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【お花見】桜の下で待ち合わせ
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「は――っはっはっは!」
篝火に四方を囲まれただけのそう広くはない舞台の真ん中に突然立つなり、
花椿 涼太郎
は高笑いをした。
(お婆ちゃん達から伝説の話は聞いていたけれど、まさか城や宴に本当に遭遇できるとはね!)
「桜と僕の美しさの相乗効果を堪能できる時期は短いからね、じっくり目に焼き付けるといいよ」
きらーんばしーん、と煌く星さえ飛び交いかねない勢いでウィンクをする黒髪の美少年を飛び入りの芸人と見たか、客席からまばらな拍手が上がる。
「ん?」
拍手を受けて、涼太郎は長い睫毛をしばたたかせた。客席からの拍手と視線とくれば、
「芸が見たい、のかな?」
呟くと同時、そうに違いないと涼太郎はひとり得心する。たちまちそのかたちの良い唇に艶めかしい笑みが浮かんだ。
「はーはっはっはっは、この僕の美しさそのものがまさに芸術品!」
右の手を左の肩に、左の手を右の腰に、憂いを帯びた瞳は斜め下に。
キレッキレのポージングの次には、キレッキレなターンをキメる。
「どこから見ても、どこをとっても美しさと気品溢れる顔立ち、そして立ち居振る舞い!」
くるくると回り、客席に横姿を向けてバシッと止まる。斜め四十五度に上げた顎にどこからか取り出した一輪の薔薇をあてがい、客席に流し目を向け、
「さぁ、存分に僕の美しさを愛でるといいよ、はーっはっはっは!」
言い放ちつつキラッキラの笑顔も放つ。
涼太郎の放つキラキラに当てられたのか、ただ単に興味を惹かれたのか、見物人の間からひょこんと現れ最前列に座った薄紅の着物を纏った少女が満面の笑みで拍手をした。
「もっともっと!」
幼い言葉でアンコールを請われ、涼太郎は嫣然と微笑む。
「……おやおや、こんな美しい僕の姿だけじゃ物足りないのかい?」
欲張りだね、と少女へと手にした薔薇を放る。空中で薔薇を受け止め、紅の眼を輝かせる少女に、涼太郎は大きく両腕を広げて頷いて見せる。
「でもわかる、わかるよ! この僕の全てを堪能したいその気持ち!」
それじゃあ、としばし考え込む涼太郎をわくわくした瞳で見つめる少女の隣に、青い黒髪の青年が座った。舞台上の涼太郎を眺め、青年は穏やかに微笑む。脇に抱えていたスケッチブックを広げ、鉛筆を走らせる青年の姿に、涼太郎はますます艶めいて微笑んだ。
(美しい僕を描き止めようと言うのだね……!)
「いいとも! もちろんいいとも! しかし月明かりだけでは僕の美しさを浮かび上がらせるに足りるかな?」
朗々と声を響かせる涼太郎に、青年は顎に手をやり考える素振りをみせた。
「そうですね……」
少々失礼、と囁き、露草は鉛筆を走らせていたのとは別の白紙の頁の何枚かに意味ありげな紋章を描き込む。スケッチブックから切り離した紋章入りの紙を舞台の前に等間隔に並べて置き、
「さあ……光れ!」
芝居めいた動きをつけて声を張る。瞬間、紙に描かれた紋章は眩い光を放った。
「はーっはっはっは! いい! いいね、最高だ! それじゃあ、まだ披露していない僕の美しさを初公開しようじゃないか!」
悲鳴のような歓声のような声の沸く客席に向け、涼太郎は高笑いをする。
「日の神アマテラスが岩戸に隠れた際のアマノウズメの如く、この僕の華麗で魅惑的でマーベラス! なステップを堪能してほしいね!」
「まーべらす?」
「素晴らしい、という意味ですよ」
早い手拍子を催促する涼太郎に応じて素直に手拍子をする八ヶ淵の姫の問に、露草はそっと答える。
客席の手拍子と舞台袖で控えていた隈取化粧の男が叩く早い太鼓の音に合わせて涼太郎が披露するのは、この時代の人々が見たこともないようなアップテンポで技巧的なソウルダンス。ホースにペンギン、スネークにバード、動物を彷彿とさせるステップから、サイドステップ、とどめはもちろんムーンウォーク。
「さぁ神々しい僕を見よ!」
ついでに無意識のうちにろっこんを発動させれば、涼太郎の身体から強い光が放たれた。ろっこん『キラキラ★オーラ』を纏ってキラキラ輝くダンサー涼太郎の一芸に、見物人たちは目をくらませながらも歓声と拍手を送る。
人々の拍手喝采に満足し、涼太郎はまたどこかから一輪の薔薇を取り出した。
「堪能できたかい?」
真紅の花に口づけしつつ呟けば、その言葉によりろっこんの発動は終了する。それを折と見て、露草も己のろっこんで舞台を照らす紋章の光を納めた。
元の篝火だけの光の中、涼太郎は煌く汗とともに高らかに笑う。
「はーっはっはっは! とても気持ちが良かったよ!」
いっそ清々しいまでのナルシストっぷりを見せつつも、涼太郎は次に出会えたときのためのことを考えている。
(日本舞踊も習おうかな)
生来の煌きがどれほど高貴であろうとも、それを磨く努力ももちろん怠らない。それが美しい者の運命というもの。
舞台にあがってきた薄紅の着物の少女が、金色の花片を差し出した。どうぞ、と差し出された小さな掌の中の金色を、涼太郎は己の美しさに向けた少女からのせめてもの感嘆の印と受け取る。
「更に美しく魅力的になって再会したいね!」
輝かしい笑顔で屈託のない言葉を告げられ、少女は先に貰った薔薇に顔を埋めるようにして小さく頷いた。
眩しい光に射られた眼鏡の奥の黒い瞳をしばたたき、
花菱 朱音
は舞台の上でポージングをする輝くばかりの美少年を見遣る。今、あの少年の身体自体が発光したように見えたけれど。
(いや、まぁ……)
春の夜風に乱れた前髪を、髪のあちこちを留めたピンのひとつを外して留め直す。
寝子島に来てから、不思議な現象に出会う確率は恐ろしいまでに跳ね上がっている。そもそもからして、ここは寝子島書房発行の奇書『幻の八夜城』に書かれた眠り猫城。その伝説の城にいとも容易く来ることが叶い、朱音はほとんど夢見心地で郭の内を歩き回る。
(まぁ、それも寝子島の魅力の一つなんだけど)
広げた掌に高い梢から散った桜の花びらが触れる。掌に触れる花びらの確かさと儚さに、朱音は改めて周囲を見渡した。
異常なほどに巨大な桜の老木に、その桜の黒々として節くれだった幹に呑まれるようにも見える白い古城。見れば見るほど、ここが現実とは思えなかった。
頬に触れる春の夜風の冷たさも、耳に届く人々の朗らかな笑い声も、酒宴の場から漂う酒や肴のにおいも、何もかもが確かなはずなのに、ふと気づけば三夜湖の畔に立ち尽くしていても可笑しくないような、儚い夢のような気配がする。
(それでも、……)
それでも、ここに居る人々は確かにここに居る。桜の下、過去と現在の人々が集い、今も昔も変わらぬ笑顔を向け合っている。
(皆、どんな思いを抱くのだろう)
例えば向こうでひとりぽつりと座って組み紐を編み続けている青年は。酒樽を囲んで賑やかな酒宴を続ける老翁たちは。篝火の舞台の前に陣取り、芸を披露する者に歓声と拍手を惜しみなく注ぐ人々は。
そうして、そんな人々のうちに混ざりこみ、共に花の宴を楽しむ我々は。
皆、この儚い夢の中で何を思うのだろう。
「さくら、」
梢が垂れるほどに花をつけ、滴が落ちるように花開かせては花びらを落とす桜を仰ぐ。永遠に舞い散るように見える桜も、いつかは散り尽す。フツウならばさみどりの葉が出でて葉桜となるはずなのに、どうしてか朱音にはそうは思えなかった。
桜が散り尽してしまえば、この城は本当に幻となって消えてしまう。
そう思わせるほどに、白く薄紅の桜は本当に美しかった。妖しいほどに美しかった。
「桜の木の下には……」
梢を辿り、城を呑む幹を辿り、地面や郭の壁さえも縦横に這う木の根に行き着く。満開の桜の木の下には、一体何が埋まっているだろう。
(城の人たちが幻だとしたら)
彼らの骸は、あの木の下で永遠の眠りについているのかもしれない。
そこまで思わず考えて、朱音はくすりと笑みを零す。これはちょっと、都市伝説寄りに過ぎるかな。
それでも、そう思わせてくれるほどに、千年桜は妖しい魅力に満ちていた。
ポケットから携帯電話を取り出そうとして、やめる。できれば写真を撮ってインターネットのオカルト掲示板に投稿したいところではあるけれど。
(写真をとったりするのは野暮ね……)
今は、この儚い時を楽しむに徹しよう。
そう決めた途端、桜の色した着物の少女に袖を引かれた。
「さくらの下には? なにかあるの? なにがあるの?」
呟きを聞かれたらしいと思い至って、朱音は瞬く。七歳にも至ってなさそうな、まだまだ神様の子な年頃の少女に、桜の下に埋まるものに関する凄惨な物語を語る気にはなれず、朱音は少し考える。膝を屈めて少女の紅の眼と眼を合わせ、明るく笑んで見せる。
「大判小判がざっくざく。……花咲爺のお話、知ってる?」
「ここ掘れわんわん!」
掘ったのは畑だけれど、と注釈を入れる朱音の手を少女は引いた。連れて行かれたのは篝火に囲まれた簡易な舞台の前。お話おはなし、と舞台に上がることを少女に期待され、朱音は眼を丸くする。
空っぽになっていた舞台の真ん中に、心得た司会の男が一枚座布団を敷いた。急かすように座布団をぱたぱたと叩く男の視線を受けて、朱音は破顔する。花吹雪に黒髪を流し、傍らの少女と視線を合わせる。
「何かご希望がありましたら語って見せましょう。どんなお話がお望みですか?」
おどけて言えば、少女の顔は輝いた。
「まぁ、私が話せるのはオカルト話か落語なんですけど」
「お話おはなし!」
少女がキャッキャと笑って両手を叩く。周りの人々からの拍手ももらい、朱音は用意された座布団の上に正座した。丁寧に礼をし、顔をあげる。舞台から見渡せば、お客は皆、現世の人々と変わらぬ、物語を心待ちにする顔をしていた。
(ここの人たちが何を思っていようとも)
朱音はそっと瞳を伏せる。彼らが何者であろうとも、
(この場に来られたことは幸運)
ならば、その幸運のせめてものお礼をしよう。頭の内に数え切れぬほど納めた物語を検索し、その物語を伝えるがため、朱音は精一杯に声を張る。
「花の色はうつりにけりな、とは申しますが――」
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担当ゲームマスター
阿瀬春
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
110人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月13日
参加申し込みの期限
2017年05月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月20日 11時00分
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