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いつの間にかキャットロードの端まで来ていた。
高峰一馬はくるりと反転し、元来た道を引き返す。西日がまぶしい。
まぶしいといえば……。
つい、彼女のことを思い返してしまう。その笑顔を。
なんと表現すべきか。
テレビに出ている美少女アイドルのような、整いきった笑顔ではなく――なんかこう、ほわっとしてて、やわらかい感じの……。
あー!
一馬はアワアワと身を震わせた。
「やわらかいって、感触とかそうじゃなくってえ!」
思わず声が出てしまった。幸い、聞いている人はいないようだ。
自分の頭をがしがしとやって、一馬は前言に修正、いや、補足説明を加えるのである。
ほわっとしててやわらかいが、それは触感の話ではない。
受ける印象のことだ。
なんかたまに抜けてる感じがするっつうか、心配なのかつい目で追っちまうっていうか……!
――いや、目で追うのはそれだけじゃ、ねえんだけどさ。
あー。
はたと足を止め一馬は暮れゆく空を眺めた。
もどかしい。自分はいま、もどかしさの海にプカプカと浮いている気がする。そのまま溺れてしまうような気も、する。
……んんん……。
――俺に必要なのは……覚悟、だよな……。
わかってはいるのだ。
告白した、その先で、きっと幸せにするっていう……覚悟だ。
よーし、と一馬は拳を握りしめた。
気合い入れていかにゃあならんわな。
我が身に問いかける。剛速球の問いを投げつける。
俺は、あいつを幸せにできる男になれるのかっつう……いや。ならなきゃな。なるんだよ!!!
「うし!」
もう一度声が出ていた。魂からの声だ。
決断は成った。もう一度反転して、一馬はキャットロードから出て行くのである。
男一馬、十七歳。
悩みも気合いも全部、アクセル全開な年頃であった。
◆◆◆
「うし?」
なにか声が聞こえた……ような気がした。
御巫 時子
は足を止め耳を澄ますが、もう声は聞こえなかった。聞きまちがいだったのかもしれない。
彼女がキャットロードに来ることはそう多くない。休日ならともかく、今日は平日なのだからなおさらだ。その珍しい状況が、もたらしたものがひとつあった。
「……尚輝先生?」
彼を目撃したのだ。
足を止めたおかげだろう。ふと眼を向けた四つ辻の向こう、遠ざかっていく背中はまさしく、五十嵐尚輝のそれだった。ヘアスタイルは無造作だけどやわらかそうなあの黒髪、コートの襟からはみだす白衣、良い意味で世間から浮いているような足取り……間違いない。
こんな場所でお見かけするなんて、ということよりも、時子の心を揺さぶったのは彼の様子だった。
元気がない……というよりも落ち込んでいるように見える。
尚輝は軽く背を丸めている。それは普段通りだ。けれどあんな風に、釘でも詰まっているかのように首まで重そうに、下を向いてはいなかったはずだ。とぼとぼとした足運びも日頃よりずっと遅くて、自分の影を引きずっているような印象すら受ける。
――何かあったのでしょうか?
けれど時子は、つとめて明るく呼びかけた。
「尚輝先生、お散歩ですか……?」
「え?」
反応が鈍い。といっても尚輝は時子を認識しており、ぼそぼそと「こんにちは、御巫さん」と返してきた。
やはり妙だ。沈んでいる様子ではないか。そもそも尚輝は、散歩かという問いかけに回答していない。けれど気にせず、
「先生、少し歩きませんか……?」
と、時子は彼に並ぶのである。
尚輝は前髪の間からやわらかい眼差しをのぞかせた。しばらく言葉を探していたようだが、ややあって、
「そうですね」
とうなずいたのだった。
春とはいえ陽が傾けば、まだまだ肌寒い頃だ。
途中で買った缶コーヒーが手の中で温かい。
寝子ヶ浜海岸に向かう道すがら、
「夕日がとても綺麗ですね……でも、ちょっと切なくなりますね」
独り言のように、時子は言葉を紡いだ。
尚輝は言葉を返さない。黙ってうなずくと、プルタブを開けて缶に唇をつけた。湯気が湿らせているせいか、彼の前髪は夕陽を浴びてつややかな光沢を帯びている。
尚輝が悄然としているのは明らかだった。学校ではそれほど変わった様子がなかった……と思う。仕事が終わってようやく、素の自分になったためだろうか。
根拠はないけれど、と時子は思った。
――悄然とされているのは、女性のことでは……?
胸が少し苦しい。なぜってそれは彼の胸に、別の女性がいることを意味するのだから。
けれどそれと同時にそれ以上に、なんとか先生の力になりたい、と時子は願う。
「……心に溜め過ぎると苦しくなります。少しでも……」
時子はまだコーヒーを開けていない。
彼女は缶をポケットにしまった。
そして数秒ためらってから、そっと彼の手に自分の手を伸ばした。
「……あの、少しでも、言葉にすると楽になることもありますよ」
尚輝の手を握る。
彼が握り返してくるのを感じた。
「お恥ずかしい話ですが……」
尚輝は左手で時子の右手をつかんだまま、右手の缶コーヒーをもう一度、口に含んだ。
「昔、好きな人がいました。好きだったと気がついたのは、つい最近なんですけどね……夢を見て思いだしたというか、なんというか……」
ふっと彼は口元を緩めている。
「『好き』と言葉にしたのすら今のが初めてです。心の中でだって、言葉にしたことがありませんでした。……ちょっとしたきっかけで彼女のことを思い出して、あのときああしておけばよかったとか、こうしておけばよかったとか、そんな役に立たないことをずっと考えていました。おかしいですよね」
「そんなこと、ないと思います」
勘が当たったという想い、やはり女性の影がというかすかな胸の痛み、そうしたものが渦巻くものの、尚輝が一人の男性として、心情を隠さず話してくれていていることが時子には嬉しい。
「先生にとってとても大切な人なんですね。どういう方だったのでしょうか?」
「大学院の頃の同窓生で……はは、もうやめましょう。とても優秀な研究者だったとだけ、言っておきます」
優秀な研究者だから好きだった、というわけではないだろう。どんな女性だったのか。おしゃべりだったのか無口だったのか、おっとりしているのかリーダー的な人だったのか、どんな容姿をしていたのか……そんなことを知りたいという気持ちもあったが、これ以上踏み込むのも申し訳なく思って、時子は控えた。
かわりに時子はこう告げた。
「その方と会われたり連絡などされたのでしょうか? 先生はどうしたいとお考えなのでしょうか」
尚輝が足を止めた。二人を結んでいた手が外れた。
「海ですね」
尚輝は行く手を指す。春の夕陽に照らされる波、だんだんと昏くなる空を反射する海原を。
「それで、今のご質問への答ですが、『何も』です。学校時代のつてをたどれば連絡はとれるかもしれませんが、そんなことをしても何も変わらないでしょうし、変わったら……私は、それはそれで残念に思うかもしれません」
彼は元気を取り戻したようだ。背筋は伸びているし、言葉に勢いがある。
この貴重な時間を、できるのならば宝石にして残したい、そんなことを時子は思った。
「海に向かって叫んでみませんか?」
冗談めかして時子が告げると、尚輝は両手を振り、
「や、やめておきます」
と声を上げた。そうして、照れ隠しのようにこう付け加えたのである。
「……そんなことをしたら私、泣いてしまうかもしれませんので」
冗談で返したのか本気なのか、それは判りかねた。
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
コメディ
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年02月27日
参加申し込みの期限
2017年03月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年03月06日 11時00分
参加キャラクター一覧
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