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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
おわりの月のはじまりに
「うん、いいね。この肩のあたりのラインが特に。よく似合ってる」
桜 月の鼓膜を震わせる声に、北条 冬華はハッとして表情を引き締める。
（いけない——！）
放課後に月の家である星ヶ丘寮の一室を訪れてからむこう、冬華は服飾デザイナーを目指す彼女のモデルを務めていた。
今日用意されていたのは三着の民族衣装だ。民族衣装と言っても冬華に合わせた『風』のものであるが、こう言った変わったものにまで手を出すのは、おそらく服を構造を理解して、昇華し、自分のものにする為だろう。
そんな月の服飾に対する真摯さを、冬華は「良いと思いますよ」と尊敬していた。デコルテが開いたオーストリアのディアンドルとフラメンコ衣装風のドレスは胸が強調されるし、チャイナドレスのスリットは太腿まで露わになってしまう。しかしそれは構造上仕方ないことだと理解している。
それなのに冬華が集中力を欠いていた訳は、月が冬華の恋人だからで、向けられている視線が酷く熱い所為だ。
（月さんの視線……。
また私との熱い夜のことを思い出してるのか、それとも私とまたイチャイチャして押し倒したり……）
冬華は胸の前で組んでいた手に力を入れて、気持ちを入れ替えようとしている。
（モデルになることに専念しましょう）
「——腕をあげてみて」
「こう、でしょうか」
「うん……」
右手で生地を摘みながら左手にマチ針を持つ月は、眉間の皺を緩めて冬華の顔を下から覗き込んだ。
「どう？ 変なところない？ あったら言ってね直すから」
「変な？」冬華は繰り返して首を傾げた。月の質問はデザインの所為で行動が制限されないか、などの意図を持っていたのだが、冬華は勘違いしてとっている。
「サイズはぴったりですよ？」
月は笑った。それは当然だ。当然間違える訳ないのだと言わんばかりに。
「もう冬華の身体で私が触れてないところなんてないじゃないか」
近頃は月の発言や行動に慣れてきている冬華だが、流石にこれには——それが事実だろうと——頰を赤らめてしまう。月はそんなことお構いなしに、ふむふむ頷きながら冬華の身体を見つめている。うっかりして冬華への『熱』を思い起こさないよう、デザイナーとして集中していたいのだ。
「下着は衣装に合わせたものを取り寄せて、冬華の身体に合わせて調整したけど……」
ドレスの胸元をじっと見つめていた月の眉が寄った。
「胸のサイズ上がってない？」
本当に月は自分の身体のことは何でも分かるのだ。と、冬華は微笑んだ。
「確かに少しきつい気がします。
去年の春頃より随分大きくなってますからね……。たぶん2カップぐらい……？ 先日測った時はＩカップでしたから」
「Ｉカップ……」
月は目の前にたわわに実った果実を真剣な眼差しで見つめながら、思うがままに手を伸ばしていた。
そうそう聞かない珍しいサイズに、好奇心が押し寄せる。感触を確かめたい。
指先がそっと下から持ち上げるように包み込むと、冬華は身体を緊張させて思わず視線を逸らした。
声が漏れそうだ。
先ほどから具合を確かめようとする指に触れられるたびに、喘ぎそうになるのを我慢しているのに——。
冬華のモデルとしての理性が崩壊しかけてきた時、月から雑談が持ちかけられた。
「冬華、ホワイトデーどうしようか？」
「ホワイトデーですか……」
この流れだ。当たり前に二人で過ごすとして。
「月さんは？」
「私は普段とは違う雰囲気の中、二人っきりで過ごしたいんだけどな」
囁く声音は甘く、冬華を誘いかける。「甘えん坊ですね」と微笑みながら、冬華は月の柔らかな髪に手櫛をかけるように撫でた。
「折角ですから特別な場所で過ごしたいですね」
「バレンタインの時のようにホワイトデー用の服とか下着も用意しないと、次はどんなのにしよう。
着てみたい服とかある？ 一緒に選ぼう、泊まっていきなよ」
月の両手がぎゅっと冬華の手を包み込む。弾む声と笑顔は可愛くて、冬華はふいに彼女を抱きしめたい衝動にかられていた。
しかし夜はまだこれからだ。
焦らずとも、ゆっくりと。これまでと同じように濃密に、時間を重ねていこう。
「良い時間になりそうですし、そうしましょうか……」
窓の外でふけていく夜を一瞥して、二人は共に過ごすホワイトデーの日を想像する——。
桜 月の鼓膜を震わせる声に、北条 冬華はハッとして表情を引き締める。
（いけない——！）
放課後に月の家である星ヶ丘寮の一室を訪れてからむこう、冬華は服飾デザイナーを目指す彼女のモデルを務めていた。
今日用意されていたのは三着の民族衣装だ。民族衣装と言っても冬華に合わせた『風』のものであるが、こう言った変わったものにまで手を出すのは、おそらく服を構造を理解して、昇華し、自分のものにする為だろう。
そんな月の服飾に対する真摯さを、冬華は「良いと思いますよ」と尊敬していた。デコルテが開いたオーストリアのディアンドルとフラメンコ衣装風のドレスは胸が強調されるし、チャイナドレスのスリットは太腿まで露わになってしまう。しかしそれは構造上仕方ないことだと理解している。
それなのに冬華が集中力を欠いていた訳は、月が冬華の恋人だからで、向けられている視線が酷く熱い所為だ。
（月さんの視線……。
また私との熱い夜のことを思い出してるのか、それとも私とまたイチャイチャして押し倒したり……）
冬華は胸の前で組んでいた手に力を入れて、気持ちを入れ替えようとしている。
（モデルになることに専念しましょう）
「——腕をあげてみて」
「こう、でしょうか」
「うん……」
右手で生地を摘みながら左手にマチ針を持つ月は、眉間の皺を緩めて冬華の顔を下から覗き込んだ。
「どう？ 変なところない？ あったら言ってね直すから」
「変な？」冬華は繰り返して首を傾げた。月の質問はデザインの所為で行動が制限されないか、などの意図を持っていたのだが、冬華は勘違いしてとっている。
「サイズはぴったりですよ？」
月は笑った。それは当然だ。当然間違える訳ないのだと言わんばかりに。
「もう冬華の身体で私が触れてないところなんてないじゃないか」
近頃は月の発言や行動に慣れてきている冬華だが、流石にこれには——それが事実だろうと——頰を赤らめてしまう。月はそんなことお構いなしに、ふむふむ頷きながら冬華の身体を見つめている。うっかりして冬華への『熱』を思い起こさないよう、デザイナーとして集中していたいのだ。
「下着は衣装に合わせたものを取り寄せて、冬華の身体に合わせて調整したけど……」
ドレスの胸元をじっと見つめていた月の眉が寄った。
「胸のサイズ上がってない？」
本当に月は自分の身体のことは何でも分かるのだ。と、冬華は微笑んだ。
「確かに少しきつい気がします。
去年の春頃より随分大きくなってますからね……。たぶん2カップぐらい……？ 先日測った時はＩカップでしたから」
「Ｉカップ……」
月は目の前にたわわに実った果実を真剣な眼差しで見つめながら、思うがままに手を伸ばしていた。
そうそう聞かない珍しいサイズに、好奇心が押し寄せる。感触を確かめたい。
指先がそっと下から持ち上げるように包み込むと、冬華は身体を緊張させて思わず視線を逸らした。
声が漏れそうだ。
先ほどから具合を確かめようとする指に触れられるたびに、喘ぎそうになるのを我慢しているのに——。
冬華のモデルとしての理性が崩壊しかけてきた時、月から雑談が持ちかけられた。
「冬華、ホワイトデーどうしようか？」
「ホワイトデーですか……」
この流れだ。当たり前に二人で過ごすとして。
「月さんは？」
「私は普段とは違う雰囲気の中、二人っきりで過ごしたいんだけどな」
囁く声音は甘く、冬華を誘いかける。「甘えん坊ですね」と微笑みながら、冬華は月の柔らかな髪に手櫛をかけるように撫でた。
「折角ですから特別な場所で過ごしたいですね」
「バレンタインの時のようにホワイトデー用の服とか下着も用意しないと、次はどんなのにしよう。
着てみたい服とかある？ 一緒に選ぼう、泊まっていきなよ」
月の両手がぎゅっと冬華の手を包み込む。弾む声と笑顔は可愛くて、冬華はふいに彼女を抱きしめたい衝動にかられていた。
しかし夜はまだこれからだ。
焦らずとも、ゆっくりと。これまでと同じように濃密に、時間を重ねていこう。
「良い時間になりそうですし、そうしましょうか……」
窓の外でふけていく夜を一瞥して、二人は共に過ごすホワイトデーの日を想像する——。
あとがき
担当マスター：
東安曇
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シナリオにご参加頂き有難うございました。明けましておめでとうございます、東です。
新しい一年がスタートしましたが、らっかみ！タイムも春を迎える直前になりました。PCが過ごされる三月がどうなっていくか楽しみですね。
リアクションをお楽しみ頂けましたら幸いです。
新しい一年がスタートしましたが、らっかみ！タイムも春を迎える直前になりました。PCが過ごされる三月がどうなっていくか楽しみですね。
リアクションをお楽しみ頂けましたら幸いです。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2016年12月23日
- 参加申し込みの期限
-
- 2016年12月30日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2016年12月30日 11時00分
