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佐藤 英二
がこの部屋を訪れたのは、いつ以来だったろうか。
記憶にあるミルクホールの上階は『ジュラヴリョフ兄弟の部屋』だったのに、いま面影を残しているのはリビングの中心に置かれたブルーのソファとコーヒーテーブルだけだった。
三兄弟は少し前からこの部屋を引き上げて、
日本橋 泉
の家に居候している。生活用品はすでに処分してあった。
考えてみると若者三人暮らしの癖、余計なものが見当たらなかったことに気づく。旅立つ準備は常に万全だったのだ。
「Журавлиは鶴だよ。ロシアで生まれて日本にきた俺たちに合ってるのかもね」
そう笑っていたエリセイの言葉が、ガランとした部屋のなかで思い出された。渡り鳥の行く先は、島から遠く離れた国だ。
*
「何処の州に住むんですか?」
英二は振り向かずに言った。別れの寂しさが出た顔を見せないようにしたのに、背後からバカみたいに明るい声がきた。
「それがさあ! 聞けよ英二」
英二が首を傾けた途端、エリセイが背後から抱き『絞め』てきた。体格差を無視した弄りはいつもの事だ。「うげっ」とまるで蛙が潰れた悲鳴を吐いたが、この手酷さが今は楽しくもあった。
「ウエストビレッジだぜ!? ニューヨークの」
「それって泉くんの——」
「チェルシーまで歩いて行けそう」
「わー……」
英二は顔を何色にしようか悩んでいるのに、ジュラヴリョフの末弟ときたら、仄かに染まった頬を両手で包み、ほうっと溜息と吐いていた。
「彼と僕は運命なんです。ハートが眠る場所も一緒。Он мое ласточка!(*僕だけのツバメ)」
「血かな。覚悟決まり過ぎてる泉の方が怖いけど」レナートは密かに呟いてから、英二の方へ首を回した。
「こいつあんな事言ってるけどな——」「言わないで! ダメ!」
「今朝その運命の男をベッドから蹴り落としたから」
「あれは兄さん達が悪いんだもん!」
「資産家の息子をロシアで引っ掛け日本で墜としアメリカで結婚。何もかもイーリャの思い通りだ。恐ろしい……おそロシア!」
「リーセはそれが言いたかっただけでしょう」
「バレた? 日本にいる間に使ってみたくってさー。英二も俺らがいるうちに言っていいよ」
エリセイが笑うと弟たちと英二の声も重なって響く。このノリだけの会話こそ、英二が望んでいたものだった。親しい彼らの引越しは辛いが、沢山話しをして、笑顔で送り出したい。
平凡を絵にかいたような英二だからこそ出来る、最良の別れ方だ。
時刻は深夜を回ったが、会話は止めどなく続いていた。
主な話題はアルバイトや学生生活で、平行世界の鬼ごっこやホワイトデーの妖精など、不思議な体験談も盛り上がる。たった1年にも満たないのに、密度の濃い日々だった。思い出を全部話すには一晩では到底足りない。
英二はそっとカーテンを見ては、まだ暗い。まだ時間がある。朝がこないで欲しいと願ってしまう。
(今夜だけはいつまでも夜が続くと良いな)
しかしいつしか喋っているのはテーブルを囲む英二と双子だけになり、イリヤはソファの上で身体を丸めて深い呼吸を繰り返していた。レナートが毛布を持ってきてやると、イリヤの睫毛がとろんと落ちた。
「Спокойной ночи! Ярких снов.(*おやすみ、いい夢を)」
「紅緒ドリームに落っこちるなよ」
エリセイの囁きで、英二は二度も巻き込まれた夢事件を思い出した。
「あれは遅刻するかもしれなくて焦りました。確か強引に怪獣を出現させた覚えが」
「あったな!」
エリセイが声をたてて笑うと、イリヤがぴくっと動く。レナートが「静かに」と目配せして背中を撫でやると、イリヤは安心して眠りに落ちていった。
「イーリャは昔から眠くなるとダメだ。起きた後も暫く放っとかないと嫌がるし」
「今朝もそれ。俺一度フライパンとオタマで目覚ましやってみたくてさー、泉の耳元で試したら、泉の隣で寝てたイリヤがブチ切れて暴れた」
「それはエリ先輩が悪いですよ。
ああでもイリヤ君、初日の出もこうでしたね。頑張ってたけど、結局朝にエリ先輩に寄りかかって寝てたなあ」
思い出は口に出してみると鮮明に蘇ってくる。
「今年の僕の抱負——」
正月に英二は、アニメDVDを買い集めて一気に視聴と述べたが。
「あれは、多少変更します」
「へー?」エリセイが右から来ると、「Nさんのこと?」とレナートが左から攻めてきた。
「……個人的にすごくお世話になりましたが、Nさんが誰かは秘密と言うことで。というか架空の存在という可能性も」
「往生際が悪いなあ。言っちゃえよ好きなんだろ、の——」
英二はレナートの口の前に掌を出して待ったをかけ、ごほんと空咳をした。先輩には敵わない。
「聞いてください」
「オーケイどうぞ」「英二の抱負は?」
期待の眼差しを受けた英二は、照れくさそうに笑った。
「お金が貯まったら、先に夏休みにでも先輩達の所に遊びに行こうかな、って思います。良かったらニューヨークを……、先輩たち家族が住む街を案内してください」
エリセイとレナートは言葉を失い、自分の感情を量ろうと互いを見る。貰ったものを時間をかけてのみ下し、英二を青い目に映した。
「ありがとな」
「待ってるよ」
微笑むエリセイとレナートの横顔を、朝焼けが美しく照らしていた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
東安曇
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
NPC交流
定員
20人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月11日
参加申し込みの期限
2017年05月18日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月18日 11時00分
参加キャラクター一覧
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