カメラを持って外に出よう｜リアクション

カメラを持って外に出よう

■八神修のニャンスタグニャム
　我らが八神修の趣味は勉強である。
　勉強が趣味の人ってほんとにいるんだ、と思わせるくらいお勉強に没頭できるので放っておけばずっと本を読んでいたりするのだが……。
「同じことを続けていると効率も悪い。折角いい天気なのだし、外に出るか。けど何か他にも理由が欲しいな」
　カーテンを開き、空を眺める。
　スマホで天気を調べようと思ったら、ニャンスタグニャムの広告が表示された。
「写真、か」
　棚に置かれた一眼レフを手にとって、修は部屋を出た。

　勉強の何か楽しいのか、と大半の人は思う筈だが、勉強にはちゃんとした楽しさがある。
　それは学ぶことで視野が広がるということだ。けれどやらずに分かる楽しさはないので、最初はしんどいのだが。
　その辺は、登山を趣味にする人と似たようなものだ。
　修はそんな性格なものだから、基本的に苦手なものはない。苦労を黙々と乗り越えるからだ。
　そんな中で、カメラは彼にとって比較的手に取りやすい趣味と言えただろう。
　何かを感じたり、絵になると思えばカメラをきる。
　きったうえで、感じたことを絵にのせられるようにレンズを切り替えたり角度を整えたりする。
　写真は画角と光の魔法なので、突き詰めるとなかなかおもしろいものだ。
　ビルに挟まれた空を魚眼レンズで撮ってみたり、雑踏を写すためにピントを交差点の縞模様にあわせてみたり。
「うなんな」
　おっと、そうだった。
　修と言えば、大の動物好きだったことを忘れていた。特に犬猫。
「こんにちは。いい天気だね。きみを撮らせてくれないか」
　野良猫に声をかけられて、修は思わずネコに夢中になってしまった。
　身を低く屈めて、ネコをひたすら撮影し続ける。
　圭花に声をかけられたのは、そんなタイミングである。

このページにイラストを設定する