コミックヒーローズ　ダークナイト・カミング｜リアクション

コミックヒーローズ　ダークナイト・カミング

■オークマン２０１７
　統一された戦闘スーツに身を包んだ若者たちが綺麗な列をくんでランニングをしている。
　一方で、ベンチに男が腰掛けている。
　杖をつき、ジーパンに革ジャンにサングラスといういでたちの彼は、見た目にも６０を超えていた。実年齢はもっと低いらしいが、白髪交じりの髪が異様に彼を老け込ませて見せている。
　だが彼のたたずまいには歴史を……いや、伝説を感じさせるものがあった。
「教官！　走り込み、完了しました！　よろしくお願いします！」
　やがてランニングを終えた若者たちが彼の前に整列し、敬礼をなげかけてくる。
「ああ」
　男は……新田亮はサングラスを外した。
　皆は彼の目を知っている。
　黒い瞳の奥に燃える正義の炎を、果敢に巨悪と戦い続けた伝説を知っている。
　伝説の名は、『オークマン』。
「今日は特別に組み手をやるか。一人ずつ来い。本気でな」

　大柄な男の繰り出すパンチ。
　それを亮は紙一重でかわし、手首を掴んで相手を転倒させた。
　素早く腕を後ろに回し、うつ伏せに拘束する。
「殴るだけなら小さな子供でもできる。頭を使え」
　次には亮の周りを高速で駆け回る細身の女。
　残像を作って背後に回り込むが、亮の突きだした杖の先端に躓いて派手に転倒。そのままごろごろと転がっていった。
「後ろをとれば勝てるわけじゃない。相手の動きを読んで手を決めるんだ」
　そして。
　背後から飛来する手裏剣――を、振り返りもせずに二本指でキャッチした。
　手に取った手裏剣の形を見て眉を動かす亮。
「相変わらずだな、テクノマスター」
「きみは随分変わったようだ、オークマン」
　リアクティブ迷彩を解いて風景の中から突如現われた修に、亮は向き直る。
「君の力が必要になった」
「若者に任せるんじゃあだめか。相棒の後輩たちが今も戦っている筈だ」
「プロディジーのことは残念だったと思う。けど――」
　亮の向けた鋭い目に、修は口をつぐんだ。
　杖を生徒に手渡すと、亮は再びサングラスをかけて歩き出す。
「いいだろう。俺のようなロートルが、どんな役に立つかわからないけどな」

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