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【お花見】しづ心なく花の散るらむ
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窓の外では桜が散りはじめている。
散らぬ満開はない。最盛期にはもう、終焉が見えはじめている、それが桜だ。
あのときもそうだったのだろうか、と
椎井 莉鳥
は思った。『元彼』に『元』が付く前、今となっては後悔もあるが、彼に肌を許し、ひとつになったあの日にも、別れの予感はあっただろうか。
着信音が鳴った。
読んでいた新書本から莉鳥は目を上げる。莉鳥は着メロだけで、誰からの電話なのか悟っている。
「なに?」
名前も告げず挨拶もせず、冷蔵庫から出してきたばかりのような口調で莉鳥は告げた。
「今日も桜が綺麗だ」
北里 雅樹
の声の背後から車の音が聞こえる。屋外にいるらしい。
「ああそう。切っていい?」
「待て待て待て、久しぶりじゃないか」
「昨日会ったばかりだと思うけど」
「いやー、今日はとくに桜吹雪が凄いな」
「全然会話がつながってない」
いつもそうだ。
いつも雅樹は、私の話を聞かない。何を考えているのかわからない。意図的に、考えを読ませないようにしている。
こちらの動きが見えているのだろうか、親指が回線切断のところに向かったタイミングで雅樹が言った。
「街道の桜並木のところにいる、花見でもしないか」
「それこそ昨日と同じじゃない」
言っても無駄か、となんとなく莉鳥は判っていた。実際、その通りだった。
「んじゃ待ってるからな」
一方的にそう告げて、返事を待たずに雅樹は電話を切ったのである。
またこの流れだ。莉鳥は溜息をついた。
そして、本の栞になるものがないか、机の上を探し始めていた。
服を着替えた莉鳥は、寝子島街道の桜並木に到着した。
雅樹は電話で待ち合わせ場所を指定しなかった。架け返す気にならず、莉鳥は『どこで待ってるのか書いて送れ』とだけ書いてメールを送っている。
メールの返信はあった。
だからその場所に莉鳥は来ていた。いそいそと出たと思われるほど素早くなく、かといって、焦らしていると思われるほど遅くもなく。
「よっ、来たな」
雅樹が片手を挙げた。90%は屈託のない飄々とした笑みだ。しかしわずか10%程度、ばつの悪そうなものが含まれていると莉鳥は思う。
「今日は日曜日。特にやることもないし、バイトも休みだ。といって、猫鳴館の部屋でボーっと過ごすのももったいない……結局、外に出れば何かあるだろう、というわけで、外出したわけだ」
「別にそんな事情聞いてないけど」
「それでさ、一人で歩いていてもなんかつまらんな、そう思ったとき、最初に浮かんだのが椎井の顔だったんだ」
「ああそう」
「反応薄いなぁ……今日だって椎井はデート向けではない、あくまでもカジュアルな普段着といった服装だし……」
「一応着替えて来たんだけど」
「わかってないなぁ、ほら、なんというか、もっと華やかなものをこちらとしては期待するわけで……」
「そんな話どうでもいいんだけど」
莉鳥はにこりともしない。といっても、怒った様子も見せない。
「で、どこに行くの?」
「いや確かにね、椎井にフリフリの可愛い格好を期待したりはしてないよ。あの頃だって、基調はボーイッシュというかユニセックスというか、あまり女っぽさを主張しない服装だったよ。でも明るいものはあったじゃないか、それが今では……」
こんな繰り言に付き合っている暇はない、
「私の服じゃなく桜吹雪を見に来たんでしょ?」
と莉鳥は歩き出していた。
「おい先に行くな、誘ったのは俺だぞ」
やはり噛み合ってない、と莉鳥は思う。波長がずれているなんていう問題ではなさそうだ。中国語とスペイン語で会話しているようなもので、多少の共通語もあるものの、たがいに歩み寄らず別々の文法で話しているような気がした。
自分のことばかり話す雅樹、それをとりあわない私……傍から見れば、きっと二人の関係は妙だと思うだろう。
だけど、今の関係のほうがかえって自分たちには似合っているかもしれない。そんな気もする。
それに……なぜか心地よかった。
「ほら、このあたりでさあ、風が吹いて桜がぶわーっとなったんだ、さっき!」
小学生のような表現しか持ち合わせていない雅樹だが、これでもきっと、自分の見たもの感じたものを一生懸命伝えようとしているのだろう、ということだけは理解できた。
「ふうん」
莉鳥は空を見上げた。
桜はあるが風は吹かない。吹く気配もない。
雅樹の言う「ぶわーっと」は訪れない。
こんな関係は長く続かない、と莉鳥は判っている。雅樹は来年、島の外の大学へ行くつもりだと言っていた。彼は父親とは不仲で、大学進学を機に一人暮らしをするのだと。
でも、それだけじゃない気がする。気がするんじゃなくて、多分そう。
もう恋人同士の関係には戻らない。今は腐れ縁だけど、それも来年で終わる――。
あと一年、と思って莉鳥は雅樹に向き直った。
「どうした椎井、突然黙って?」
「別に」
――来年の別れの日(卒業)まで、こんな関係が続く。
それがいいことがどうかは判らない。
でも、その日が来るまで、この関係は終われない。
多分、この瞬間が一番大切だと思うから。
椎井の無表情にも慣れたな、と雅樹は思う。
といっても、ずっとこんな顔だったと主張されたら否定しきれる自信はなかった。
でも、雅樹には判っている。
あの短い恋愛期間、椎井はもっと、明るい顔をしていた。それこそ、目にする度に惚れ直すような、いい顔をしていた。
そのはずだ。
恋の終わりには劇的な幕切れとか、派手な愛憎劇とか修羅場とか、そういうものがつきものだと雅樹は思っていた。ましてや、もう覚えていないくらい昔からの幼なじみが相手なのだから、なおさらだ。
ところが実際、彼女とは自然消滅に近い形で終わったのだった。去年の彼女の不可解な留年をきっかけに疎遠になって、いつしか冷めて、今は腐れ縁の友達、という関係に落ち着いている。
たぶん、ドラマティックなのはむしろ例外で、世間一般の恋愛というのは、こういう形で終わるのが多数派なのだろう。漫画とかドラマとかで描かれる別れが派手なのは、現実が地味なことの裏返しにすぎないのではないか。
そう考えれば腑に落ちる。
だが、それだけの話……にしては、今の関係になってからのほうが、かえって二人でいる時間が増えたような気がするのだ。皮肉なことだ。
けどもこの奇妙な関係も、長く続くものではないことくらい雅樹だってわかっている。
来年、俺は卒業する、島の外の大学に行く――雅樹は思う。
そのときが本当のお別れだ。
立ち尽くしたまま、もう一度莉鳥は空を見上げた。
「すまん、桜吹雪な、風がないと起こらないみたいだ」
「みたいね」
「もう少し、風を待ってみるか?」
「いいよ、もう」
行こう、と莉鳥は言った。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
117人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月20日
参加申し込みの期限
2017年05月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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