美少女戦士？の尋ね人｜リアクション

美少女戦士？の尋ね人

　　　６

「何やってるの？」
「うお、椎井」
　つい身構えてしまったのは、莉鳥の誘いを断ったことに僅かでも罪悪感を感じていたからか、それとも美少女と一緒にいるところを目撃されたからか。
　莉鳥は光を巧に預け、近寄ってきた。リリーを見て目を瞠り、すぐに、
「ひょっとして噂の？」
「そんなに噂になっているのか……」
　リリーは嘆息した。
「そりゃあ、そうでしょう。そんな目立つ格好なんだから。でも、そのジャージ、どうしたの？」
「ジャージ？　これはジャージというのか？」
と、その時、リリーの目がある一点で固まった。
　次の瞬間、彼女は腰の剣に手をやった。柄を握り、すらり、とレイピアを抜く。莉鳥が止める間もなく、脇を通り抜けると地面を蹴り、大きく飛び上がった。そしてそのまま、リリーは巧に斬りかかった。
「！！！？？？」
　一瞬のことだった。
　誰も動けなかった。
　ただ一人、光だけが大きな泣き声を上げた。
「ぎゃあああああ！」
　赤ん坊の周囲が弾けた。
　学、武道、修が吹き飛ばされ、地面に倒れる。
「光！　巧！」
　巧は【缶詰】が発動したおかげで無傷だが、倒れたままぴくりとも動けないでいる。
　リリーは、そんな二人に剣を振り上げていた。
「やめなさい！！」
　莉鳥は目を閉じた。指先から放出された電気が、リリーを襲う。
　続いて、立ち上がった修がレイピアに触れた。細い剣がたちまち分解される。
　更に武道が下からリリーの鳩尾を突いた。
「ぐふっ……！！」
　リリーは目を見開いたまま、よろめいた。急所を外した、と武道は判断した。
　しかしその隙に学が、光を抱いたままの巧をその場から引き摺った。
「何をするんだ！！」
　雅樹と亮が、リリーの前に立ちはだかる。理由によっては味方になるつもりだっただけに、二人のショックは大きい。
　リリーは片膝を突き、なおも巧たちを睨んでいる。
「馬鹿者……奴だ……」
「え？」
「なぜ、そのような姿になったかは分からん……だが、間違いなく、奴だ……」
　リリーは震える手で、巧を指差した。――否、光を。
　振り返った雅樹は絶句する。
　金色の髪、青い瞳。確かにリリーの上げた特徴に一致する。体の大きさを除けば。
「一体、何の話！？　こんな小さな子を襲うなんて！」
　光は、怯えた目でリリーを見ている。
「本当に、光が――あの子が琥珀なのか？」
　亮はリリーから視線を外さぬまま、尋ねた。
「間違いない……そいつを殺さねば……この島は、滅びるぞ……！！」
「おい！　何の話だ！？」
　武道が亮の肩を掴んだその時、リリーは地面を強く蹴った。ふわり、とまるで重力がないように彼女の姿は木の上へ飛んでいく。
「待て！」
　武道は追おうとしたが、あっという間にリリーの姿は見えなくなり、舌打ちするしかなかった。
「東門、大丈夫？」
　学の呼びかけに、硬直の解けた巧がうーんと声を漏らした。光はぐずっているが、無事である。莉鳥が手を差し出すと、ぎゅうっとしがみつく。
「で？」
　光と巧の怪我を確認していた修が、最後に立ち上がった。
「あの女はいったい何者で、琥珀っていうのは誰なんだ？　二人とも、話を聞かせてもらうぞ」
　雅樹と亮は顔を見合わせた。こうなっては仕方がない。何より、リリーの言うことが本当ならば、自分たちは今、恐ろしい選択を迫られていることになる。
　二人は、リリーから聞いたことの全てを話し始めたのだった。

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あとがき

担当マスター：泉楽
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ご参加ありがとうございました。泉です。
シリーズ二作目となります、「美少女戦士？の尋ね人」リアクションをお届けします。
ようやく話が動き出し、謎の美少女、光の正体などが出てきましたが、まだはっきりとしたことは分かりません。
おそらく光を狙ってくるであろう彼女をどうするか。光のことも考えなければなりません。そして巧はどうするべきなのか。
それは皆さんにかかっているのです……！！

初登場のＮＰＣ
リリー：銀髪、紫の瞳を持った自称「別の国の戦士」。レイピアを持っていたが破壊された。とにかく美人である。「琥珀」という名の敵を探している。現在、行方不明。

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