駄菓子屋のプリンセス｜リアクション

駄菓子屋のプリンセス

　駄菓子屋の戸が開きました。
「茂先輩、洋二先輩」
　桜庭円が手を振ります。
　北条冬華、小山内海も一緒です。今日は三人、駄菓子を食べつつ、語り合って友情を深めることができました。三人いれば話題は豊富、気がつけばそろそろ日が暮れるという時間までいてしまったのです。帰ろうとしたところで、ちょうど海原茂、鷹取洋二を見つけたという次第です。
　冬華はちょうど、ラムネ瓶を店の外の返却コーナーに戻したところです。瓶の中のビー玉は録らないのが冬華のエチケット。そんな彼女が洋二に訊きます。
「今からお帰りですか？」
「そうだよ。いやあ、色々あったけど楽しかったね」
　なぜか洋二は『ヒーローカードチップス』の袋をいくつも手にしています。
『だったら、いっしょにかえる？』
　海がスケッチブックに字を書いて聞きます。
「そうだな。そうしよう」
　なんだかこのとき茂から、あの取っつきにくいところが消えたような気がします。口調から冷淡な部分がなくなり、なんだか『面倒見のよいお兄さん』風にも見えました。
　――駄菓子の満腹は人を優しくする、ということかなあ。
　そんなことを考えて、なんだか円は笑ってしまいました。
「何かおかしいところでもあるのか？　桜庭」
「いいえー」
　さあ帰りましょう。
　五人の背中に夕陽がさして、これでめでたしめでたしと、なれば本当に良かったのですけれど、
『まって』
　このとき、海がふと立ち止まって、スケッチブックに何やら書きました。
『そういえば、だがしって、じつはけっこうカロリーたかいって、いぜん、ほんでよんだきがする』
　ぎく、と全員、足を止めました。
　……さあ、帰りましょう。
　帰って、運動しましょう。
　

　『駄菓子屋のプリンセス』　完

　

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あとがき

担当マスター：桂木京介
ファンレターはマスターページから！

　マスターの桂木京介です。
　このたびはシナリオにご参加いただき、誠にありがとうございました。

　このお話、誰が『プリンセス』だったのでしょうか？
　順当に考えると剣崎エレナということになるでしょうが、彼女と張り合ったあの人もプリンセスの資格があるような気がしますし、駄菓子屋で輝いていたあの人やあの人も、プリンセスといっていいでしょう。
　いいえ、女性に限りません。劇中出てきた妄想に照らし合わせると海原茂がプリンセスという見方もありえるでしょうし、すべての男性キャラクターにだって、可憐という意味でこの称号を差し上げることもできるはずです。
　私こそがプリンセスだ！　いや、俺が！　なんて考えてみても楽しいかもしれません。

　それでは今回はこのあたりで。
　次のシナリオでお会いできる日を楽しみにしています。
　ご感想などいただけるととても嬉しいです。
　桂木京介でした。

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