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花残し月のあなたへ
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昼下がり。
新江 天懸
は姿見の前で、真新しい制服に袖を通していた。赤いラペルの黒いジャケットは、市立中学のありふれた学ランとはまるで違う。
「ブレザーって微妙だなー……」と愚痴った。現時点の身分は中学生だから、違和感があるのかもしれない。
「まだこれ位の我儘は言ってもいいだろう。……うーん、これでジャージもダサかったらやだぜ俺」
彼は無数のリングピアスや、稲妻型の剃り込みを入れた野球少年である。着用頻度の高いジャージのデザインひとつが、モチベーションを左右するのだ。
「って高校で俺野球やらねーっての!」
セルフツッコミをこなした天懸だったが、暫くするとあら不思議。ジャージにグローブとボールの壁当てスタイルで公園に立っていた。
一汗かいて本日の練習を終えぶらついていたところ、同窓生イリヤと出くわした。
「天懸!」イリヤはオーバーサイズな春色のパーカーから出た指先を振ってくる。天懸は野球道具を入れたスポーツバッグを、慌てて背中の後ろへ回した。
「卒業式であなたを見かけたけれど、話しかけそびれちゃったんだ。
だから今言うね。卒業おめでとう!」
天懸がキョトンとすると、イリヤはサングラスを額にずらして見上げてきた。
「ほら天懸も。僕におめでとうって言って」
「卒業おめでとう。……コレでいいのか?」
「いいよ。その困った顔が特に」イリヤは無邪気に笑う。天懸は久しぶりにこの顔を見たが、イリヤが同じ寝子島高校へ進学すると知っていたから、制服を話題に出した。
「イリヤんとこには制服もう届いたか? なんかビミョーだよなあれ」
「僕、寝子島高校へは行かない」
*
路地へ避けた二人は壁に凭れていた。
イリヤは小石で土に地図を描いている。天懸は突然目の前に現れた編入生が、またふわりと何処かへ行ってしまうと聞いて、頭を整理している真っ最中だ。
「マンハッタンのココに……、地図アプリ出せば良かった」
イリヤの頰に栗色の毛が落ちる。去年より伸びた髪は、島で過ごした時間が彼をどれだけ成長させたかを想像させた。
「そっか、それはいいことだな。アメリカ、か」
「はじめ僕だけは高校の寮に入る予定で——兄さんたちがそうすべきだって言うから、僕もみんなが幸せになれるならって納得したつもりでいたよ。
でも泉に話したら、彼は“誰かじゃなくて、イリヤがやりたいことを口に出せ”って言うんだよ」
「それ伝えられたのか?」
「全部」イリヤは伸びをする。「ぜーんぶ欲しい!! って言ってやったよ。ふ、ふふ」
「それは難しそうだぜ」天懸が笑いを漏らすとイリヤも頷いた。
「そう、友達は無理だよね。みんなにはみんなの人生があるもの」
「でもこの先永遠に会えなくなるわけない」
「有難う天懸、そうだと良いよね」
天懸の夢には、アメリカが関わっている。(メジャーリーガーになったらいやでも俺の顔、向こうで見れるだろ)
「だからこれでサヨナラ、永遠に……はいわねえ」
「うんっ」
イリヤはぴょんと跳ね、両足を揃えて歩道を向いた。トートバッグを持っているし、何処かへ行くのだろう。
天懸はイリヤと別れる前にこれだけは、と足を前へ進めた。唇が触れそうな距離までイリヤに近づき、彼の耳元で秘密を打ち明けた。
自分は同性愛者なのだと、そう告白して彼から離れる。
だがイリヤは驚いていない。彼は既に判じていたのだ。
「あれ、なんで分かったんだろう。僕もそうだから?」
「え?」
「僕、泉と付き合ってるよ」
「は!? 日本橋と?」
「いーでしょー。あの声、手、神秘的な黒い瞳。小さな頃からずっと欲しかったんだ! あげないよもう僕のだもん。あ、彼から連絡きてる」
スマートフォンをぽちぽちしているイリヤの薬指には指輪があった。カジュアルだが、この話しを聞いた後だと深読みせざるをえない。
「ンー、女の子のことは羨ましいだけで、可愛い、綺麗しか思わない。デートに誘われても何も感じなかった。
僕のことをГолубо́й(*オカマ)っていじめる子——兄さん達が守ってくれたけれど、多かったよ。でもそうなんだから、仕方ないよね」
「そっか」
なんとなく肩の荷が下りた気分だ。天懸は息を全て吐ききって、時間がなくなってきた様子のイリヤへ早口で伝える。
「俺はな、多分、甘えたがりなんだと思う。それをずっとイリヤに見抜かれてた。今まで悪かったな」
「悪くないよ」
顔を上げたイリヤはきっぱりと応えた。
「嬉しい。だってそんな振舞いをしてくれたのは、僕へ少しでも期待してくれたからでしょう?」
握手を出されて握り返した天懸だったが、イリヤが自分の方へ力任せに引っ張ってくる。
「おぉっ!?」天懸がたたらを踏んで狼狽するのを覗き込んで、イリヤはしてやったりと笑みを浮かべていた。
「前に言ったよね。僕にはこの手を握ることしかできないって。あなたの絶望は僕のものには出来ないんだ。
起き上がるのは自分で望んで、自分の力でなきゃ。
天懸がいつかそうしたいって思う時がきたら、手を伸ばして。きっと誰かがこうして手を取って引っ張ってくれる。甘えていいんだ、大丈夫だよ」
イリヤは呆気ないほどあっさり去っていった。
ただ一度振り返って手を振る姿を見送り気づいたのは、ここが二人が偶然出会った場所だったということだ。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
東安曇
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
NPC交流
定員
20人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月11日
参加申し込みの期限
2017年05月18日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月18日 11時00分
参加キャラクター一覧
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