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春色タペストリー
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星ヶ丘寮の一室。夜もすっかり更けた頃合い。
ロベルト・エメリヤノフ
は柱にもたれ、恍惚とした瞳で窓の外を眺めている。
遠い街の灯を見ているのではない。むしろロベルトは、何も見ていないといっていい。
まだ、ホワイトデーのステージで受けた深い感銘から心が戻らないのだ。
はぁ……あのときの悠月は最高だった……!
思い返すだけできゅうっと胸が切なくなり、しびれるほど甘い感覚に溺れそうになる。夢のようなひとときだった。いっそ夢なら醒めるなと、何度願ったことだろう……!
「そろそろ寝ようと思うんだが」
そんなロベルトに、ぶっきらぼうな口調で
獅子目 悠月
が声をかけた。
悠月はパジャマ姿だ。白地に水色のストライプ、買うときにサイズを間違えたのかやや大ぶりで、まっすぐ伸ばした腕の、親指のあたりにまで袖がきている。
「……え? うん、おやすみ」
「電気消すからそこどいて、っていう意味で言ったんだけど」
悠月が指さしたのはロベルトの頭上だ。そこに部屋の灯りのスイッチがあるのだった。
「あ、ごめん」
いそいそと立ちのくロベルトに、悠月が言った。
「待って」
「歯ならもう磨いたよ」
「違う」
と言う悠月の手には寝間着の上下がある。
「着替えたら?」
灯りはベッドサイドの読書灯だけ、既にシーツに入り毛布を被った状態で、悠月は両手を頭の下に敷き天井を見つめている。
気配を感じて首を向けると、着替えてきたロベルトと目が合った。
新品のパジャマ。二着入りを買ったものだから、ロベルトの着ているものも悠月のものと柄は同じだ。体格がほぼ同じだから、サイズが大ぶりになるのも変わらない。色だけ違ってロベルトのほうは、緑と白のストライプだった。
「ありがとう……これ、貸してくれて」
「昼間の格好のまま寝るわけにもいかないだろ。欲しけりゃやるよ」
ごろっと寝返りを打ち、悠月はロベルトに背を向けた。
「僕、もしかしたら床で寝たほうがいいかな……?」
「は? なんで?」
悠月は顔を向けない。
「今日、すごく興奮したから……なかなか寝付けないかもしれない……」
「……床でごろごろされるほうが気になる」
ぽんと投げ捨てるように悠月は言ったのだが、ロベルトは笑みをこぼした。
「じゃ、遠慮なく」
するっと猫のように、悠月の隣に身をすべりこませた。
しばらく、ふたりとも無言だった。
やがてぽつりとロベルトが口を開いた。
「ステージ、本当に素晴らしかった……!」
悠月は背を向けたままだが、
「それはありがとう」
と短く返す。これで堰を切ったように、ロベルトは胸に溜めていた感想をどっと述べ始めたのだった。
やがて、
「理想の美少年が、自身の持つ才能を余すところなく発揮している姿は素敵だ……!」
こうロベルトが口にしたときである。
悠月がもう一度寝返りを打った。そうしてロベルトの正面を向く。
悠月は目でぴたりと、ロベルトの目を見据えている。眠そうな様子はなかった。榛色の虹彩は鋭い光沢をたたえていた。
「前から気になっていたんだが、その理想の美少年とはなんだ」
怒っているような口調だ。
え……!?
ロベルトは戸惑わざるを得ない。
――そういえば……僕の理想について人から聞かれることってあんまりなかったな……。
『理想の美少年』という言葉にそれほど深い意味を持たせたつもりもなかった。
「ああ……君みたいな男の子さ。気にしなくていいよ」
軽く聞き流してくれればそれでいいのに、
「気になるから訊いているんだ」
悠月に許す気はないらしい。食い下がった。
理想の美少年、そうロベルトが言うのを聞くたび、悠月のなかにはある感情が育っていた。手に乗るサイズだった雪玉が、雪の積もった坂を転げ落ちるに従い、だんだん大きくなるようなものだ。
称賛されているのだろう、それ自体は悪い気はしない。
けれど、
「……枠の中に収められているようで気に食わないな」
はっきりと悠月は告げた。ロベルトに顔を寄せる。
こんなに近くで悠月の目を見るのはいつ以来だろう――ロベルトは思った。
もしかしたら、はじめてかもしれない。
「枠……か。間違いでもないね。要するに、好みのタイプってことだよ」
悠月の瞳のあまりの美しさ、薊のような睫毛の一本一本にいたるまでを目の当たりにして、目が眩んだようになってロベルトは眼差しを逃しかけたのだが、
「俺を見ろ」
と言われて、しっかりと見つめ直す。
見ろ、か――ロベルトは思わずにいられない。見たところで、君が僕を見てくれるかなんてわからないじゃないか。だから僕も……枠組みだけ見ていればって……。
なら、こちらにも訊きたいことはある。
負けじとばかりにロベルトは、さらに悠月に顔を寄せた。
「……それで君は、僕のことを見てくれるのかい?」
もう吐息が感じられる距離だ。けれど、
「見ているだろう」
悠月は目をそらさない。恋人のように、あるいは宿敵のように、熱の籠もった視線をロベルトに向けている。
「ロベルト、俺は俺だ。『理想の美少年』なんて奇妙な生き物になったつもりはない」
「そういう意味じゃなくて……」
ロベルトはまばたきした。本当はまばたきするのすら怖かった。目を閉じて開いたとき、悠月が消えているのではないかと思ったから。だが、悠月の顔はずっとそこにある。
「ならどういう意味だと言うんだ」
悠月は言った。
「俺は、お前のよく変わる表情も、面と向かって欲求を口にする素直さも、いろんな場所へ行っていろんな楽しみを見つけられるところも、情けないくせにたまに年上ぶって頑張るところも……全部ロベルトという人間として好ましく思っている……」
一瞬口ごもったが、悠月は勢いのままに続けた。
「……大切な友人だと、思っている。これ以上になにがある?」
言い切って少し、悠月はすっとしていた。
こうやって言葉にした記憶はあまりに少ないが、いままでロベルトが伝えてくれた素直な言動に応えたかった。
今、このときだけは、少し、応えられたと悠月は思う。
ロベルトは息をついた。悠月がこれ以上なく真剣に、頬すら染めて胸の内を明かしてくれたことが嬉しい。
「そんな風に言ってくれたの、君が初めてだよ」
――いままでの僕までしっかりと見てくれたのか……。
許されるのならば手を伸ばして、悠月の手を求めたいと思う。彼が応じてくれるのなら、指を絡め合いたいとすら思う。冗談半分で言っているのではないと、わかってほしくて。だがロベルトはその衝動をかろうじてこらえていた。
けれど彼の回答には満足しなかったのだろうか、もう一度、悠月は語気を強めて、
「もう一度言うぞ、俺はお前をちゃんと見ている。お前も俺を見ろ」
――俺を枠組みで見るな。枠組みだけで、見るな。
悠月の目がそう告げている。
「わかった。努力するから……だから、僕から離れたり……しないで」
もし自分に、あなたに対して茶化しているようなところがあるとすれば、それは不安の裏返しなんだ――ロベルトはようやく、自分の考えが整理できた気がしていた。
「あのな」
ふっと悠月は息を吐く。
「ロベルト、ここまで言える友人は少ないんだ。簡単に離れるわけがないだろう」
浮遊感のある笑みがロベルトに生まれていた。この答を聞きたくて、今夜はずっと、話し続けていたのかもしれない。
すると同時に、透明のヴェールのように睡魔がふわりと覆い被さってくる。ロベルトの瞼は半ば下りていた。けれど狭まった視界からでも、悠月が見守ってくれているのがわかった。
「消すぞ」
悠月は告げて、腕を伸ばし読書灯を落とす。いま、この部屋の唯一の灯りを。
うとうととしながらも、腕を伸ばす悠月の、白い首筋の美しさをロベルトは眺めていた。
闇が訪れた。
しばらくして、
――そうだ、パートナーとしてはどう見てくれてるんだろう?
そんな想いが胸をよぎって、囁くようにロベルトは問いかけた。
「ところで、恋人としてはどうだい?」
すでに悠月が眠っていて、返事がないなら、それはそれでいい。
しかし、ややあって、
「そういう類の冗談を軽い調子で言うところは、やっぱりどうかと思うぞ?」
たしなめるような悠月の言葉が返ってきた。
見えないのはわかっているのに、ロベルトはぷくぷくと頬を膨らませずにはおれない。
「僕は本気なのに……」
怒ったように呟くと、ロベルトは毛布をがばと頭から被った。
毛布は悠月の髪の匂いがした――。
――『春色タペストリー』 終
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あとがき
担当マスター:
桂木京介
ファンレターはマスターページから!
ご参加ありがとうございました。桂木京介です。
ホワイトデー直前の休日、平日と、ホワイトデー直後を描いております。
ほぼ時系列順ですが、一部前後しているところがあることをご了承下さい。
今回のリアクションは本当に難産でした。
皆さんのせいではありません、全部自分のせいです。個人的に色々あったもので……(汗
だから最後まで仕上げられて、やりきった気持ちで一杯です。
それでは、機会があればまた会いましょう。
その日を楽しみにしています。桂木京介でした。
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
コメディ
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年02月27日
参加申し込みの期限
2017年03月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年03月06日 11時00分
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