回田 はつなの足取りは軽かった。
「だって、明日は誕生日なんだもん! うひ~!」
3月生まれのはつな。いっつも誕生日は友達より遅い事が多い。
けれど、1つ自分より大人になっていく友人達をちょっと羨ましく見ていた日々も今日でおしまい。ようやく明日は自分も16歳になるのだ。
「えへへへ、やった~!!!」
はつなの喜びが爆発する。すると彼女のろっこん<物言う落花>が発動し、はつなを中心にぶわわっと花びらが舞った。
「……あちゃ、しまった~」
いつもの事ながらまたやってしまった。はつなは携帯しているミニ掃除セットで慌てて花びらを回収し始めた。
*******
はつながろっこんで出した花びらが数枚、風に乗り、
メイド喫茶『ねこのて』の窓の向こうを通り過ぎた。
「あら……お花?」
喫茶店のお客……お嬢様やご主人様が出て行き1人になった店内で、店長代理の
桧垣 万里はふと顔を上げた。
ひらひらと舞う花びら。3月にしては珍しい。だって3月は、春への準備期間。そして。
「そういえば、もうすぐ誕生日よね……」
そう、後数日経てば、万里はめでたく21歳になるのだ。
「21歳、か」
道路向こうに飛んでいった花びらを目で追いながら、万里は吐息を1つ、誰もいない店内に落とした。この不思議な空間にいると、歳も時も忘れがちになってしまう。
けれどもふるふると万里は首を振った。いいではないか。1つ歳を取った素敵な未来の事は、仕事が終わってから考えよう。今の私は優秀なメイド。ほら、1人お嬢様がここへ帰ってきた。
カラン、と開いた扉に歩み寄りながら、万里はにっこりと笑って綺麗にお辞儀をした。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「あ、あの~、花びらを追って来たらこのお店に来て、そしたらその、素敵なお店だな~って思って思わず入っちゃったんですけど……」
上目遣いに可愛らしく言う黒髪の少女に、万里は柔らかく言った。
「お嬢様が迷われなくて良かったですわ。さあ、お座りになって下さい。お茶とお菓子はいかがですか?」
優しく微笑むメイド姿の万里に、黒髪の少女―――はつなはほっとしたように笑う。その扉の向こうで、一足早くこの世に出てきてしまった花びらが、春を告げるように3月の風に吹かれ、青空に舞い上がっていった。
素敵な誕生日を迎えよう……!
こちらは3月生まれのキャラクターさんをお祝いするシナリオです。
形式は前回の「2月の★ハッピーバースデー」と同様、
各々のお誕生日を過ごす、PCさんの様子を描写いたします。
期間は3月の初旬から下旬まで、どの日時を指定しても構いません。
平日か休日かなどは、アクションの都合のよいように書いてしまって構いません。
ただ、誕生日のPCさんが2人以上いるGAの場合、
どちらの誕生日のつもりなのか明記しておいていただけると助かります。
場所は寝子島の島内であれば、可能な限り対応いたします。
お友達と誘い合わせて、パーティを催してもいいでしょう。
そういえば今日って誕生日だったな、と一人でしんみり日常生活を送る人もいるかもしれません。
お友達をお祝いするなど、誕生日に関連するアクションであれば、
3月生まれではないPCさんであっても自由に行動することができます。
◆NPC
以下のキャラクターも3月に誕生日を迎えます。
彼らの誕生日を、一緒にお祝いしてあげるのもいいかもしれませんね。
・浅井 幸太
・剣崎 エレナ
・詠 寛美
・梅川 照喜
上記に書かれている以外のNPCは登場させられませんので、お気をつけください。
それでは、3月の誕生日を楽しみましょう!