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- 00月00日生 00歳
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【お花見】しづ心なく花の散るらむ
桜は美しい。それは否定しない。
けれど薔薇もまた美しい。とりわけ真っ赤な薔薇は。
そしてその薔薇をつねに携える美少年こと花椿 涼太郎は、空前絶後に美しい！！
「はーっはっはっはっは！」
鏡にウインクして涼太郎は、心のケープ（実際にまとっているわけではない）を颯爽と翻し、今日もまた自分の美を世間に広めるべく、バレエダンサーのようなステップで駄菓子屋の玄関から屋外へと躍り出たのである！
なおこの駄菓子屋は実家である！
「はーーーはっはっはっは！」
エコーの効いた声で高笑いする。美の化身が現れたことを祝してか、桜の木々は満開で涼太郎を迎えてくれている。
「なんと見事な花だろう……！ おお、桜たち……豪華絢爛なるその姿で、この僕の美しさを更に引き立てるというんだね☆」
うっとりと涼太郎は目を細めた。けなげだね、桜たちって――そんなことまで思っている。
涼太郎からすればこの世の森羅万象はいずれも、彼つまり涼太郎の美しさのために存在しているようなものなのだ。
「さて今日は、このけなげな桜を活かしてあげたいものだが……」
ぴーんという音がしたと思ってほしい。このとき涼太郎の脳内で。
インスピレーションが弾ける音だ。そうだ、と手を叩く。
するとたちまち彼は、登場時と変わらぬ身のこなしで、いま飛び出したばかりの家に、ぱあっと飛び戻ったのである。
数分後。
「さあ、これでいつでも撮影会が開けるというもの☆」
プロ仕様の大きなカメラにスーツケース、さらに三脚を抱いて涼太郎はふたたび現れ、ひらりと愛車（自転車）に飛び乗ったのである。
そうして漕ぎ出すのだ。近所の公園へ！
はーっはっはっはっは！ と、響き渡る笑い声だけをその場に残して！
小規模な公園ながら多少の花見客はおり、あちこちでビニールシートなど敷いて春のひとときを楽しんでいるようだった。
うららかな午後……そこに！ 登場！
「はーっはっはっは！」
涼太郎が登場！
「美の化身が写真撮影に来たよ！」
高らかにそう宣言したものだから、当然周囲の注目は集まっている。
「なんの撮影かって？ 写真集？ ノン！ 実はね、駄菓子屋で子供達に配っている僕のブロマイド、その第二弾用の写真素材を集めに来たというわけさ☆」
「テーマはずばり『春の桜と美しい僕☆』！」
ストレンジ中のストレンジな発言ゆえ、当然「えっ」と奇異の視線が向けられているわけだが、そんなものを気にする涼太郎ではない。むしろ、
「はーっはっはっは！ 美しい僕の撮影風景じゃ気になるのも仕方ないよね！」
などと大変好意的に解釈し、テキパキと三脚を設置して本格的な自撮りを開始したのだった。
シャッターを切るのはセルフタイマーというあたりがちょっとアナログだ。そのあたりにも、彼独自の美意識があるのかもしれない。
撮る。
撮る撮る。
撮る撮る撮る撮る。
桜をバックに制服姿で、様々なポーズをとってみる涼太郎である。健康的なポーズ、クールなポーズ、色気がしたたるようなポーズ、王子然としたポーズにワイルドなポーズ……いずれもシャッターを連続で切り、いくつものバリエーションを試している。
「あぁ、シャッター音が心地良いね☆」
カメラは被写体を興奮させるという。涼太郎も撮られるたび、あるいはポーズを変えるたび、熱いパッションを胸の奥で感じていた。頬は薔薇色に染まり、表情は恍惚となる。どうしよう、ドキドキが止まらない……！
といっても涼太郎は撮るだけで満足はしなかった。一定周期でカメラに戻り、撮影した写真をチェックしている。
鷹の目で撮影した写真を調べ、
「あぁ、なんと素晴らしい桜……！ そして僕！」
また恍惚となり（どこが鷹の目なのか）、桜の樹の幹を優しく撫でては、
「美しく咲いてくれてありがとう☆」
と優しく呼びかけている。一人でモデルとカメラマンと撮影助手、さらには批評家とファンまでこなしているのだった。
そして彼は、衣装コーディネーターも兼業していた。
「次はこの衣装にしようか」
スーツケースから春の私服を取り出している。チノパンにアーガイルチェックの春セーターというかっちりした服装だ。といってもこれは序の口、他にもこのケースには、カウボーイのロデオ衣装、お手製の付け羽（天使風）、軍服というよりは鼓笛隊の制服に似たボタン服、はたまた警官のコスプレ衣装まで入っているではないか。
人目はばかることなく着替え始めた彼に、またまた周囲の「えっ！？」が集まるが、やはり涼太郎が気にすることなどまるっきりない。
「はーっはっはっは！ 美しい僕の撮影風景じゃ気になるのも仕方ないよね！」
ああ、美しさは罪……。
怖がってか不審に思ってか、撮影の間じゅう、誰も涼太郎に近づいてくることはなかったという。
だがこれだけは本当だ。
多少、いや相当にナルシストな涼太郎だが、セルフィーばかりといっても撮られ（撮り？）慣れているせいか、本日彼が撮ったいずれのセルフポートレイトも、華麗に、可憐に、スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャスに美しかったということを！
「また来年も、お互い美しく咲いて共演しようね、桜さんたち☆」
けれど薔薇もまた美しい。とりわけ真っ赤な薔薇は。
そしてその薔薇をつねに携える美少年こと花椿 涼太郎は、空前絶後に美しい！！
「はーっはっはっはっは！」
鏡にウインクして涼太郎は、心のケープ（実際にまとっているわけではない）を颯爽と翻し、今日もまた自分の美を世間に広めるべく、バレエダンサーのようなステップで駄菓子屋の玄関から屋外へと躍り出たのである！
なおこの駄菓子屋は実家である！
「はーーーはっはっはっは！」
エコーの効いた声で高笑いする。美の化身が現れたことを祝してか、桜の木々は満開で涼太郎を迎えてくれている。
「なんと見事な花だろう……！ おお、桜たち……豪華絢爛なるその姿で、この僕の美しさを更に引き立てるというんだね☆」
うっとりと涼太郎は目を細めた。けなげだね、桜たちって――そんなことまで思っている。
涼太郎からすればこの世の森羅万象はいずれも、彼つまり涼太郎の美しさのために存在しているようなものなのだ。
「さて今日は、このけなげな桜を活かしてあげたいものだが……」
ぴーんという音がしたと思ってほしい。このとき涼太郎の脳内で。
インスピレーションが弾ける音だ。そうだ、と手を叩く。
するとたちまち彼は、登場時と変わらぬ身のこなしで、いま飛び出したばかりの家に、ぱあっと飛び戻ったのである。
数分後。
「さあ、これでいつでも撮影会が開けるというもの☆」
プロ仕様の大きなカメラにスーツケース、さらに三脚を抱いて涼太郎はふたたび現れ、ひらりと愛車（自転車）に飛び乗ったのである。
そうして漕ぎ出すのだ。近所の公園へ！
はーっはっはっはっは！ と、響き渡る笑い声だけをその場に残して！
小規模な公園ながら多少の花見客はおり、あちこちでビニールシートなど敷いて春のひとときを楽しんでいるようだった。
うららかな午後……そこに！ 登場！
「はーっはっはっは！」
涼太郎が登場！
「美の化身が写真撮影に来たよ！」
高らかにそう宣言したものだから、当然周囲の注目は集まっている。
「なんの撮影かって？ 写真集？ ノン！ 実はね、駄菓子屋で子供達に配っている僕のブロマイド、その第二弾用の写真素材を集めに来たというわけさ☆」
「テーマはずばり『春の桜と美しい僕☆』！」
ストレンジ中のストレンジな発言ゆえ、当然「えっ」と奇異の視線が向けられているわけだが、そんなものを気にする涼太郎ではない。むしろ、
「はーっはっはっは！ 美しい僕の撮影風景じゃ気になるのも仕方ないよね！」
などと大変好意的に解釈し、テキパキと三脚を設置して本格的な自撮りを開始したのだった。
シャッターを切るのはセルフタイマーというあたりがちょっとアナログだ。そのあたりにも、彼独自の美意識があるのかもしれない。
撮る。
撮る撮る。
撮る撮る撮る撮る。
桜をバックに制服姿で、様々なポーズをとってみる涼太郎である。健康的なポーズ、クールなポーズ、色気がしたたるようなポーズ、王子然としたポーズにワイルドなポーズ……いずれもシャッターを連続で切り、いくつものバリエーションを試している。
「あぁ、シャッター音が心地良いね☆」
カメラは被写体を興奮させるという。涼太郎も撮られるたび、あるいはポーズを変えるたび、熱いパッションを胸の奥で感じていた。頬は薔薇色に染まり、表情は恍惚となる。どうしよう、ドキドキが止まらない……！
といっても涼太郎は撮るだけで満足はしなかった。一定周期でカメラに戻り、撮影した写真をチェックしている。
鷹の目で撮影した写真を調べ、
「あぁ、なんと素晴らしい桜……！ そして僕！」
また恍惚となり（どこが鷹の目なのか）、桜の樹の幹を優しく撫でては、
「美しく咲いてくれてありがとう☆」
と優しく呼びかけている。一人でモデルとカメラマンと撮影助手、さらには批評家とファンまでこなしているのだった。
そして彼は、衣装コーディネーターも兼業していた。
「次はこの衣装にしようか」
スーツケースから春の私服を取り出している。チノパンにアーガイルチェックの春セーターというかっちりした服装だ。といってもこれは序の口、他にもこのケースには、カウボーイのロデオ衣装、お手製の付け羽（天使風）、軍服というよりは鼓笛隊の制服に似たボタン服、はたまた警官のコスプレ衣装まで入っているではないか。
人目はばかることなく着替え始めた彼に、またまた周囲の「えっ！？」が集まるが、やはり涼太郎が気にすることなどまるっきりない。
「はーっはっはっは！ 美しい僕の撮影風景じゃ気になるのも仕方ないよね！」
ああ、美しさは罪……。
怖がってか不審に思ってか、撮影の間じゅう、誰も涼太郎に近づいてくることはなかったという。
だがこれだけは本当だ。
多少、いや相当にナルシストな涼太郎だが、セルフィーばかりといっても撮られ（撮り？）慣れているせいか、本日彼が撮ったいずれのセルフポートレイトも、華麗に、可憐に、スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャスに美しかったということを！
「また来年も、お互い美しく咲いて共演しようね、桜さんたち☆」
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2017年05月20日
- 参加申し込みの期限
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- 2017年05月27日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2017年05月27日 11時00分
