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3月の★ハッピーバースデー
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●27日
それは、昨夜のことだった。
いつも通りの2人の食卓。男2人が囲む料理は義理の甥手作りだ。
しかし生来生き方は不器用であり表情豊かという訳でもない
酢酸 朔良
は、いつもと変らずもそもそと食べていたのだが、目の前の甥
ノア・ベルナールド
が箸を止め、その琥珀色の瞳をきらりと輝かせて話しかけてきた。
「そういえば……サクラって誕生日いつなの?」
「誕生日……?」
全く興味のない単語に、朔良の思考は非常にゆっくりとしか動かないようだ。生気があれば美しく輝くであろう若草色の瞳を死んだように半目にしながらぼそりと呟いた。
「ああ……たしか3月20日だ」
「―――20日って、過ぎてるじゃん!」
ガタン! とノアが思わず身を乗り出す。朔良がこくりと頷いた。
「……うん、過ぎてるな」
「もう! 何で言ってくれなかったの」
「まあ祝って貰うような年でも無いし別に……」
膨れっ面のノアを前に朔良は特に感慨もなくまた食事を再開する。すると俯きながらふるふると肩を震わせていたノアから小さな声が聞こえた。
「……する」
「……? 何が?」
首を傾げた朔良に、ガウッとノアが吠えた。
「ちゃんとお祝いするから、明日は早く帰って来てよね!!」
ポカン。
ノアの勢いに朔良の箸が止まる。朔良はパチパチと瞬きしながらこう返すしかなかった。
「……わかった。店しめたら早めに戻るよ」
*******
そして、今日。朔良の誕生日から1週間経っているこの日。ノアは朝から買い物に出ていた。貯金箱から全部出したお金を握り締めて。
買う物は、ご飯とケーキの材料と、プレゼント。それにしても、とノアは歩きながらそのチェリーピンクの唇を尖らせた。
(ここに来てからサクラの誕生日を1度もお祝いしたことなかったから、きっとまだだと思ったのに……過ぎてるなんて!)
ショックだった。お祝いしてあげられるとちょっぴりワクワワクしてたのに。だって、
俺は誕生日お祝いしてもらって
、嬉しかったのに。
思いもかけずに祝って貰ったあの時の胸の温かさを、どう表現したらいいのだろう。あの時貰ったテディベア。あの無表情の叔父は何も言わないが、テディベアが小さくノアに言ってくれてた気がするのだ。ここにいていいんだよ、と。
だから、ノアも朔良にお祝いをしてあげたかった。あの時の嬉しさを少しでも返せたら。1週間、遅れちゃったけど。
ウン! と気合いを入れ直しノアは財布を握り締める。しかしそこでふと気が付いた。
(あれ? サクラって何が欲しいんだろう?)
7か月、同居しているのに、よく考えたら針とか糸に興味があることくらいしか知らない気がする。
(俺、サクラの事まだまだ全然知らないんだ)
その事実に気が付き、ノアは思わず沈み込む。しかしぎゅっと拳を握ると、ふるふると頭を振った。
大丈夫。欲しいものはまだわかんないけど、でも、好きな味はこの7か月で少し覚えたんだ。
ノアはその琥珀色の瞳に3月の光をのせ、走り出した。
俺は知ってる。表情筋が死んでるサクラ。仕事に没頭するとご飯を忘れるサクラ。でも、魔法のように可愛らしいぬいぐるみを作り出す手は、死んでしまったママンと一緒。きっと、温かいんだ。
ちょっとでも喜んでもらえるように、お祝いしよう。ご飯だけでも……がんばろう!
夕方。
たくさんのぬいぐるみや服に囲まれながら、朔良はいつもより少し早く店仕舞いをしていた。
(そういえば、誕生日なんてすっかり忘れてたな……)
あまり関心のない事柄に朔良はぼりぼりと頭を掻く。けれど、何となく毎年思い出してた気がする。何でだっけ……。
片付けをしていた朔良の手が、ふと止まった。
毎年、律儀な姉から送られるバースデーカード。溜め込んだ広告の中から発見した時にようやく思い出していたのだ。その時には大抵誕生日は過ぎていたが。
―――それが、今年は無かった。
窓から差し込む夕日が店内を赤く染め上げている。長く影を伸ばし、朔良はしばしその気配すら夕日に溶かすように独り立ち尽くす。そしてまた淡々と片付けを始めたその横顔は、いつもの如く無表情だった。
そうか……気付かないのも仕方はない。来年からは自分で思い出さなければいけないのか……。
「―――自信が無いな」
懐かしい過去に帰ったかのような柔らかな緋色に染まった店内に、言葉だけがぽつりと落ちた。
店を閉め、自宅に戻った朔良を出迎えたのはテーブルの上のケーキとご馳走、そしてノアのドヤ顔だった。
朔良は思わず呟いた。
「……随分と張り切ったご馳走だな」
素直な気持ちだった。中学生が作ったにしては充分すぎるほどの料理が、テーブルを埋めていた。彼が頑張ったのだという事は、すぐ分かる。そして朔良は、この湯気の立つご馳走を見て、心がほっとしている自分がいるのにも気が付いていた。
「ささ、座って座って!」
ノアに背中を押されるようにして朔良は席に着く。そしてノアも急いで向かいの椅子に座ると、頬を桜色に上気させながら小さな包みを差し出した。
「これ、誕生日プレゼント」
「プレゼントまであるのか」
朔良はその長い指で綺麗に包みを開ける。ほう、と珍しくその眉が少し上がった。
「ニードルクッションか……良いセンスだな」
「これならサクラ使えるかなと思って」
少し心配そうにこちらを見るノアに、朔良はうんと頷いた。
「気に入った。ありがとう。早速今日から使わせて貰う」
「よかった!」
朔良の言葉にノアの瞳がきらきらと輝く。そしておもむろにノアは姿勢を正し、エヘンと小さく咳払いした。
「サクラ、お誕生日おめでとうございました」
そう言ってノアはペコリと頭を下げたが、すぐにその顔を上げ、朔良を軽く睨んで言った。
「……来年は、ちゃんと20日にお祝いするからね!」
来年。
朔良はニードルクッションを手に乗せ、甥っ子のちょっとぷんとむくれた顔を見ていた。
―――来年は、お前が教えてくれるのか。
もうあの広告に紛れたカードは届かないけど。俺はまだ誕生日を忘れずに済みそうだよ、姉さん。
朔良のいつも無表情に閉じている唇が緩み、綺麗な白い歯がわずかに見えた。
「え、どうしたのサクラ?」
その表情の変化に驚き、目を丸くしてノアが訊く。朔良がわずかに手を上げて答えた。まだおかしそうに笑みを残したまま。
「いや、何でも無い。……楽しみにしてるよ、ノア」
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担当ゲームマスター
KAN
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
30人
参加キャラクター数
22人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年04月30日
参加申し込みの期限
2017年05月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月07日 11時00分
参加キャラクター一覧
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