ねこじまカートレーシング！｜リアクション

ねこじまカートレーシング！

■表彰台は天より高い
　表彰式が行なわれる。
　三位、黒兎都。
「ふむ……あと一歩のところだったの」
　二位、八神修。
「全力を出したんだ。カップラーメンは譲るよ」
「いや、それはいらないけど……お前は最初っから強敵だと思ってたぜ。とにかく――」
　一位、水守流！
　首に花飾りをかけられ、流はトロフィーを掲げた。
「高級焼き肉は俺の物だ！」

「やきにく……」
　三頭身のゆるきゃらみたくなった陽毬がてちてちと流に駆け寄ってくる。
「分かってるって、少しくらい分けてやるよ」
「やきにく！」
　もうこれが鳴き声みたくなってるが、さておき。
「くっそー、やられたぜ。まさかあそこで切られるとはな！」
　一馬はからからと笑って都の背中を叩いた。
　肩をすくめる都。
「あのままトップを独走するつもりだったが、勝負は分からんものだの」

　缶コーヒーを飲み干す莉鳥。
　互いに妨害しまくって勝負を決した割には、皆和やかだ。これもゲームの醍醐味というやつか。
　ふと見れば、まもるが軽く死んでいた。
　そんなまもるの肩をちょんちょんとつつくタルト。
「ムッシュくん、頑張ったご褒美だよ」
　ヘルメットを脱ぎ、首をやんわり左右にふるタルト。
　まもるは三段階で復活し、頭上に輪っかを作ってゆるやかに天に浮き上がっていった。
「あっ、昇天してる！」
「よき……かな……」
「ムッシュくーん！」

　最後のジェットと爆発の反動でちりちりになった亮は、黒い煙を吐いて休憩ベンチに腰掛けた。
「お疲れ様なのです」
　美咲紀の持ってきたジュースを受け取って飲みほす。
　その様子を見て、美咲紀は同じベンチに座った。その隣に座る修。
「最初から実力を見せすぎてしまったかな。帰ったら物理の勉強だ」
　肩をすくめる修をまじまじと見て、美咲紀ははっと眉を上げた。
「物理を制するものはカーブを制する、ですか。いいでしょう、学ぶのです！」
「勉強か……勝つためには、そういうのも必要かもな」
　亮もジュースの空き缶を握りつぶし、立ち上がった。

　こうして、ねこじまカートレースは終了。
　流は（陽毬にちょっと分けてあげつつ）高級焼き肉で贅沢の限りを尽くしたのだった。　めでたしめでたし。

このページにイラストを設定する