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高級住宅地の立ち並ぶ星ヶ丘。
そこにあるマンションの一室で、
深林 真瞭
はソファに深く腰掛けていた。
「はあ……」
溜息、一つ。気分は暗澹たる有様であった。
原因はわかっている。所属している交響楽団の権力闘争だ。マスコミをも巻き込んだ政治劇から逃れるように寝子島へと行き着いた真瞭はここ星ヶ丘に身を隠していた。
親友にさえ知らせていない半隠遁生活の中で、楽団の移籍の誘いはいくつもかかっている。
机の上にあるノートパソコンの液晶画面には、いくつものメールが送られてきている。これら一つ一つに返事を出さなくてはならない。
深い溜め息をついて、立ち上がる。一流の音楽家は一日の大半を演奏の練習に費やすと言われている。真瞭も当然、その練習量は尋常ではない。気分は乗らないが、下らないことで思い悩むぐらいなら練習した方がまだマシだ。
指示などの書き込みでいっぱいの楽譜を片手に、練習用の部屋へ入る。完全防音のこの部屋なら、いくら弾いても音一つ漏らさない。
「こんにちは」
思わず真瞭は立ち止まってしまった。練習用の部屋にはすでに電気が灯っていて、いるはずのない先客がいたのだ。
招かれざる客は、中学生ぐらいの少女だった。年の頃はローティーンぐらいだろうか。長い黒髪をひとまとめにしたポニーテールを揺らし、少女は首を傾げる。この少女を真瞭は知っていた。見覚えがあった。なぜなら、彼女は――。
「あなたは、私……?」
「うん、そうよ」
あっさりと、こともなげに頷くマアキ。一瞬、何が起きているのか真瞭は混乱したが、すぐに思考を放棄した。ここは寝子島、何が起きようとも不思議な話はない。
「ねえ。未来の私は今、どんな感じなのかしら?」
「そう、ねえ……」
いささか迷うように視線を彷徨わせて、ぽつりぽつりと語り始める。英才教育の末に才能を開花させ、コンクールで優勝したりしたこと。交響楽団に入り、第一ヴァイオリンとコンサートマスターを務めていること。今では演奏旅行で世界を飛び回るほどになったこと……。
一頻り話し終えると、マアキは「すごいじゃない!」と喜色を浮かべる。
それで、と彼女は言葉を継ぐ。
「夢は叶った?」
「…………」
投げかけられた問いに、すぐには答えられなかった。
夢は、叶うことには叶った。物語ならばそこで終わってハッピーエンド。
少しの躊躇いのような時間を経てから、真瞭は曖昧な笑みを浮かべた。
「大体はね。……でもね、夢は叶った後の物語もあるのよ」
それはこの14年間で嫌というほど思い知らされたことだった。
「……疲れちゃった?」
「かも、しれないわね」
うぅん、とマアキが少し困ったような顔をしてから、ぱっと表情を華やかせて真瞭を見た。
「良いこと思い出させてあげる。気分が塞ぎ込んだ時にはね、思いっきり演奏するの! そうすれば気分爽快、すっきりよ。どう?」
「ぷっ、ふふっ……。そうね、昔の私らしいわ」
真瞭は一瞬呆気に取られて、思わず笑ってしまう。実に昔日の自分らしい気分転換方法だった。
「そうと決まれば早速演奏しましょう! そうねえ、ルクレールの2つのヴァイオリンのためのソナタとか?」
「バッハの協奏曲じゃないの?」
「高雅なものより華やかな方がきっと気分も良くなりやすいと思うの」
セオリーや鉄板といったものを完全に無視した、感性からの提案だった。気分屋の自分らしいと言えば自分らしいが。
ヴァイオリンを二人で構えて、弾き始めるのは同時。
合わさっていた旋律はすぐに別れて、そして絡み合う。今にも踊り出したくなるような、伸びやかな音。
小刻みに弦を動かす真瞭と、ゆったりと大らかにマアキ。
演奏技術と表現力では、真瞭が圧倒的だった。メトロノームや伴奏も無い中で、マアキに合わせてそのフォローをする余裕さえある。曲調に合った華やかさ。聞く人が聞けば、その眼裏に浮かぶのは庭園か、舞踏会か。
対してマアキの音色には艶も足りない上、どこか硬い。単純に弾き慣れていない、経験不足なところもあるのだろう。
けれど、マアキは楽しそうだった。
自分なりに曲を解釈して、演奏へと昇華する。まるで曲の世界で生きているかのようだ。
同じ曲を演奏しているのにも関わらず、マアキがどこか遠くで演奏しているかのような錯覚。
――ああ。この子は純粋に音を奏でることに対して、喜んでいるんだ。
技術で上を行っても、気持ちでは向こうの方が遥か上。何だか嫉妬してしまいそうになる。
あるいは、アムドゥシアスに心を売り渡して才能だけを伸ばした音楽家がいれば、ちょうどこんな感じなのかもしれない。
「あーっ、気持ちいい!」
「こっちはだいぶ振り回されたけれどね」
十数分のソナタを弾き終えて伸びをするマアキに、真瞭は思わず苦笑してしまう。
「でも、良いアレンジだったでしょう?」
「曲調だけではなく、曲の作られた歴史的背景にまで踏み込んだ表現を心がけましょう」
「えー、なにそれ! 先生みたいなこと言っちゃって!」
「今ならあなたの先生よりも私の方がうまいのよ」
二人で笑いあって、次は何の曲を弾こうかと楽譜を漁り始める。
真瞭の塞ぎ込んでいた気分は、いつの間にか音の流れと共に流されていた。
二人っきりで、一人っきりの演奏会は、まだ続く……。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
豚野郎
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年01月12日
参加申し込みの期限
2017年01月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年01月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
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