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寝子島(全景)
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寝子島高校
滞在時間30分だけ。
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3月末は
水上 桜
にとって、高校入学までの準備期間だった。
新しい学用品を揃えるだけでなく、桜華寮の入寮へ向けて、自室の片付けもある。銀行員の父が母と弟を伴って海外転勤するのに伴い、この家を借家にするのだ。
時刻はもう夕食時で、桜は作業の手を止めて自室の隅に立った。大型家具を運び出してみると部屋がやけに広く感じられて、感傷的になってくる。
(ここで過ごすのもあと僅か。私は女子高生で、家族はニューヨーカーか)
ふと
イリヤ・ジュラヴリョフ
から聞いたことを思い出した。中学の同窓生の
日本橋 泉
は、ニューヨーク出身で、長期休暇に入ると家族のもとへ帰郷するらしい。
(もし私のお父さんが会ったりしたら、さり気無く営業しそうだよね。
前に日本橋君のこと話したら、「是非うちに預金して欲しい」と言っていたし)
はは。と口の端から漏れた平和な笑い声。
そこにドタンバタンと修羅場めいた音が混ざって、桜は詰まった悲鳴をあげた。
「な、何!?」
薄暗い部屋の中で恐怖で身を固くし首を忙しなく動かすと、真後ろのベッドで二つの影がもみ合いになっている現場を目撃してしまった。
まるでドラマだ。
現実味のなさに意識が遠ざかりかけたが、片方が口を塞がれていると気づいた途端、桜の直情的な性格が彼女を動かした。
「ちょっと!」
背後から掴んだ上腕は固くて怯みそうだが、なんとか引きはがそうとする。
「止めなさいよ何して」桜はごくりと唾を飲み込む。振り返った男を知っていたのだ。
「は? 水上さん?」
「な……なんで、こんなところに日本橋君がいるのよっ!? ていうか下にいるのイリヤ!? まさか無理やり……」
「Come on!(*勘弁しろよ)」
泉は眉根を寄せてイリヤの口から慎重に手を離した。それでもまだ混乱した顔のイリヤが浅い呼吸を繰り返すので、泉は彼を抱え込み赤ん坊をあやすように優しく囁きながら頰や額に口付け背中を撫でる。イリヤの乱れた着衣と髪や目の端に溜まった涙は、彼を効果的に艶やかに輝かせ、少女の妄想をかきたてた。
「なーんだBL的メオト漫才の練習か。いきなり眼福なシーンを見てしまった……
……そういう問題じゃなーいっ!」
イリヤの後頭部に指を突っ込んで毛をもしゃもしゃしながら桜を観察していた泉が、窓を顎でしゃくった。
桜はカーテンを勢い込んで開け放ち、外の風景を見つめた。茶色い外壁の建物が並ぶレトロとモダンが混ざった独特の街並みは、シーサイドタウンとまるで違っている。しかし泉の存在と言う最大のヒントで、ここが何処かは解る。
「な、な、な、何で私はニューヨークにいるのよ!?」
*
「桜さんは叫ばなかったね、『フツウ』嫌いなのに」
「なんか負けた気がして悔しいので抑え込んだ」
「正解だよ。もし泉が僕の口を抑えてくれなかったら、彼のお母様とDadが起きてきて、もっとややこしくなっちゃってたもの」
「私たち完全に密入国者だからね。……だけど、どうやって日本へ帰ればいい?」
桜とイリヤは沈黙した。解決方法など逆立ちしたって思い浮かばないのは分かりきっているが、考えるに越した事はない。
「JFKから国際線って訳にはいかねーだろうな」
ポケットに財布を突っ込みながら振り返った泉は意地悪な笑顔だ。二人に恨みがましく睨み返されて、店員から受け取ったばかりのペーパーカップを桜の手に収める。
「このロゴ見たことあるかも! 有名なお店?」
「知らねーけど美味いよ」
「私お金持ってないし」
「観て周っただけで終わりはナイだろ? 楽しめよ、密入国」
泉は肩をすくめてイリヤの手を引いた。桜がぽやんとしてる間にテレビの特集で人気モデルがショッピングしていたマーケットから出て、ドラマや映画のロケ地にも使われる有名な高架緑道公園に向かう事になった。軍資金がないなら「せめて近所だけでも見させて!」と頼んでみたが言ってみるものだ。
しかし故郷を歩く泉は足が速いので、景色がスイスイ流れてしまい、ひとつひとつ感動する間が足りないのが難点である。
階段を上がりを少し進むと、泉がようやく立ち止まった。
桜はベンチに腰掛け深呼吸した。朝の空気は冷たく部屋着では心もとないが、緑の匂いとコーヒー豆の香りが芳しく混ざり清々しい気分だ。つかの間桜は彼女を悩ませる寝子島式『フツウ』を忘れ、見知らぬ土地を純粋に楽しむ。
「私の家族もニューヨークに住むの。何か面白そうなのとかない? 詳しいでしょ、一応は地元民なわけだし」
泉は考えるそぶりを見せた。「ビルの谷間に蜘蛛男が出る」
「観光の話しよ」
「小学校の友達がウェストチェスターにミュータントの学校があるつってたな。あとロッティ——妹が教えてくれたんだ、タイムズスクエアのマンホールが魔法の国と繋がっててお姫様が出てくるんだって」
「日本橋君て……」
桜が仏頂面で黙りこくると、イリヤが忍び笑いを申し訳なさそうにおさめ、「ねえ」と泉を諌めている。前屈みになってこっそり二人の手元を見ると、泉が膝の上で握っているイリヤの指をぎゅっと握って返していた。
「チェルシーは見ての通りギャラリーだらけ。
ふむ、家はどの辺? 親父さんの職場ってウォールストリートだよな?」
泉は桜から彼女の家族の引っ越し先を聞いて案内を始めた。彼の態度に桜がいつもより親しみを感じるのは、この気持ちの良い空間のお陰なのだろうか。
家族も遠い外国の地でこんな朝を過ごせれば良いと桜は思う。
願いをかけた長い瞬きのあとに目を開けると、そこはいつもの自室だ。足元も外出時に借りたサンダルからスリッパに戻っている。
しかしあれは夢ではなかった。
桜は掌のなかでまだ温かさを持っているカップに気づいて、がらんとした部屋に秘密めいた笑い声を響かせた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
東安曇
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年04月18日
参加申し込みの期限
2017年04月25日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年04月25日 11時00分
参加キャラクター一覧
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