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寝子島高校
【お花見】桜の下で待ち合わせ
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星ヶ丘寮を出、シーサイドタウンにあるマンションに戻る。
エントランス前のポストを何気なく覗いて、
加瀬 礼二
は陽色の髪の下の海色の瞳を無表情に瞬かせた。
幾通かの封書に紛れて、寝子島シーサイドアウトレットの大観覧車が大きく印刷された広告が入っている。
他の封書とともに無造作に手に取る。内容を見もせず、エントランスの端に目立たぬように設置された屑籠に捨ててしまおうとしたとき、ひらり、風に乗ってどこからか舞い込んできた桜の花びらが広告の上の観覧車に滑り込むように乗った。
視界を過って手元の広告の上に落ちた桜色に、礼二は海色の瞳を伏せる。空から桜を見てみよう、と書かれた広告の文字を読むともなしに目でなぞる。屑籠に近づこうとしていた踵を一転、礼二は羽織っていた春物コートのポケットから携帯電話を取り出した。
エントランスに流れ込む風に再び舞い上がる桜花を眼で追いつつ気まぐれに呼び出すのは、先に合鍵を交換した
弥逢 遊琳
。
「……センパイでも誘いましょうか」
星ヶ丘寮とこちらのマンションと。彼は今はどちらに居るだろう。
賭けをするように電話を掛ける。こちらに居るのならば誘おう。星ヶ丘寮や他の場所にいるのならば適当に話をして切ろう。
目の前には、いつものようにふうわりと微笑む遊琳が座っている。
「観覧車なんていつぶりかな」
突然の誘いにも戸惑う素振りひとつ見せず、穏やかに頷き寝子島シーサイドアウトレットの大観覧車まで付き合ってくれた『センパイ』に、礼二もまたいつものような微笑みを向けた。
黄昏を過ぎて濃紫へと沈む空に向け、籠が昇って行く。
窓の外に吹く春風の音を耳にしながら、遊琳は眼下の寝子島へと琥珀色の瞳を向けた。桜色を淡く纏った島は、けれど故郷の爛漫の桜景色の美しさには及ぶべくもない。それでも、春宵の空から見る桜には、故郷の桜とはまた別の不思議な趣があった。
「センパイ」
「ん?」
寝子島を彩る桜を見るともなしに見ていた礼二に呼ばれ、遊琳は地の桜から目前の後輩へと視線を移す。
「センパイはどこへ行かれる予定なんですか?」
その言葉に一瞬たじろぐ。ポーカーフェイスで嘘つきで食えない性格な後輩に、己の望む結末を読まれたのかと一瞬思った。けれどそれは一瞬の間だけ。
つい先日卒業生を見送ったこの時期、先輩である己に対して後輩である彼が進路の話を振るのはごく普通のこと、なのだろう。
礼二の言葉の裏をそう読み取り、遊琳は淡く微笑んでみせる。
「高校の間だけの自由だから」
その回答は、
(一応、……嘘ではない)
真実でなくとも。
嘘つきであるがゆえに人の心を読むことに長けた後輩に対する己の答えがどれほど下手なはぐらかし方であると分かっていても、己が望む結末だけは、
(流石に言えない)
柔らかに言葉を閉ざして窓の外へ視線を流す遊琳の横顔を、礼二は眺める。
(進路、ですか)
後輩らしく尋ねながら、本当は、その単語がどれほど『センパイ』に合わぬ表現であるのかは理解していた。
空を目指す籠の中で彼の言葉を耳に傾けるうち、『センパイ』に対する己の推測はより確かな輪郭を描いた。
(センパイは、……)
卒業する前にどこかに行ってしまう。己にも、他の誰にも分らぬような何処かへ。生死すら誰にも感知されぬ何処かへ。
そんな近い未来が嫌になるほど簡単にかたちを明確にして、けれど礼二は決してそれを口にはしなかった。それでも、と内心で思う。
(進路を聞く体で行く末を気にする程度は後輩らしくさせて欲しいものです)
己の狡さを知っても変わらず甘やかしてくれる稀有な存在に、出来ることは何なのだろう。優しさに対する見返りひとつ求めず、むしろ拒絶さえするかもしれぬ彼に、せめて贈れるものは何なのだろう。
窓の外の空を眺めていた遊琳の視線がつと動いた。琥珀の瞳が瞬き、白い指先が舞のような優雅さを見せて宙に伸びる。
その指先へ口づけをするように、薄紅の桜が触れた。
琥珀の瞳をぎくりと瞠り、遊琳はもたげた袖で口元を覆い隠した。礼二の眼差しを感じながら、そっと視線を外す。
(冴玖夜兄様)
どうしてだろう、と唇の内側を噛む。どうして、華道の兄弟子の失踪を知った日のことを思い出したのだろう。大切な人との初めての別れを知ったあの時の衝撃のそのままの感情が胸にこみあげたのだろう。
(冴玖夜兄様……)
憧れと初恋の間を彷徨うも、結局確たる想いとして芽生えることが叶わなかったその想いを、遊琳はかみしめる。
昇華することなく沈殿してしまうような経験をしたからこそ、だからこそ、この爛漫の春の宵に――
「僕ってお前のこと好きなんだなって思ったんだよ」
礼二の顔を見つめることなく、告白する。今日だけは、それが許される気がした。そう遠くはないだろう『その日』のために、これだけは伝えておきたかった。せめても、心残りだけはなくしてゆきたかった。
初めて大切な人を失った日のことを思い出したからこそ、感じた。
(僕は)
初恋にも憧れにもなれなかった自身のあの想いとは比べ物になない鮮やかさで恋をしている。
だから、返事は必要ではなかった。
イエスもノーも、
(キスやハグも、……なんの応えも要らない)
ただ、知っていてほしいと思った。願ってしまった。目の前に端然と座す彼が、己のために曲がったり変わったりはしないと知っていて、だからこそ己が想いを言葉とした。己を己の主とする彼であるからこそ、惹かれたのだから。
ゴンドラが頂点に至る。風に舞い上げられた桜吹雪の只中を潜り、やがて地上に帰るために下り始める。
合鍵を渡した『センパイ』から、おそらくは卒業を待たずしてどこかへ行ってしまう『センパイ』から好意を告げられ、礼二は空色の瞳を細める。
好きだと言われて、悪い気はしなかった。
(こんな性悪だと知っていて)
それでも尚、彼は見返りを求めず心を尽くしてくれている。それだけでなく、きちんとした言葉の花束をくれた。
例えば、『仕事』であれば『俺もですよ』と軽く同意をしただろう。それらしい口説き文句の一つや二つ、息を吐くように返しもしただろう。
けれど、目の前にいる相手は、
(遊琳センパイ)
「それなら、」
心を傾けてくれる『センパイ』には、己なりの親愛を示したい。狡くて性悪な嘘つきから、言の葉を束ねた花束を贈りたい。礼二はそう考える。
「俺の事ずっと覚えていてくれると嬉しいですねぇ」
これから貴方がどこへ行こうとも。
これから貴方がどんな存在になろうとも。
いつか、先輩と後輩という関係性でなくなろうとも。
「俺も忘れないんで」
月光に晒される遊琳の横顔を見つめ、礼二は言の葉を紡ぐ。紡ぎながら、悟っている。己のこの言葉は、遊琳が決して望まぬ言葉なのだろうと。
(知ってますよね、センパイ?)
意地悪く笑おうとして失敗する。『センパイ』の冷たい手を取ろうとして失敗する。
(俺、とことん狡い性分ですから)
そうして緩く笑う。
「来年もまた見られるといいですね、この桜」
遊琳の望みを見通しつつ、透徹した瞳で臆面もなく言い放ってみせる。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
110人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月13日
参加申し込みの期限
2017年05月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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