猫鳴館、退避命令！？　～巨大ナメクジの逆襲｜リアクション

猫鳴館、退避命令！？　～巨大ナメクジの逆襲

● エピローグ

　ブルーシートを外したころには、とっぷりと陽が落ちていた。
　雨もやみ、雲間から星が見えている。
　猫鳴館の住人達は、ブラシやバケツを手に屋根に上り、ナメクジの粘液に塗れた館の洗浄に務めていた。
　それというのもサキリが、『ナメクジには危ない寄生虫がいる。勝利できた後も周辺をしっかり洗浄した方が良いと思うよ』と皆に忠告したからである。
「やれやれ……これは後片付けも大変だね」
　さほど大変そうに見えない涼しげな顔で、サキリはブラシを前後させる。
「ナメクジは何とかなったけど、どこかで寄生虫が巨大化してない事を祈るよ」
「想像させるな、デイジーカッター」
　雅樹はぶるりと身を震わせると、眼鏡をかけて＜精密視力（マイクロ・アイズ）＞を発動させる。
　顕微鏡レベルの精密な視力で確認したが、幸いなことに巨大化した寄生虫らしき異形の姿はない。
「大丈夫そうだ」
　安堵する雅樹と対照的に、未だグロッキーな表情の亮は、手のひらを見つめてぼそりと言った。
「あー……しばらく御手洗団子は食べられないな」
　此度の戦いは亮にちょっとしたトラウマを残したらしい。
　そう……ナメクジだけに、ねっとりと。
　
　さすがに暗くなって危ないので、女子には屋根での作業は遠慮してもらった。
　代わりにいまは食事を作ってくれているらしい。
　白いご飯と味噌汁だろうか。
　おいしそうな夕餉の匂いに、男子たちは作業の速度を上げるのであった。

◇

　星ヶ丘の、美味いと評判のケーキ店。
　解理、貴子、あずさ理事長とともに、窓際の席でお茶とケーキを楽しんでいた修の携帯が鳴る。
「失礼」
　席を立ち、電話に出ると、猫鳴館にいる加代から事件解決の知らせだ。
（よかった。今日もフツウは守られた）
　修の口元に笑みが零れる。
　席に戻ると、修はフツウを守るもれいびではなく、一新聞部員の顔になっていた。
「では、インタビューの続きを――理事長の来年度の抱負を聞かせていただけますか？」
　するとあずさは珈琲を一口、にこりと笑った。

「そうね。来年度はもっともーっと、寝子高を楽しくしていきたいわね」

＜了＞

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あとがき

担当マスター：笈地行
ファンレターはマスターページから！

そんなわけで、お疲れ様でした！
みなさん冷静に対処してくださったおかげで、猫鳴館は危機を免れました！
ろっこんの使い方が巧かった方も多く、
らっかみ！らしい物語に仕上がったかな、なんて感じています。

ブルーシートを掛けたくらいじゃ、また修繕中かと思われて、たいして変じゃない……
そんな猫鳴館が、私も好きです。

それではまたお会いしましょう。笈地でした。

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