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駄菓子屋のプリンセス
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エレノア・エインズワース
が来店するころには、もう店はほぼ満員という状態でした。
「盛況ですね」
ふふ、と静かな笑みをたたえます。ひっそりわびしい駄菓子屋という風情を期待していましたが、なんとも今日は当たり日とでもいうのか、ずいぶんと人が入っています。比較的大きな店ですが、これだけ人がいるとにぎやかです。しかもその全部が、寝子高生らしいのにも驚かされました。
されどエレノアはマイペース、吹く風のように飄々と歩みます。たとえ砂漠の惑星に独りぼっちであっても、彼女なら自分らしくありつづけることでしょう。
エレノアに目を留め、おや、と思う人も少なくなかったと思われます。
洋二も「これはこれは……」と称賛するような目つきになっていました。
灰色の日傘を畳み、モノトーンの色調の春物コートのすそを揺らして歩くエレノアは、大正時代のフォトグラフのような、あるいは、ハリウッド黄金時代の女優のような、クラシカルで格調高く、どこかこの世の人ではなさそうな超然としたものを身に帯びているのです。
エレノアの周囲だけ、空気の色がちがって見えます。
駄菓子屋の中なのに、エレノアを中心にして眺めれば、そこはまるで洋館の一室です。彼女がてにするすべてが宝石のように映ります。
「あ……いらっしゃいませ」
その声に軽く会釈して、エレノアが進んだその先は、お菓子の棚ではありませんでした。
くじ引きの袋が下がる壁でもありませんでした。
ゲーム筐体でもないのです。
エレノアが立ち止まったのは、玩具が吊してあるあたり、それも、水鉄砲が並べられているあたりです。
きらく屋にて強力な引き金式の水鉄砲が販売されている……この噂が彼女を、この地に招いたのでした。
「たしかに」
エレノアは呟きました。
プラスチック製のチープな商品が過半ですが、中には外国製の強烈な水鉄砲なんかもあったりします。これはやはり、高校生がよく来るという店の立地条件を反映したものでしょうか。
「彼女……プロだね」
鷹取洋二が感嘆したように呟きました。
「なんのプロですか?」
椿美咲紀がそっと訊き返すと、洋二は大真面目な顔で言ったのです。
「プロのヒットマン……そんな感じがするよ。水鉄砲だけど」
これがジョークなのか本気なのかわかりかねて、ただただ美咲紀は目をぱちくりしておりました。
まさしくプロが仕事道具を選ぶような真剣さで、エレノアは水鉄砲を物色しています。
さっと腰から抜き撃ち。さっとしまって、また抜く。
それだけではありません。腕を曲げた状態、だらりと提げた状態など、さまざまな姿勢から早撃ちの動作をイメージして使い心地をたしかめていました。
「少し、引き金が固いでしょうか。射程距離8mの表記は中々魅力的なのですが……」
いつの間にか彼女は店中の寝子高生の注目を集めていました。店内は、しんと静まり返っています。誰もが固唾を飲んで、彼女の動向を見守っているのです。
しばらく使い心地を確認したあと、エレノアは赤と青のプラスチック製水鉄砲二丁を手にしてレジに向かいました。
購入。
チン、とレジが音を立てると、なぜか店内の者はみな、ほっと安堵の息を吐いたのです。
ところが、
「それと……」
エレノアが口を開き視線を滑らせたので、またも店内に緊張感が駆け抜けます。
誰か撃たれるのではないか――そう危惧した人も少なくないでしょう(水鉄砲だけど)。
ところが、そのような危険な展開にはなりませんでした。
「これも、いただきます」
エレノアは、目にとまった冷凍庫から、ソーダ味のアイスキャンディーを取り出しただけでした。
「ごきげんよう」
彼女がその言葉とともに店外に出て、ようやく店は人心地を取り戻したようです。はーっと息をついたり、ビデオの一時停止を解除されたようにおしゃべりを再開したりします。
店を出たエレノアは水鉄砲に水を入れたあと、外のベンチに腰掛けて無心にアイスキャンディーを味わっています。
冷たく甘い氷菓子、このときばかりはエレノアも、無邪気な子どもに戻ったかのようでした。
「あの」
声をかけられてエレノアは顔を上げました。
そこにいたのは鬼河内萌です。
――ただ者じゃないね……彼女。
萌は直感的に悟っています。エレノアがさりげなく、腰の銃(水鉄砲ですけどね)に手を伸ばしているということを。それと露骨に示すほど大きな動作ではありませんでしたが、仮に萌が暴漢であれば、即座に射撃できるスムーズな動きでした。
「エインズワースさん……どうしてあんなに真剣に水鉄砲を選んでたの?」
二人は同じ一年二組の所属ですが、あまり話したことがありません。萌の口調は緊張気味でした。
するとエレノアは相好を崩して、自分の隣の席を勧めたのです。
「ただの戯れです。ついね、芝居がかった行動をしがちで」
自分の『ろっこん』については明かさずにおきます。水鉄砲のような容器から水を撒けば、たちまちその水を強力接着剤に変えられるという能力については。
あなたもアイスキャンディー? とエレノアが優しく話しかけると、萌は小さくうなずきました。そして萌も、自分の氷菓子を口にするのです。こちらはレモン味でした。
しばし駄菓子の話をしたりして、いくらか親しくなれた二人です。
ふとエレノアは言いました。
「そういえば鬼河内さんも、海原会長と鷹取先輩に注目なさっていた様子ですが」
「あっ!? 気づいてた!?」
「なんとなく、ですが」
「じつはね……」
萌の胸は痛みました。
憧れの人……萌の片想いの相手……その茂について知ってしまった秘密を明かすのは、自分の悲しみを冷たい手でつかむようなものだからです。
けれどどこか、ここではない遠くを見ているような目で萌は言いました。
「鷹取先輩×海原先輩……」
(※)
「え?」
「あ……いや、言い方が悪かったね。ボク、聞いちゃったんだ。二人が恋人らしい会話をしているところを」
そもそもは洋二が茂に『告白している』というか『強気攻め』しているところを聞いてしまった(と誤解した)だけの話なのですから、この結論はずいぶんな飛躍ですが、萌のなかではまぎれもなく真実です。
「意外と言えば意外ですが、そういえば、さきほどもあの二人は寄り添っていたような」
「でしょでしょ!? ボク、海原先輩のことが……だから」
エレノアは黙したまま先をうながします。
「でもボクは男じゃないから、絶対無理だよぉ……」
「それほど気落ちすることはないと思います。ただの親友関係かもしれませんし、チャンスはありますよ。そう落ち込まないで下さい」
うなだれる萌のためにも、しいてエレノアは微笑みました。
「ちょっとした気晴らしをお見せしましょう。見ていてください」
エレノアは手に、食べ終わったばかりのアイスキャンディーの棒を持っています。
「行きますよ」
それを彼女は指で弾いて打ち上げました。高く。
目にもとまらぬ早撃ち。
次の瞬間、水鉄砲から勢いよく噴き出した水流が、棒を飛ばして通り向かいのゴミ箱に落としたのです。
ぱしゃ、という音がして水が地面に落ちるまで、萌は何が起こったのかすらわかりませんでした。
「す……すごーい! すごいすごい! 本当にすごい!」
「ふふふ、戯れも極めてみれば身を助く、というわけです」
エレノアは銃口を吹く真似をしました。
絶対にただ者じゃない――萌はエレノアについて確信をもちました。
友達なれたらいいな。
(※)賢明なる読者の皆さんへ……お察しの通りこの『×』は『かける』と読みます。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2013年05月19日
参加申し込みの期限
2013年05月26日 11時00分
アクション投稿の期限
2013年05月26日 11時00分
参加キャラクター一覧
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