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三月も半ばを過ぎた。
つまり、もうじき今年度が終わるということである。
だが
新田 亮
にとってこの三月は、単にある年度の終わりを意味するものではなかった。
亮にとっては、ひとつの区切りといっていい。いま少し直接的に言うならば、喪失だ。
もうすぐ亮は失う。きっと永遠に失う。ある先輩を、目の前から。
彼は亮の目標としてきた人であり、しばしば反発することもあったが根っこでは尊敬する人でもあり、心密かに、好敵手と目してきた人でもあった。
彼は名を
沢田 剛
という。寝子島高校の三年生、間もなく卒業する身だ。沢田は卒業と同時に、柔道を辞めることを宣言していた。
放課後、陽が落ちてたちまち寒くなった柔道場に入り、亮は灯りをつけた。
汗と血が染みこんだ柔道着の肌触りは変わらない。素足の裏に感じる畳の、吸い付くような感触も同じだ。けれどなぜなのか、今日に限って、柔道場に乾いた、空虚なものを感じるのは。
気合いが足りない。
これが最後だと思うからだろうか。
結局、この日まで、一度も沢田に勝てなかったからだろうか。
認めたくないけれど、感傷的な気分になっているからだろうか。
駄目だ駄目だ! 亮は己の頬を、耳がじんと鳴るほど強く打った。
まずは勝つことだ。少しでも先輩に感謝を伝えたのなら、それは言葉ではなく、打ち克つことで示さねばならない。
実際のところ、亮からすれば沢田は遙か格上の相手だ。自分が富士の五合目にいるのだとすれば、沢田は頂上はおろか、富士の上に飛ぶ鷹のごとき存在かもしれない。
だが、負けない。勝つ。作戦は練ってある。
――今日こそ絶対勝つからな!
正座して待つこと十数分。やがて音もなく沢田が入ってきた。
「おう、早ぇな」
柔道部員らしからぬツンツンに尖った髪、厚みのないすらりとした体格、どことなく軽薄そうな笑み。スポーツをやってると名乗れば大抵の人間が、彼をバスケ選手あたりと見紛いがちだ。
しかし亮は知っている。剛の細い体には鋼鉄のような芯があり、正面からならいくら襟首をとっても動かない。軽薄そうなのも見た目だけで、実際は人一倍練習熱心で負けず嫌いだ。尖った髪型にしたところで、「成績が下がったら即丸坊主にする」と宣言して親に認めさせたものだという。それだけ言えるだけあって、勉学においても沢田はトップクラスで、実際、有名な難関大学に一発で合格しているのだった。彼が三年間、坊主にしたことは一度もないそうだ。
沢田は半笑いで亮を見て、
「で、お前、やっぱやるってんだな? もう俺は引退なんだけどよ」
面倒臭そうに胸元をかいた。
「疲れるのは嫌だからよ、とっとと終わらせようや」
嘘だ――亮は知っている。
沢田は、受験期に落ちた筋肉をかなり戻していた。亮が最後の試合を申し込んでからすぐ、かなり絞り込んできたのだろう。それに、沢田がそう偽っているように生半可な気持ちでいるのならば、一年坊主の依頼などさっさと袖にしたはずだ。「よし、やろう」、亮の依頼にそう回答したとき、沢田が真顔になっていたことを亮ははっきりと覚えている。
「今日は勝ちます。勝って、先輩を送り出します」
亮は立った。
「俺からすりゃお前はまだ小僧だ。返り討ちにしてやんよ」
小僧、そんな言い方を沢田はしてきたものだ。沢田は高慢で、たびたび人を見下すような態度を取る。
しかし亮は彼に体格のことを揶揄されたことは、ただの一度だってない。
小兵でも大兵を破るのが柔道、よくそう言われるが実際は、やはり体格の差が有利不利に働くのは事実だ。小柄で体重もない亮が、向き不向きで言えば『不向き』の体つきなのは否定し得ない。けれどもそのコンプレックスを刺激するような真似を沢田は決してしなかった。亮がその不利を克服すべく努力していることを知っているからである。
沢田は他の下級生も平等に侮る。だが決して、相手が一番言われたくないことは言わないのだ。
「胸をお借りします!」
亮が直立すると、沢田も向かい合った。
「おう!」
審判はいない。一対一だ。
時間計測用の大型タイマーをセットした。
礼をする。
アラームが鳴ったとき、最後の試合が始まった。
序盤、沢田は亮を試すように、積極的に攻めを誘った。亮は果敢に挑むが、沢田はいずれもたくみに凌いだ。凌いで凌いで、凌ぎきったところで、
沢田が、攻めた。
さすがは……!
夏大会の頃に匹敵する果敢な攻め。その頃の亮であればすぐに投げられていただろう。
けれども亮はこの日のために、徹底して沢田を研究した。試合を録画したDVDはコピーのコピーが使い物にならなくなるくらい見たし、イメージトレーニングも重ねてきた。そして肉体も技も、徹底して鍛えた。
だから、粘った。
終了時間まで残り数秒、そこまで一本を取られず耐えきった。
だがこのまま時間となれば、自分が判定負けになることを亮は悟っていた。圧倒的に押されていた。第三者の審判がいなくても、負けを認めざるを得ない。
――まだ時間はある。ここで諦めてたまるか!
その気迫が、沢田のそれを上回った。
小内狩り! 何千回とイメージしてきた通りに足が出た。
そこで沢田のバランスを崩すと、おう、と一気に一本背負いに持っていく。
浮いた。
沢田の体が、浮かぶのを感じた。
どん、と沢田の背中が畳みを叩いた直後、アラームが鳴り響いた。
「よしっ勝ったぞ!」
拳を振り上げたりはしないが、感極まって声が漏れてしまう。
ちっ、と舌打ちして沢田が言った。
「負けたよ。俺の動き、読みやがったな……完敗だ」
亮は既に立っているのだが、沢田はまだ、畳に大の字になったままだ。
それでこそ――亮は笑みが浮かびそうになるも、失礼なのでこらえた。
きっと、相当に悔しがっているのだ。それでこそ沢田先輩だ。
もしかしたら、期待通りにいくかもしれない。
「もし良ければもっと戦いませんか?」
亮は告げていた。
「これだけで終わるなんてにもったいないですよ」
そして亮は、沢田に手を伸ばしたのだった。
「言ってくれるぜ小僧……いや、新田」
その手を、沢田はしっかりと握った。
「リベンジは一年後だぜ」
と言う彼の口元は、ニヤリと笑みを浮かべている。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
コメディ
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年02月27日
参加申し込みの期限
2017年03月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年03月06日 11時00分
参加キャラクター一覧
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