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【お花見】桜の下で待ち合わせ
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「見てまわっていいの?」
舟から最後に降りながら、みつびはここまで送ってくれた船頭を振り返った。
きちんと帰ってくるのなら、と船頭が頷くと同時、みつびは軽い足取りで先に石垣の隙間に伸びる階段を登り始める。
「美味しそうな匂いがする」
天真爛漫な呟きをこぼして思うままに歩み始めるみつびを追い、階段の果てにある門をくぐって郭に出た豪が一番に見たのは、空を覆い尽す桜の梢。枝を辿れば、行き着くのは天守閣のある本丸と支え合うようにして天に伸びる桜の巨木があった。
「池があるー、ねえほら豪くん、池があるよ」
「ん、ああ、本当だ」
郭の方々で花の宴に興じる城の人々を覆い隠すような千年桜の、その幹を目指そうとしたとき、みつびがはしゃいだ声を上げた。見れば、郭の一角に確かに小さな池がある。その畔には小さな小さな祠。
「やっぱカメがいる」
ネッシーはいないのかな、と池の縁に膝をついて覗き込もうとするみつびがうっかり池に落ちないよう見張りながら、豪は傍らに並んだ。
「浅いみたいだしいないんじゃねえか」
祠に祀られているのは、少女のようにあどけない顔をした神女像だった。千年桜の枝と饅頭を供えられた神女の祠の前、みつびは膝をつく。手を合わせて祈るみつびに、祠の傍で饅頭を肴に酒を含んでいた神職らしい中年女性がひらひらと手招きする。
「はいはーい」
警戒ひとつせずに近寄るみつびに、女は篝火で四方を囲っただけの簡易な舞台を指し示す。少し離れた場所にある舞台は、誰かの出番が終わったきりらしい。舞台の前で宴に興じる見物人たちも、司会らしい風変わりな化粧施した男も、皆退屈そうにしている。
「え? 踊るの? 巫女装束貸してやるから、って、……そりゃ巫女舞いの修行も行かされたけど、ちくわ大明神じゃ披露する場がなかったけど……?!」
「みつび先輩?!」
女が住いとしているらしい小屋に引きずり込まれたみつびは、ややあって巫女装束を纏って小屋から出てきた。
「おお」
目を瞠る豪に、みつびは小さく微笑む。
「ん、豪くんって私の巫女姿見るのはじめてだっけ?」
白い小袖と緋袴の上に桜模様の千早を被り、手には神楽鈴を持ち、みつびはその場でくるりと回る。豪に向き直り、もう一度笑む。
「浄明正直、巫女かまぼこってね。ちょっとはおしとやかに見えるでしょ」
先輩の巫女姿の綺麗さに言葉もなくして頷くばかりだった豪は、みつびに続いて小屋から出てきた女へと視線を逸らす。そうだ、みつびが巫女装束となったからには、
(俺も服を借りるか買えるといいんだが)
その方が、この時代劇じみた場所には馴染むだろう。早速財布を出そうとして豪は気づいた。今のお金は使えまい。
(タイムスリップだとしたら今のものと物々交換したらまずいのか?)
とはいえ、目の前に立つ女も、ここに立つまでに擦れ違った人々も、そもそも舟にいた船頭も、誰も彼も皆、寝子島から来た豪たちを疑問に思う様子は見受けられなかった。
(せっかくだし難しいこと考えるよりこの不思議な花見を楽しみたい気もするな)
がりがりと頭を掻いて、豪はこの際開き直ることにする。鞄から取り出すのは、花見がてらの探検のお供にと持ってきていたクッキー。ドライフルーツ入りのそれを一箱全部差し出し、豪は物々交換によって八夜城の人々と同じ衣装を身に着けることに成功する。
「じゃ、踊るから見てて、後でお祓いもしたげるね」
ウィンクひとつして舞台に向かうみつびの背中にうっかりしばらく見惚れている間に、みつびは司会の男と交渉して舞台にあがる。
舞うは、除災招福を願い神慮を慰める巫女の舞。
桜吹雪に神楽鈴の音を涼やかに鳴らし、みつびは祈りを捧げる。一夜だけ、三夜湖に御座された神様に敬意をこめて。
(願わくば、この一夜より外れた幾年も健やかでありますように――)
祈りと敬意を込めた舞は、鈴の音が絶えれば仕舞い。
鈴を手に一礼するみつびに、見物人たちから拍手が浴びせらせる。もう一回もう一回、とアンコールの催促を受けて、みつびは思わず破顔する。淑やかに微笑ませていた唇から、元の明朗な笑い声がこぼれた。
「あはは、いいよー、あとでそこの魚のから揚げいっぱい貰うからねー」
言うなり、賑やかに鈴を鳴らし、その場でくるくるくると回りだしたみつびが、不意に崩れ落ちた。
「おい」
いつの間にか最前列で見ていた豪が舞台に上がりこんで来そうになるのをそっと制し、みつびは平静を装って立ち上がる。
「お後がよろしいようでー」
そそくさと舞台を去るちくわ大明神の巫女に、見物人たちからはそれでも温かい笑い声と拍手が向けられた。
「本職みたいだった……って、おい、大丈夫か?」
舞台袖に回り込んで待ち受けていた豪の胸に飛び込むようにして、みつびは照れ笑う。
「あーん、豪くんこけちゃったよー」
「見せてみろ」
その場に座らせたみつびの捻った足を調べ、豪はそっと安堵の息を吐く。
「骨は大丈夫そうだな……」
「いったー、調子に乗りすぎちゃったよ~」
「おぶってやるから乗れよ」
しゃがんで背を向ける豪の言葉に、みつびは瞬いた。足は痛みはするものの、歩けないほどではない。そうではあるけれど、
「やーさしー」
豪の優しさと逞しい背中が嬉しくて、みつびはくすくすと笑った。
「ふわー……」
豪におぶられて退場するみつびを乙女のきらきらした瞳で見送りかけて、美咲紀ははたと気づいた。慌てて首から提げたカメラを手に取り、花吹雪に去るふたりの背中に向けてシャッターを切る。
「それにしても、とても楽しそうです」
城内の一角である郭で催されている花見宴は、どこをどう見ても、誰も彼もが楽しそうに笑い合っている。
篝火で囲われた舞台とその向こうの桜とお城に向けてもシャッターを切り、美咲紀は興味深そうな視線をカメラに向ける舞台見物客のひとりに声を掛ける。
「すみません、ここはドコですかー?」
出来るなら、八夜城であるとの言質をとっておきたかった。
(だって、もしや大昔の人間の城じゃなくて、実はモノノケ達の城とかかもなのです)
それは日本ではよくあること。
無邪気に問う美咲紀に、舞台を見物しながら酒を傾け肴を齧っていた中年女性はどこか誇らしげに笑った。
「ここは八ヶ淵の殿さまの八夜城だよ」
間違いのない言葉を受け取り、美咲紀はぴょこんと頭を下げる。彼女の言葉に、きっと嘘はない。ここは間違いなく、その昔に寝子島から消えた幻の城であるのだろう。
「おいしそーなお料理ですねっ」
冷たくない雪のようにはらはらと舞う桜の中、見物客たちが筵に広げた宴会料理を美咲紀は褒める。干魚を炙ったもの、勝栗、栃餅の揚げ焼き、味噌を塗った焼きお握り、にごり酒。素朴ではあるものの、きっとどれもこれも、素材の味が濃いいい味をしているに違いない。
「衣装も華やかですっ」
「そうかい?」
桜染めだよ、と微笑む女性は、薄紅の着物を纏っている。殿様らしい男性の傍らに立つ奥方も、男性比率の高い郭のあちこちでぽつりぽつりと見受けられるどの女性も、色合いが違いはすれど皆が皆、薄紅の着物を身につけていた。
美味しそうです、と人懐っこくにこにこする美咲紀に、女性は焼きお握りを差し出す。お食べよ、と手渡されたおにぎりを手に、美咲紀は黒い眼を細めた。
「いただきまーす」
勧められるままにおにぎりを平らげて、美咲紀は食べた分だけ温かくなる身体を立ち上がらせる。
「おいしかったのです。ごちそうさまなのです」
お礼は何がいいだろう。迷いながら周りを見回せば、野辺に咲いた蒲公英があった。
「手伝ってね」
小さく囁きかけ、花を手折る。誰もいない舞台の端で退屈そうにしている、司会者らしい不思議な隈取化粧の男に声を掛ける。篝火の揺れる舞台に上がらせてもらい、陽色の花を手に舞うは、ろっこんを使う際に舞う『舞花の祈り』。
元より己以外の誰かの傷を癒すためのその舞は、真摯な祈りに満ちた静かで短いもの。
(桜の花びらが舞う中でとても幻想的に見える! と、いいなぁ)
せめても、舞台に目を向けてくれる人々が喜んでくれると嬉しい。そう願い、美咲紀は花を手にくるりと回る。
スカートの裾を翻して正面を向いた途端、見物客たちの少し後ろに立つ黒いドレスの少女が目に留まった。
長い翠の黒髪と光も色も吸い込むような漆黒のドレスを花吹雪に躍らせ、葉月は和装の人々から向けられる物珍し気な視線に僅かも怯むことなく、篝火の舞台で花持て躍る黒髪の少女を表情の浮かばぬ瞳で見つめる。
「旅人の嬢ちゃん、呑むかい」
舞台に見つめる少女は、舞台見物の酔客から陽気に声を掛けられ、緩くかぶりを振った。
「申し訳ないけれど、下戸なので」
陽気な花見客に丁寧に詫び、葉月は篝火に照らされる周囲を見遣る。彼の奇書を読んで浮かんだイメージのままの城に、城で宴に興じる人々に、少しでも混ざりたかった。誰に対しても一定の距離を置く彼女にしては、それはとても珍しいこと。
「……これ、お借りしても?」
レースを幾重にも重ねたスカートの膝を折り、葉月は酔客の傍に置かれた横笛を示す。快い返事に丁寧にお辞儀を返し、葉月はその場に端座した。
白い頬に黒い睫毛の影を落とし、瞳を閉ざす。脳裏に思い浮かべるのは、眠り猫城を静かに照らす月明かりと、それに照らし出されて白銀の色を湛える千年桜の光景。
流れ出す音は、最初は風の音のように小さく。満開の花が風に震えて散るようなかそけき涼やかな音は、次第に満開の花の恐ろしいほどに美しくも儚い色を帯びて周囲に広がってゆく。
それは八夜城に捧げる即興曲。
舞台を包み込み流れ始める葉月の幽玄な横笛に、美咲紀はふうわりと淡く笑んだ。奏でられる音に合わせ結い上げた黒髪を春の夜風になびかせ、静かに静かに、花とともに舞う。
「ほれ、あんたも行っておいで」
流麗な横笛の音と桜と共に舞う舞台上の少女を眺めていたところに、突然とんと背中を叩かれ、絢は黒い瞳を瞬かせた。
「え、……え?」
できません、の言葉を口に出来ぬまま、絢は見物客たちに舞台の袖へと押し出される。
「あんたもあの子らと同じ旅芸人か何かなんだろ?」
「っ、ちが……っ」
断り切れずに篝火に囲まれただけの舞台の袖に立ち、絢は途方に暮れる。
(……何を披露しろというの……?)
頭も抱えたい気分で、それでも必死に考える。目の前で静々と舞う、どうやら同じ時代の寝子島から迷い込んだらしい明朗な雰囲気の少女を見、舞台の正面で横笛を吹き奏でる神秘的な雰囲気の少女を見る。
「っ……」
しり込みして立ち竦んだ途端、舞台上の美咲紀と目が合った。くるりと舞い、美咲紀は手にしていた花を絢へと向けて放る。風に躍る蒲公英の花の茎を受け取った途端、見物客から温かな拍手が溢れた。
(ええと……)
舞台へと踏み出しながら頭に巡らせるのは、八夜城にまつわる伝説。頭上の花を仰ぎ、手元の蒲公英を見下ろし、絢は傍らに立つ美咲紀に合わせる格好で舞い始める。舞いにて辿るは、月の夜に消えて幻となった城の伝説。春の月を浴びて桜舞う湖に現れる眠り猫城と、そこに迷い込んだ少女たちの物語。
夜桜と月明りを背景に、ふたりの少女はひとりの少女の楽を受けて幻想的に舞い続ける。
「わー……」
花を纏うようにして篝火の舞台に舞うお姉さんたちを見つめ、瑠樹は思わず小さな歓声を上げた。
「綺麗だねぇ、ラピちゃん」
両手に抱いたうさぎのぬいぐるみを抱きしめ、そっと囁きかける。
寝子島神社で桜まつりを楽しんだあと、耳福池をぐるっと回って三夜湖まで来てみたけれど、まさかこんな不思議なお城があるとは思ってもみなかった。見惚れている間に湖からやってきた舟に乗せられ、やってきたのは大きな大きな桜の樹がある小さな白いお城。
「桜も綺麗だねぇ」
ふわふわと微笑む少年を、舞台を見物しながら花見の宴にも興じる中年女性たちが手招きする。呼ばれるままに近づき、筵の敷かれた宴の端にちょこんと座れば、たちまち瑠樹の前には素焼きの皿に乗せられた干し柿や勝栗が置かれた。
「でもオレ、お金がないからなぁ……」
桜まつりでお小遣いを使い切ってしまったわけではない。持っていないのは、このお城が使っていそうなお金。湖の上に突如として現れた不思議なお城では、使えるお金もきっと違うに決まっている。
(食べ物は気になるけど……)
うつむく賢い少年の頭を、女性たちはかわるがわる撫でた。お金はいらないよ、と楽し気に笑われ、瑠樹は顔をあげる。
「いいの?」
いいとも、と笑うおばさんたちにお礼を言い、瑠樹は小さく刻まれた干し柿を口に含んだ。
「甘いねぇ」
干し柿の甘さに頬を綻ばせ、おばさんたちをそうと知らずに和ませながら、瑠樹は片手に抱きしめたラピちゃんを見ながら考える。
(ろっこん使ってちょっとだけ皆を和ませたいけど)
それはお花見の邪魔になるだろうか。
(よっぽど何かあった時だけにしようかなぁ?)
例えば向こうで強そうな男の人たちが喧嘩しているようにも見える人の輪の中から、今にも殴り合いになりそうな怖い声が聞こえてきたときとか。
そんなことを考えつつも、瑠樹は今はおばさんたちのくれた干し果物の味を楽しむ。勝栗は固いけれど、口の中で飴のように溶かして味わえば、ふんわりと優しい栗の風味が広がってくる。食べ物が美味しいのは、きっととてもいいことだ。
ふふ、と誰も彼もを和ませるような笑い声をこぼして、瑠樹はラピちゃんを抱きしめた。
「ラピちゃん……桜の下でも可愛くて、和むなぁ」
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グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
110人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月13日
参加申し込みの期限
2017年05月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月20日 11時00分
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