うみねこで春の味覚を｜リアクション

うみねこで春の味覚を

●楽しみな旬の味

　ねこったーを見ていた水守流は、大衆食堂『うみねこ』が期間限定メニューを出すことを知った。
「期間限定メニュー開催だと！？　へー、色々と美味そうなメニュー出してんだな」
　他に何があるんだ？　とねこったーを隅々まで見ると、海鮮鍋の文字を発見。
「お、鍋もあるのか！」
　３月とはいえ、まだ寒い。鍋やおでんといった温かい食べ物がおいしい時期だ。
「鍋を食って〆の雑炊食ってってのはたまらねぇよな！」
　以前、鍋を食べ終えた後に作った雑炊の味を思い出しながら、限定メニューの鍋を食べに行こうとしたが……
「……なに！？　注文は二人前からだと！？」
　１人で食べられないことがわかりショック。
「しかたねぇ、少し出費は痛いが本居を呼ぶか。この鍋、熱い戦いになるのを覚悟しなけりゃな」
　都合が合うかどうかわからないので、本居陽毬に電話して大丈夫かどうか確認を。

「本居、大衆食堂『うみねこ』で一緒に鍋食べないか？」
「大衆食堂にご飯を食べに行くの？」
「穴場の大衆食堂だ」
　寝子高新聞部の号外で話題になっていたわね、と『うみねこ』のことを思い出す陽毬。
　食い友が誘ってくれたお店、それも穴場で、どんな鍋を奢ってくれるのかドキドキ、ワクワクした。
「素敵な話！　行く！」
　鍋の他に、３月の限定メニューがあることを聞いた陽毬は誘いに応じた。
「どんなものがあるのか楽しみだわ」

「おお、うみねこで３月限定メニューが出るのかー」
　李小麗もねこったーで『うみねこ』で限定メニューを出すことを知った。
「相変わらず美味しそうなものがメニューに載っているのだ。涎が出るのだ」
　限定メニューを出すということは……きっとお店は混むと思う。
「おじちゃんとおばちゃん、忙しそうにしていると思うのだ。混んでいたらお手伝いするのだ」

「限定メニュー？　これは行かないと！」
　期末試験は音楽だけ赤点。
　追試と補習授業で春休みが潰れたら、購入済みで封印を解いていない乙女ゲーとバスケができない。
　留年したらそれどころじゃなくなるのは必至。
　それだけは避けたいと頑張った甲斐あり、羽生碧南は進級が決まったので胸を撫で下ろした。
「これ、頑張った自分へのご褒美に良いじゃない」
　バスケ部の朝練が終わったら行こう、と『うみねこ』行きを決めた。

「限定メニューとなると、客が増えるな。人手が足らないだろうから手伝おう」
　魚戸ケンゾウの料理で体力をつけ、格闘技の練習に励む新田亮は、恩返しのチャンスと手伝うことに。

　ねこったーで『うみねこ』限定メニューの宣伝をしたのは、アルバイトの鳴鏡院総悟。
「忙しくなりそうだ……」
　『うみねこ』でアルバイトをしている綾辻綾花に、更に忙しい思いをさせてしまうと思うと気が重い。
　それに加え、負担を増やしてしまう負い目も。
　大丈夫かな……と心配していると、綾花からＤＭが届いた。

　総悟くん、お客さんに喜んでもらえるよう一緒に頑張りましょうね。

　短い言葉だったが、総悟の不安は吹っ飛んだ。
「僕も頑張らないといけないな」

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