コロシアム再戦！　オーガがコピーろっこんを使用！？｜リアクション

コロシアム再戦！　オーガがコピーろっこんを使用！？

●●●友人の為に●●●

　戦闘開始から間もなく捕まった円は、生温いオーガの手のひらに包まれ続けていた。
　よかった、と言った傀儡師はすぐさま戦闘に集中してしまったため、話すことができなかった。
　力技、オーガに話しかけるなど様々な脱出方法を試みたが失敗に終わっていた。

　目の前ではもれいびとオーガの戦いが繰り広げられていた。
　そんな中、後衛を守るために戦っていた刀と目が合った。

（大丈夫か？）
（うん。大丈夫、オーガを先にやっつけちゃって！）

　心配そうな刀に、力強く瞳を見せる円。
　お互い意思が伝わったかは分からないが、刀はオーガ退治に専念してくれた。
　大声を出して会話をすることもできたが捕まってる以上、傀儡師や白衣は刺激はしないほうがいい。

「ふぅ…やっぱり、弱点が知られてるのは厳しいなぁ…」
「やはり、血管内部に施術する方式を取られては？」
「したくないなぁ…状態によって模様が変動しちゃ、本末転倒だから…」

　ほとんどのオーガとのコネクションが切れてしまった傀儡師は落胆の声を発する。
　過激な提案をする白衣をするりと跳ね除ける。
　話しかけるならこのタイミングが良いのだと、やっほー、と手を振ってみる円。

「…ぁ、ええと…う、うん…」

　それに気が付いた傀儡師は視線を泳がせて小さく手を振り返す。
　白衣は円を一瞥すると、興味を失ったかのように戦場が良く見えるようにと少し移動して観戦に集中する。

「元気だったー？」
「う、うん。君も、変わりがないみたいで、よかった」
「うん。あなたも無事でよかった。私は身動きが取れないけどねー」
「ぅ…それは…」
「分かってるよ、文化が違うもんね」

　捕縛していることを言われると罪悪感で顔が曇る傀儡師。
　苦笑をしながらも、理解をしていると示す円に傀儡師は少しだけホッとする。

「でも、皆困ってるから、程々にお願いね」
「…努力は、する」

　そういって傀儡師は腕を動かし、円の隣のオーガが動かす。
　どういうことか、ずっと汗が噴き出ている海パンのオーガであったが、理由はすぐに分かった。
　倒されていたオーガが回復していたのである。

「ねぇ、もう止めない？　これ以上続けるのは、お互いに辛いよ…」
「…っ」

　円は思ったことを口にし、傀儡師は息を呑む。
　元々、進んで引き受けた仕事ではないうえ、ピエロと行動したから抜擢されたに過ぎない。
　だが、この仕事を断れば傀儡師に後はないのだ。

「傀儡師殿。お客様が微妙な雰囲気になっております。これ以上の続行はコロシアムとしては…」
「…！　分かった。実況にそう伝えて問題ない。強制終了対応を」
「ご英断、ありがとうございます」

　突如現れた貧相なピエロは傀儡師に続行不可を告げに来て、傀儡師が承諾する。
　期せずしてこの戦いは引き分けとして対応されることとなった。
　しかし円は【ブレイブハート】の発動をその身に感じていた。

「…ごめんね。ボクの力では何もできないから」
「うーうん。ありがとうね。…あ、そうだ」
「？」

　謝る傀儡師に否定をする円は何を思いついたように人差し指を立てる。
　小首をかしげる傀儡師に円は笑顔を送る。

「ボクの名前は桜庭円。円って呼んでいいよ。よかったら、あなたの名前も教えてほしいな」
「…ッ！　ボ、ボクの名前は…ボクの口からは教えられない。けど…」

　なぜか傀儡師は恥ずかしそうに顔を赤らめた後、少し寂しそうに否定する。
　だが、腕を動かしてオーガを動かし、円だけに見えるように模様が描かれていく。
　そうして傀儡師は親愛以上の証であるその名を円に教える。
　円にはなぜ回りくどいやり方をするのか分からないが再度【ブレイブハート】の発動を感じたのであった。

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