を装う。桜がいいカモフラージュになってくれた。
警戒されないよう、鞄からそろそろとメモ帳を取り出した。
桜のスケッチでもしている様子で、チラ見したときの茶トラの様子を記録しておく。
健康状態は良さそうだ。前見たときより、ちょっと太ったかも。傷が増えていないのもいいね。
そっと横目で茶トラをうかがう。しめた、近づいてきている。
――俺は敵じゃないよ。友達になりたいだけ……お近づきのしるしに、食べ物も持ってきたんだ。
今までで一番距離が近づいたと思う。いけるかな、と思ったのもつかの間、
「あっ」
つい首を動かしてしまったのが良くなかったらしい。茶トラはピヤッと逃げて、どこかの家の柵をくぐり姿を消してしまった。
「残念……」
ジェレミアは溜息をついた。まあ仕方がない。動物相手の仕事は根気が必要だと彼は知っている。
逃げる猫ばかりではない。やがてジェレミアは、フレンドリーなロシアンブルーと出会った。
間違いなく元飼い猫だ。彼女(メス)は逃げたりしないし、避妊手術も受けている。おそらく純血種と思われた。ジェレミアはしゃがんで彼女を迎える。
「今日も会えて嬉しいよ」
ジェレミアが手を伸ばすと、ロシアンブルーはすうっと匂いを嗅ぎに来た。
「じゃあちょっと触診するよ」
健康状態に問題はない。やはり触って調べるのが確実なのだ。
「新顔の猫がいたら教えてね」
ジェレミアは猫の目を見てそう告げた。猫には言葉が分かるまい、という人もいるが、これがどうして、ちゃんと声かけしておくと、次会うときは本当に仲間を連れてきたりするのだ。
「そうだ。最近見かけないキジトラの男のコのこと、知らない? ほら、尻尾が短い……」
こうやって呼びかけておくと、次に巡回したとき、その猫が姿を見せたりもする。ただの偶然と片付けるとジェレミアは思っていない。猫独自のネットワークがあるのだと考えている。
「とにかく今日は、見つかったコはみんな元気そうで良かったよ」
あごの下をナデナデしてあげると、彼女は嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らした。
◆ ◆ ◆
綾辻綾花と早川珪は、ならんで桜並木を歩いていた。
空から朱色が消え始め、黒みのあるブルーの宵闇へと転じていく。
ふたりは川からずっとここまで歩いてきたのだった。
「あ、ネコ」
どこからか音もなく、目つきの鋭い茶トラが顔を出していた。「なに見てんだヨ!」と鋭い眼光でにらんでくるが、綾花から見れば強がっている幼稚園児みたいで、なんともキュートに思えてしまう。茶トラは、気に入らないのかフンと鼻を鳴らして逃げてしまった。
「それで……」
猫の登場で飛んでしまった話を、急いで綾花は続けた。
「家族と花見に行くのは明るいうちで、お弁当を持って毎年色んな場所でお花見してました。夜あまり出歩かないから夜桜を見る機会がなくて今年が初めてです。あっ、私ばっかり話してますね」
「いや、いいよ。綾辻さんの話は楽しい」
「でも、珪先生の桜の思い出も聞いてみたいです。去年のお花見のこととか」
「聞いて面白い話はないと思うな……去年も、漫然と散歩したりして過ごしただけだし」
ところが、珪はたちまち言葉を濁したのである。
誰かと花見に行ったりしないのだろうか、そういえば珪については、学生時代にガールフレンドはいなかったという話も聞いている。『特定の』彼女がいなかった、というモテ話かと思ったりもしたものだが、実際はどうなのだろう……。
珪の視線が下を向いていた。
聞いてはいけない話だったのだろうか、悲しい記憶があったりするのだろうか――綾花はごまかすように、
「それにしても桜が、こうして散ってしまうのがもったいないですね」
と、手を伸ばし、舞い落ちる花びらを手にした。
「花びらを集めて栞にしたいです」
「それはいいね」
「作ったら珪先生にもプレゼントしますね」
「本当かい?」
言ったが綾花が驚くほど、珪の声は弾んでいた。
「ええ、桜色のリボンで結んで」
「楽しみにしておくよ」
なんて嬉しそうな顔をするのだろう、と綾花は思う。この人が、学生時代に彼女がいなかったなんて信じられない。いや、それは今もなのだろうか……?
並木の端で、綾花は珪に手を振った。
「今日はありがとうございました」
「じゃあまた学校で」
珪とは学校が休みで会えないと思っていただけに、サプライズプレゼントみたいな週末だったと綾花は思う。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
117人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月20日
参加申し込みの期限
2017年05月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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